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第19話 スケルトンさんは、思いふける

 カスタネアの大木の魔樹化をかろうじて止めることができた俺達は、その後、無事にゴブリンの集落跡地へ帰還を果たすことができた。


 今回、大活躍だったのはカラだ。


 ピンネの杖の力を上手く使いこなし、短期間で集落跡と大樹の根元、その両方を完璧に浄化してみせたカラ。


 そんな彼の呪汚染浄化(ピリフィケイション)は一気にレベル1からレベル4へと上がっていた。


 そして、嬉しいことに彼のカルマも大幅に上昇した。


 聞いてください!

 なんと、マイナス124から、マイナス78になったんですよ!みなさん!

 すごいでしょ!?カラ、頑張ったでしょ?


 ホント、良かったぁ…。

 そうだよ。

 こんないい子がカルママイナスとか、おかしいだろ。


 いや、確かにちょっとアレなところはあるけど…。


 まあ、それにしてもだ。

 これで少しはカラの恐ろしい進化への道は閉ざされるのでは?


 よし!この調子だ!

 (すこ)やかに育ってくれ、カラ!



 それからもう一つ。

 こちらはネシリからの残念なお知らせだ。


 魔樹への覚醒は一応止まりはしたが、あの大樹の存在はやはり危険だということで、冒険者ギルドへ報告させてほしいと頼まれてしまった。


 というわけで、大樹の近くにあるこのゴブリンの集落跡からはしばらく離れたほうがいいだろう。


 仕方がない。

 嵐が去るまで、みんなを連れてカラの秘密基地に逃げよう。


 後、人間が来るのなら、ギシー達が相討ちしたという、辻褄(つじつま)合わせの準備もしておかないと。

 三人の遺骨の回収と、埋葬は早めにしなければならない。


 場所はここでいいよな。

 ゴブリンの集落跡地。


 ここなら俺達もちょくちょく遊びに来ることもできるし、墓の手入れもしやすいからな。



 アン=シディとオブ=シディが用意してくれた夕食を食べた後、俺は一人、集落を囲っている木の柵の上に腰を下ろし、こうした考え事にふけっていた。


 うーん。

 それにしても、何度考えてもあの大樹の件はやっぱり悔しいなぁ…。


 もう少し上手くやっていれば、ここまで大惨事にならなかっただろうに。

 おそらく大樹のHPもあそこまで膨大な値にはならなかったはずだ。


 あれを相手にする冒険者の皆さんには、本当に申し訳ないことをした。


 あーもー!!


【ナビゲーター】。第二の人生ってのも、なかなか上手くいかないもんだなー。


『アルヴィン(スケルトン LV.13)に早めに睡眠を()ることをおススメします』


 はよ寝ろってか!

 的確なアドバイスありがとよ!


『必ず、しっかりぽっくり睡眠をとることを強く推奨します』


 ぽっくりって!死んでんじゃねーか!


 ああもう、わかりましたよ!

 眠ると気持ちもリセットされるしな!

 わかったわかった。今日はいい子に寝ますよ。


「ちょっと、そこの骨!」


「うぉ!びっくりしたぁ…。なんだ、ハサミ女かよ」


 俺が【ナビゲーター】との脳内会話に(いそ)しんでいると、突然こちらへとやってきたヨウに声をかけられた。


「誰がハサミ女よ。ちゃんとヨウって呼びなさいよ」


「ふーん。だったら俺だって骨じゃないですー」


「ムカつく男ね。じゃあ、アタシも仕方がないからアルって呼んであげる」


 お、それはなかなかいいぞ。

 仲良しっぽくていい。


 と、直接ヨウに言ってしまうと怒られそうなので、口には出さないようにしておこう。


「はいはい。分かったよ、ヨウ。で、何の用だよ」


 俺が尋ねると、彼女はビッと親指で後ろを指差しながら告げた。


「一人で黄昏(たそが)れてないで、アイツらのステータス【鑑定】してみせなさいよ。あと、ついでにアンタのステータスも見せて。これからしばらく一緒にパーティ組むんだし、仲間との情報共有は大事でしょ?」


「あ、そっか。そうだな。今行くぜ!」


 見れば広場の中央で焚き火を囲んでいる全員が、こちらへと顔を向けている。


「おーい!アルヴィン!早く来いよ!」


「ポムの実ジュースも用意したよ!アルヴィンおじさん!」


 わぁ!

