表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の好きだった花  作者: 橘 天馬
2/6

なし

春の訪れを知らせる暖かさが心地よいある日

「ねぇ、もしなんでも願いが一つだけ叶うとしたら何をお願いする?」

唐突な質問をしてくる彼女。いつもの事だ。出会った時からいきなり質問をしてその答えを目を輝かせながら待っている。

「うーん、大きな病気にならず元気に過ごしたいかな」

「ふーん、つまんないな〜」

「じゃあ詩織はどうなんだよ」

ちょっと残念そうにした彼女の詩織は俺の問に対して間髪入れずに答えた。

「私はね〜生まれ変わっても翔太と出会いたいかな」

そう誇らしげに言う彼女との会話。この何気ない日常がすごく好きだ。彼女と出会うまでは一人の時間がないとか無理だと思っていたが、好きな人だと話は違ってくるんだなと最近改めて思う。

そんな彼女との出会いはすごく在り来りだった。

出会いは2年前まで遡る。

2年前、俺は男友達から合コンのメンツが足りないから人数合わせで来てくれと頼まれ渋々参加していた。そこで、彼女と出会った。一目惚れだった。彼女も人数合わせでたまたま参加していて最初に交した言葉は「お互い大変ですね」っていう主婦みたいな会話だった。横では合コンが盛り上がっていたが、俺と彼女は端っこでしみじみと世間話をしながら飲んでいた。

俺は緊張からか普段お酒は飲まないのに、この日はすごくハイペースで飲んでいた。

合コンは二次会の話になっていたが、俺は一次会で帰ると男側の幹事に伝えると一緒に話していた詩織さんも帰るらしく送ることになった。

「ごめんなさい。送ってもらっちゃって」

「いやいや、全然気にしなくて大丈夫ですよ」

「翔太さんって優しいんですね」

「それ、周りからも言われるけど前の彼女にはそれで振られたんですよね」

「えー、優しいのが原因だったんですか?」

「そーらしいです、誰彼構わず優しすぎるって」

「私はそれも素敵だと思いますけどね」

そう言った彼女の顔はとても素敵な笑顔だった。

この顔に落ちない男はいないだろうな。そう思っていると彼女が俺の顔を覗き込んできた。

「どうされました?難しい顔してますよ?」

「あ、あの!」

突然の大声に少し驚いたような顔で見つめる彼女に俺は続けて

「今度、一緒にご飯でも行きませんか?」

少しの沈黙。恐らく、数秒だと思うが俺には何十分にも感じた。彼女はいたことあるが、基本自分から誘うってことはしたことが無かった。

「はい!ぜひ近いうちに行きましょう!」

元気よく、そして無邪気で可愛い彼女の姿がそこにあった。

「やった!」

「そういえば、連絡先の交換まだでしたね。LINEで大丈夫ですか?」

「はい!LINEで大丈夫です!」

終始彼女に主導権を握られているが嬉しさのあまり気にしていなかった。

「私、もうそこなので大丈夫です!ありがとうございます!じゃあ、ご飯楽しみにしてますね」

「はい!じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみなさい!」

そういうと少し走って二軒先の家の前で振り返り手を振る彼女。なんて愛くるしいんだ。そう思いながら俺は帰路についた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