第5話:委員長と副委員長
「う……ぐぅ……」
ぁあ……?どこだここ……?ってか何でおれは寝てたんだ……?
「おぉ、修司起きたか」
「は……?ここ、学校……?」
「そうだよ、俺もついさっき起きてさ。1時間半気絶してたぞ俺ら。んで今は休み時間だ」
あ……そうだった。金属バット頭に喰らって気絶してたんだ……。
「…………って、なんで俺までやられたんだよ!紙飛行機作ったのも、先生にあてたのもお前じゃねぇか!」
「……俺に言われても……ねぇ」
それにしても、相変わらず怪我してないな……。あの先生何者だ?
「んなことより、次HRらしいぞ修司。また乙女先生だ」
「げっ……嫌だなぁ……ま、どうせまた遅れてくるだろ」
「いや……まだ前で寝てるけど」
なんで!?どんだけ寝てるんスか!!ってか俺ら1時間以上気絶してたってことが授業1回ありましたよね!?授業中も寝てたんでスかそこで!
キーンコーンカーンコーン
「……んぁ?……朝か?」
あぁぁ!ベルが、鬼を起こしたぁ!しかも、朝じゃねぇよ!?
「チッ……HRか……今日は、委員長と副委員長を決めた。冴上と虎島だ」
ええぇぇ!?決めますじゃなくて!?決定事項ですか!?なんで俺とヤスなんだよっ!
「ちょ、先生!俺等じゃ無理ですよ!」
「そうですよ!なんで俺とヤスなんですか!?」
「お前ら二人いつも一緒にいるから」
なにその決め方!?ひどいよ!?ってか仲良い二人組って他にもいるよ!?ええいっ……!どうにかして抜けて………………
「先生。私、委員長に立候補です」
……桐嶋早弥ぁぁぁ!わざわざ、立候補ってすげぇな!だが、ナイスだ!これで俺は……
「じゃあ、修司を副委員長に推薦します!」
な、なにぃぃぃぃ!ヤスゥゥゥゥ!裏切りやがったなぁぁぁ!?
「ハイ、じゃ委員長桐嶋〜。副委員長冴上だ」
「まったまった!じゃあ、俺はヤスを副委員長に推薦しまぁす!!」
「もう、遅い。お前で決まりだ」
ヤスゥウゥゥ!テメッ!この野郎っ!なんだその顔ぉぉ!なに、勝ち誇った顔してんだコラァァ!
「じゃ、HRを終わる。ハイ、新委員長号令」
「起立、礼、着席」
「あー、委員長と副委員長は今日放課後残れ。いろいろ仕事あっから」
「はい、分かりました」
……………ん?でも、なんかこれチャンスじゃね?えっ!?マジ!?まさか……ヤスッ!
「おいおい、修司!きっかけ作ってやったんだから!ちゃんとアタックしろよ?」
「……ヤスゥ!お前ってやつぁ!」
ガシッ
とりあえず、抱き合っていた。
………………………
………………
………
で、なんやかんやあって。
「そんで、俺らはなにすればいいんスか?」
「とりあえず、明日配る資料運べ。資料室分かるだろ?そっからとって来い」
「はい」
「……資料室ってどこ?」
「私はわかります。……あなたはついてきなさい」
何か今、嫌そうな顔しませんでした……?ちょっと傷ついたわ……。
「ね、ねぇ、桐嶋さん」
「……………なに?」
「……桐嶋さんってなんか習ってたの?」
「は?」
怖ぇよ……。ドス聞いた声で『は?』って……。かわいらしく『え?』とかで良いじゃない!
「なに?なんなの?」
「あ、いや、あの、……この間ヤクザ倒してたジャン……?なんであんな強いのかなぁって……」
「あぁ……いわゆる、"由緒正しきお嬢様"って奴だから。いろいろ習わされてるの」
「あ、そうなんだ……」
まぁ、大体雰囲気で分かってたけどねぇ。にしても教えてくれるとは思わなかったな。『あなたには、関係ないでしょ』とか言われると思ってたよ俺。
「それにしても、あなたは弱いわね。やられっぱなしだったじゃない」
「…………っ!」
「どうしたの、何も言えないの?」
「………………いや、俺は喧嘩しない主義だから」
「しないじゃなくて、できないの間違いじゃないの?」
「あぁ………………」
「え…ちょっと……な、なんで、そんな顔するのよ……。」
桐嶋が動揺してる……。きっと今の俺は、それほどひどい顔をしているんだと思う……。"あのこと"は考えるな……。クソッ…………。
「……資料室はここよ」
「あぁ……この、ダンボール持ってけばいいんだよな?」
出来るだけ、明るい声で言うが、気分は最悪。
「……そうよ、私はこっち持つから、あなたはそっち持って行って」
「いや……力仕事なら男に任せといてよ」
そういって、桐嶋から、ダンボール箱を奪うようにとる。そして、ダンボールを2個重ねて持つ。
「ちょ、ちょっと。それ結構重いわよ?」
「あはは……大丈夫大丈夫」
愛想笑いも出来ているかどうか分からない……。多分、相当ひきつっていると思う。
「そう…………ありがとう」
え!?桐嶋がお礼言うとは……。まぁ、由緒正しきお嬢様とか言ってたし、そこら辺は礼儀正しいってことか……。でも、その言葉を聞いただけで何故か気分が楽になった。
そのあと、一言も会話せず、仕事をやり終えた。校門を出ると、ヤスが待っていてくれたので、一緒に帰ることにしたが…………やっぱり、まだ本調子ではないようだ。ヤスに、心配されてしまった。……今日は、飯食ってすぐ寝よう。
何もすることがないと、またあのことを思い出しそうだ。
訂正とか、アドバイスをくれると嬉しいです。