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第8話:今日はスポーツテスト

「おーい!修司!次の授業、体育だぞ!」


 休み時間、俺は机に突っ伏して寝ていると、ヤスにそう言われた。


「んぁ……?マジ……?かったりぃ……」


「いいから、早く更衣室行こうぜ」


 重たい体を無理やり起こして、目を擦りながらダラダラと歩く。



 そして、更衣室に入る…………ところでヤスに襟首を掴まれた。



「待てコラ。そっちは女子更衣室だ。俺等は向こう側。全然場所違うだろ」


 チッ……寝ぼけたふりして入ろうとしたのに……。余計なことしてくれるぜ。ヤス。


「おいおい。俺は助けてやったんだぞ?なんだよぉ、その目は」


「はぁ?お前なに言って……」


「後ろで綾川が、ガン見してんぞ?」


 ……お前、命の恩人だよ。ヤス……。






「みなさん。初めまして、僕は岡田陸朗(おかだりくろう)と言います。これから、よろしくお願いします」


 この人が先生か……。すっごいガリガリだな。本当に体育の先生か?なんか体育の先生ってすっごい運動できるイメージあるんだけどな。


「え〜早速ですが、スポーツテストをします」


 うわ……めんどくせぇ……。やりたくねぇなー……。


「とりあえず、50M走をしたいと思います。まずは、先生がお手本を見せます」


 は?50M走でお手本なんか必要ねぇだろうよ?大丈夫か?


「じゃ、え〜……冴上君。計ってくれるかな?」


「……分かりました」


 先生から、ストップウォッチを受け取りながら言う。まったく、たかが走るだけなのに、なんでお手本なんだ?


「……じゃ、行きますよー!……よーい、ドン!」


 


 ……ん?




「………………タイム。4秒32」


 いやいやいやいや!!ありえないでしょ!!この先生はやっ!!世界記録超えてんじゃないのこれ!?


「いや〜あっはっは〜。つい本気で走っちゃったよ。まぁ大体こんな感じだから。みんな計って〜」


 ……この先生自慢したかっただけか!?なんだ、その満足したような顔は!っつーか、みんな引いてるから!誰も、なにも言わないよ!


「とりあえず……計るか……」


 あの先生のせいで、さらにやる気なくなったよ……。









「冴上、7秒08。虎島、7秒77」


「ノォォ!クソォォ!修司に負けたぁぁ!」


 50M走は、二人づつ計るらしいから、俺はヤスと計った。俺は、なかなか速いタイムだ…………。めんどくせぇ……。……いや、ホントにめんどくさいよ?ただ、成績のこと考えて本気で走っといた方がいいかなって思っただけだから!モテたいとか思ってないから!


「修司……手加減してくれって言ったじゃん……」


「……いや、でも、お前ラッキーセブンだぜ?すごくねそれ?」


「いや、すごいけど!今は関係ないじゃん!」


 まぁ、そうだわな。……それより、50M終わったら、持久走か20Mシャトルランか……。


「なぁ、ヤス。次、持久走かシャトルランかどっちかだけ選ぶんだってよ。どっちにする?」


「シャトルラン。1500Mなんか走ってられるか」


 じゃ、俺もシャトルランでいいか……。俺も体力には自信がないからな……。


「よぉし。これも勝負するか?」
















「ハァ……ハァ……死ぬ……」


「ヤスゥ……早くリタイアしたほうがいいんじゃねぇか……?」


 俺とヤスは、死にそうになりながらもまだ走っている。


「……も、もうダメだ……」


 か、勝った……。やべぇ……。もう、死にそうだ……。


「冴上君、152回。虎島君、151回」


 ……ってか、単純に考えて1500Mの二倍は走ってるよ……。アホだな俺ら……。


「すっごーい!よく、そんなに走れるねぇ!」


 琴音がそう言いながらやってきた。……女子もシャトルランやってたのか……。全然気付かなかった。


「……い、いいから酸素くれ。……死にそうだぁ」


 ヤスがそう言うと琴音は酸素缶を渡している。この野郎……!俺にもよこせぇ……!




 シュー




「うぇえ!?ゲホッ、グヘェェ!」


 酸素を吸ったヤスは、急に叫びだして倒れた。しかも、口の周りが青くなっている。………………ってか、おいぃぃ!それカラースプレーじゃねぇかぁぁ!吸わなくて良かったぁ!!


「あ、ごめん、間違った。それじゃなくてこっちだ」


「ごめんで済むかぁぁぁ!し、死ぬわぁぁ!ってかどうやったら間違えるの!?まず、なんでそんなスプレー缶いっぱい持ってるのさ!」


 ヤス本気で怒ってるな……。まぁ俺の知ったことではない。次行ってみよう。

















 結局、あの後口の周りが青色のヤスと反復横跳び、垂直跳び、握力測定を終えた。ちなみに、記録は平凡だった。


「お、修司。見ろよ、綾川が投げるぞ」


 ん?女子はハンドボール投げか……。そうえば、琴音って運動神経いいのかな?どれどれ……



 ブンッ……キラーン



 ……ハンドボールは、お星様となった。……えっ!?キラーンって!キラーンってなによ!どんだけ飛ばしてんの!?


「ちょ!綾川、今なにしたの!?ありえなくね!?」


「あ、修司君、ヤス君。見てたの?いや〜投げすぎちゃった。テヘッ」


 琴音は、舌を出して、おどけた様子で言った。……そんなことされても、可愛くないよ!?いや、可愛いけどもさ。でも、ハンドボールをお星様にする子だよ!?怖いだけだって!


「ってか、どうやったらあんなに飛ぶんだよ!」


 それが非常に気になる!でも、どんな理屈的なこと言われても俺は信じないよ……




「えっと、とりあえず腕力に物を言わせて…………」




 …………納得!でも、君!ここでもう一つ疑問が浮かんできた!……どんだけ力あるのぉぉぉ!?


「まぁ、ようは思いっきり投げるだけだって!」


 無理です!それは、あなただからこそできること!他の人が思いっきり投げたって全然飛ばないから!


「修司……見なかった……。俺は何も見なかった……!」


 ヤスは、すべてをなかったことにしようとしている。……そうか、そうだなヤス。


「……俺も、なにも見なかったよ!」


「え!?ちょ、待ってよ!なんで!?」


 俺とヤスは、琴音の言葉を無視して、そのまま次のテストを受けに行った。








「え〜では、今日全てのテストを受けられなかった人は、今度の授業にまた時間を作りますので、そのとき受けて下さい」


「やっと終わったなぁ……。もう、疲れたよ。」


 俺らが、全てのテストを受け終えたとこで、授業が終了した。


「とりあえず、もう寝たいよ、修司……」


「俺もすんげぇ眠たい……早く着替えて寝るか……」


 意識が朦朧としてきた俺は、目を擦りながら階段を上った。


「ヤスゥ…………。眠い。おんぶ」


「無理だ。俺はお前の2倍は眠い……」


「いやいや……。俺はお前の4倍は眠い……」


 そんなくだらないことを話しながら、階段を上りきった俺は、更衣室に入ろうとした(・・・・・・)




 ドスッ




「ガッ!?な……なにぃ…………!?」


 しかし、急にハンドボールをお星様にした人……もとい、琴音が袈裟斬りチョップをしてきた。……やべぇ、死にそう…………。


「…………修司君。何してるの……?」


 ……は?俺は何もしてな―――






「ここは、女子更衣室だヨ?」




 …………あ。……本気(ガチ)で間違えた……。




「ウフフ……覚悟できてる?」






 ギャァァァァァァァ!





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