第2話:持つべきものは友達
「あー……ひどいめにあったな……」
「あぁ…そうだなぁ……」
「あぁん?なんか言ったかテメェら?」
「「いえ!言ってません!」」
―――さっき先生の金属バットで気絶した俺とヤスは、1時間ほど保健室で寝かされていたらしい。ちなみに先生曰く、『怪我しないように、気絶させたから大丈夫だ』らしい……。
どうやったら金属バットで、怪我させないように気絶させれるのか非常に気になったが、ツッコむのは怖いのでやめておいた。
ちなみに今は、保健室で目が覚めたので先生と共に教室に向かっているところである。
「おい」
「「はい。なんでしょうか!」」
「テメェら遅刻したから、私の名前しらねぇだろぉ。私は恋塚乙女だ。」
「え?偽名?」
ゴンッ
うわぁ……頭陥没してるし…!生徒に何してんだよ!しかし、ヤスの気持ちも分かるぞぉ…。金属バット常時装備してる人に乙女って名前は合ってないよ!
ガンッ
「痛ッ!なにすんですかっ!?」
「テメェ今、名前合ってねぇとか思っただろ」
人の思考を読まないでぇぇ!!!あなた本当に人間ですか!?あとヤスゥゥゥ!お前は何回気絶するんだぁぁぁ!
「オラ!起きろ!」
ドスッ
「ぐはぁっ!」
おおっ!起きた!でも、また腹抱えて白目むいたまま倒れたよ…。なんか助けてって声が聞こえた気がするけど、友達として聞かなかったふりをします。
「ヤス……お前のことは絶対忘れないからな……俺のことずっと見守っててくれ……」
「って、うぉぉい!友達を見捨てるなぁぁぁ!」
「チッ…………生きてたのか良かったーわーいわーい」
「ちょ、なんで舌打ち!?なんで棒読み!?」
「遊んでねぇで、早くいくぞテメェら!!!」
「「は、はい」」
「よし、じゃあ一応自己紹介しとけ。遅刻組。テメェら遅かったからしてねぇだろ」
「はぁい。冴上修司です。性別は女に近い男よぉ。夢…というより野望は、高校では彼女を作ることでぇす!どうぞ1年間よろしくぅ〜!」
………………………………
えっ!?なにかしら、この沈黙!?スベった!?あたいもしかしてスベった!?
チクショウ!……ヤスもうけないように……邪魔しちゃる!
「俺は、虎島泰弘です。みんな、俺のことはタイガーt『ヤスって呼んでやってくれ』」
「いや、タイg『ヤスって呼んでやってくれ』」
「おいおい!俺は『ヤスだ』」
「………………ヤスです。」
アハハハハハハハ!
おおっ!?思いのほかうけてる!?すげぇよ!
「おいどん……やっぱピンや無理ばい……ヤス!キサンとコンビなら、やっち行けるかも知れねぇ」
「え?なんで博多弁?ってかお前お笑い芸人目指してたんだ?」
こいつ、ノリ悪ぃよ……。
「チッ……俺らの席窓側の一番後ろだって。チッ……俺の前かよ」
「え!?なんか最近俺の扱いひどくないかお前!?」
「チッ……気のせいだろ」
「舌打ちも多いし……」
「いいから席座れ!」
「「はいぃぃ!すいませぇん!」」
「ヤス……どう思う?」
「いやぁ……こりゃもう文句ありませんよ……」
「だなぁ……」
「俺は32番と41番と44番かなぁ……修司は?」
「多いな……俺は出席番号35番かな?」
「えぇぇぇ?なんか、"お嬢様"的なオーラ放ってねーか?」
「バカヤロー。そこがいいんじゃねぇか。それにすげぇ美人だ」
「お前なぁ……いっつもいっつも、攻略難関な奴ばっか選ぶから、いつまでたっても彼女できねぇんじゃねぇか」
―――さて、もう分かってるかと思うが、現在クラスメイトの女子をチェック中だ。このクラス、レベル高いのがすごく多い。これは……チャンスだろぉぉぉ!?
「ヤスちょっと、35番……もとい"桐嶋 早弥"に話しかけてきてくんね?」
「俺かよ!?自分で行けって!」
「お願い!俺達親友だろ……?」
「この野郎……ここぞとばかりに……。わかったよ!行ってくりゃいいんだろ!?」
「ヨロシクゥ!」
「あのぉ〜……桐嶋さん?」
「………なに?」
「あ、え〜とですねぇ……」
「…………えっと!あいつ!修司が話あるってさ!話してあげてよ!じゃ!」
おいぃぃぃぃぃ!!!待てぇぇぇ!なんてことしてくれやがったぁぁぁ!誰がきかっけ作ってくれって言ったぁぁぁ!
「(ごめん……ギブ)」
「(早すぎだろ!本当に話しかけただけじゃねぇか!)」
「(いや、だって……妙な威圧感があるんだよぅ!)」
「(だからって、変なきっかけ作ってんじゃねぇぇ!)」
「話ってなに?」
げっ……!こっち来ちゃったよ!……どうすんのよ?俺!
「………………」
めっちゃ睨んでるよぉぉ!無言で睨まれるのってきついよぉぉ!
「……え、えっとさ」
やべぇ!声上擦っちゃった!なにこいつみたいな目で見られてますけどぉ!
「なんなの?」
「えっ……あ、っと」
ええいっ!!ままよぉ!!!どうにでも、なりやがれぇ!
「いやねぇ、友達になってくれないかなぁ〜なんて思ってさ…………どう?」
「お断り」
「……………そう」
「それだけ?」
「はい…………」
「チッ……」
し、舌打ちされたぁぁぁ!ごめんよぉヤス!いままでお前がどんな気持ちだったのかわかったよぉ!
「ウッ……ウゥゥ……」
「……修司?」
「なにさ…………」
「…やっぱ、予想通りありゃ"お嬢様"タイプだね」
「そう…………だね……」
「……修司!俺はいつまでもお前のそばいるぜ!」
「…………ヤスゥ!」
「修司!」
「「うぉぉぉ!」」
ガシッ
そのまま帰りまで、二人で抱き合っていた。
訂正とか、アドバイスをくれると嬉しいです。