 なになに?


 なんかあっち側、めっちゃ楽しそうじゃん!


 早くいこっと!


「早く来ないとカラちゃんが全部飲んじゃいますよー!」


「いただきまーす!」


「わー!待て待て!俺の分、残しておいてくれよ!!」


 俺はバタバタとせわしなく腕を振りながら、仲間達の待つ場所へと駆け出した。


 まあ、今日はもう一日頑張ったから、後はもう楽しもう!



 こうしてスケルトンとして生を受けてから二日目。

 沢山の仲間達と共に過ごす夜は、徐々に徐々にゆっくりと()けていくのだった。






 〜おまけ〜


 第19.5話 スケルトンさん、ステータスを見せてもらうパート2


 [【鑑定 LV.2】による魔物の解析結果]


 ────────

 オブ=シディ(ゴブリン LV.14)

 種族:妖精.小鬼族

 HP:61/61

 MP:34/34

 力:36

 耐久:39

 俊敏:27

 知性:31

 魔力:20

 カルマ:2


【スキル】

 隠密 LV.5/パワーアロー LV.3

【称号】

 人情家 LV.2/かくれんぼマスター LV.7/狩人 LV.5


 ────────


 ────────

 アン=シディ(ゴブリン LV.4)

 種族:妖精.小鬼族

 HP:19/19

 MP:4/4

 力:11

 耐久:13

 俊敏:8

 知性:9

 魔力:5

 カルマ:15


【スキル】

 隠密 LV.1

【称号】

 天使 LV.2/シェフ LV.1/スパイスの魔術師 LV.1


 ────────



 [冒険者ライセンスによる冒険者三名のステータス表示]



 ────────

 ネシリ・ソリオーイ LV.10

 職業:医者(メディック)

 HP:48/48

 MP:53/53

 力:25

 耐久:34

 俊敏:36

 知性:67

 魔力:39

 カルマ:0


【魔法】

 ライトニング LV.2

【スキル】

 外傷回復(ヒール) LV.3/外傷中等度回復(ミドルヒール) LV.1/状態異常回復(キュア) LV.2/魔力譲渡 LV.1/貫通 LV.2/急所突き LV.2

【称号】

 猫好き LV.8/仕置人 LV.2/


 ────────


 ────────

 ヨウシャーフ・マッカーリ LV.8

 職業:戦士(ファイター)

 HP:53/53

 MP:21/21

 力:31

 耐久:34

 俊敏:17

 知性:29

 魔力:14

 カルマ:8


【魔法】

 ウインドカッター LV.2

【スキル】

 大切断 LV.2/ 剣の舞 LV.1

【称号】

 世渡り下手 LV.4/ツンデレ LV.6


 ────────


 ────────

 テイホーフ・マッカーリ LV.7

 職業:暗殺者(アサシン)

 HP:28/28

 MP:22/22

 力:15

 耐久:21

 俊敏:47

 知性:39

 魔力:30

 カルマ:-5


【魔法】

 スモッグ LV.1/ポイズンミスト LV.2

【常時発動スキル】

 毒無効

【スキル】

 隠密 LV.3/索敵 LV.2/瞬間移動(テレポーテーション) LV.3

【称号】

 かくれんぼマイスター LV.2/山菜博士 LV.4/きのこ博士 LV.3/薬草博士LV.4/トキシンソムリエ LV.4/命知らず LV.3


 ────────


 ゴブリン親子は問題ないとしてさ…、ネシリとテイのステータスボードがおかしなことになってるんだよね。

 なにこの将来に不安しか感じないスキルと称号の数々…。


 ネシリ。お前、医者なのにカルマ0って、なんだこの善業と悪業のせめぎ合い。ちょっと仕置人の出番多すぎるんじゃねぇの?


 テイはこれ、絶対毒草とか毒キノコにあたりまくってんな。何やってんだ…。


 間に挟まれてるヨウが一番まともに見えるって、なんなのこれ…。


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