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第二回ラジオ大賞

僕は偽物のおねぇです。焼き肉のために演技する

作者: つみき

 僕達は体育館の用具室へ閉じ込められた。学園のアイドル、河合(かわい)七海(ななみ)と僕、姉川(あねかわ)(けい)だ。


「姉川君。スマホ無いの?」


「河合さんこそ」


「仕方がない。助けに来るのを待とうっか」


 そんな会話はとうの昔。すでに午後10時を回っている。


「男子と夜を明かすなんて、何かされるか怖かったけど。姉川さんで良かったよ」


「どうして?」


「だって姉川さんって心は女の子なんでしょ?」


 先週のより、仲間内で賭けの対象として『おねぇです』とクラス内にカミングアウトさせられていた。一ヶ月間クラスを騙して抜いたら焼き肉食べ放題。


「そうよ。わたし七海に興味ないわ」


 嘘です。めっちゃ興味あります。あえて名前を呼ぶ。反応薄し。


「恋話しようか?」


「恋話?」


 なんて提案をする。僕の今設定は男好き。


「そっ。桂は誰が好きなのかな?」


 け、桂って。質問にはどう答える?沢田にしよう。今回の賭けの責任者だ。


「沢田君」


 モジモジ演技をしながら答える。目指せ焼き肉!


「本当なんだ。いつも一緒にいるもんね。私は桂が好きだったんだけどなぁ」


 今なんて言った?演技を止め七海を見る。僕に背を見せ手を後ろで組み軽くステップを踏む。


 これチャンスだろ。僕も告白して。いや、あぁどうする?七海か焼き肉か?どっちだ!

 悩んでいると彼女がこちらを振り向く。


「沢田君の何処が好きなの?」


 振り向く仕草にドキっとさせられる。咄嗟の答えは、


「一緒にいると楽しいの」


 頑張れ肉!


「私は今のこの状況楽しいんだけどなぁ」


 拗ねた笑顔。破壊力抜群だ。僕の心は七海に傾く。


「七海も好きよ。同性として」


 焼き肉ゲットしたら改めて告白しよ。


「じゃあ。同性同士キスしてみようか」


 七海とキス!


「いいわよ」


 僕、何言ってる!七海の顔が近づいて来る。


「ま、待って。やっぱり初めては沢田君がいいの」


 七海が動きを止めた。


「本物かー」


 そう呟くと僕から離れた。彼女の顔は悲しそう。


「実はその沢田君に頼まれたの」


「何を?」


「桂を真っ当な人間に戻して欲しいって」


 くそ、沢田め。焼き肉防止トラップだったか。あやうく引っ掛かるところだった。


「それって」


「私じゃダメなんだよね」


 トラップとわかっていてもドキドキする。


「ええ」


「ホントにダメなの?」


「ダメ」


「わかったわ。私がこれから体を張って女の子の魅力を見せてあげる!」


 そう告げると彼女のは閉まっているはずの準備室を開け出て行ってしまった。どういうことた?


 このあと一ヶ月間、彼女のアタックが始まる。






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[一言] あぁナマゴロシ… w
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