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第4話『猪肉のカレー』①

お待たせ致しましたー


今年もどうぞよろしくお願いします!


 スッポンのスープで身体を温めてから。


 次に出された角煮は、田城(たしろ)の食欲を掻き立てるものだったらしい。


 目の前に出されてから、写真を撮った後に勢いよくひと口で食べ始めた。



「ほろっほろ!? え、柔らか!? 溶けた!!」

「ふふ。昼間に仕込みましたしね?」

「美味し!! 美兎(みう)っちの彼氏さんの料理マジ美味!? あ、えーと?」

火坑(かきょう)と言います。呼びにくいようでしたら、店長でも大将でも」

「おお! 大将とかかっこいい!」

「ふふ」



 酒は沓木(くつき)も含めて、美兎オススメの自家製梅酒のお湯割り。田城もだが、沓木も気に入ったらしく、ごくごくと飲んでいた。


 しかし、相変わらず角煮は絶品だ。


 蕩けそうなくらい柔らかいのに、口に入れたらふわふわであっという間に溶けてしまうのだ。なのに、脂身とは別の肉の部分はちゃんと歯応えがあって。


 練り辛子をちょこっとつけると、鼻を通り抜けていく刺激がなんとも言い難い恍惚感が訪れる。


 思わず、ぱくぱくと食べてしまえるほどだ。



「う〜ん! 今日も美味しい! これとあと猪のカレーって、ちょっと想像つかないけど」

「そうですね? 角煮と比べて脂身はほとんどありませんが。時短で煮込んで柔らかくなった肉が特徴です」

「猫坊主、僕にももう一杯」

「もうダメですよ? 美兎さん達の分で米もギリギリですから」

「時短ですればいいじゃないか?」

「ダメです」

「ちぇ」



 珍しく、ぬらりひょんの間半(まなか)は少し酔っているらしい。いつもなら素面の顔も少し赤かった。



「結構飲まれたんですか?」

「ふふふ。君達のように、妖と人間で結ばれたように。僕の孫も同じでね? そのひ孫が可愛くて可愛くて。ついつい飲んじゃったよ」

「あら、おじ様は結構なお年なんですか?」

「うん。大化の改新から生きてるよー?」

「たいか? かいしん??」

「田城ちゃん、ちゃんと大卒?」

「歴史専攻じゃなくて、美術系でしたもん!」

真衣(まい)ちゃん、単純に忘れてるだけでしょ?」

「てへー?」



 ああ、こう言う飲み会を楽庵(らくあん)で出来るとは思わないでいた。


 美作(みまさか)もいたが、やはり会社が違うので会うのもまちまち。


 だから、同じ会社の人達と集うことが出来るだなんて思わなくて。


 ついつい、酒が進んでしまうものだった。



「さ。お待たせ致しました。猪肉のカレーです」



 そして、ついにお出ましになった、猪肉のカレー。


 焼いた肉がゴロゴロ入っているのが特徴的な、とても美味しそうなカレーだった。



「おお!」

「あら」

「美味しそう!」



 米も艶々していて、スプーンを装備したら。


 いざ、とすくうのだった。



「ん!?」

「ん!」

「んん!!?」



 そしてその味は。


 豚肉に似た力強い歯応えの、蕩けるような味わいのカレーであった。

次回はまた明日〜

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