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第10話 スケルトンさんは、堕天させる

 なんでだ?

 なんで神様は俺に【腐れ外道】とか【無慈悲な殺戮者】とか悪口多めに言ってくるんだ?


 魔物だからか?

 魔物には評価辛めなのか?


 害虫駆除しただけじゃん。


 こんなん、庭先に殺虫剤、()きちらかしたりしてる人だって【無慈悲な殺戮者】じゃん。


「納得いかねー!!!」


「どうしました!?アルヴィン様」


「聞いてくれよ、カラ〜。【ナビゲーター】が俺をいじめるんだ!」


『いじめていません。アルヴィン(スケルトン LV.13)の行動に対して、正当で公正な分析を行った結果、付与された能力や称号を報告しているだけです』


 うおっ!

 びっくりした。


【ナビゲーター】がめっちゃ食いついてきた。


「また、変な称号もらったんですかー?後でステータスボード見せてくださいね!」


 カラはカラで完全に面白がってるし…。


 酷いぜ、お前ら。

 俺、まだ生まれて二日目のいたいけなスケルトンなんだぜ?

 もっと優しくしろよ。


『(笑)』


 こいつ、めっちゃムカつく!


「そんなことより…」


 俺が悪徳極まりない存在になりつつあるのを「そんなこと」で片付けやがった、だと…?


 ショックだぜ…。


「そんなことよりですよ!レイローさんを見てあげてください!」


「へ?」


 俺達のかわいいレイローがなんだって?


 俺はすぐさま辺りを見渡し、レイローを探す。


 すると、縦に真っ二つに裂けたムカデの死骸の影から、小さな子猫がそろりと顔をのぞかせた。


 はい、かわいい。


 なんだよー。いつも通りのかわいいレイローじゃ──


「なぁん」


「ひぇっ」


「あ、口から魂出ましたよ」


 なんというご機嫌な甘え声っ。

 危ねぇ…。

 あまりのかわいさに変な声と一緒に魂も出ちまった。


 ではなく、レイローがいつものレイローじゃなくなってる!!


 チャ、チャとムカデの殻の上を爪を鳴らしながら歩いてくる子猫は、間違いなくレイローだ。


 しかし、その背中には黒い小さな翼が一対生えていた。


「う、うちの天使が堕天した…っ!こんなん罪すぎるだろ。最高かよ…っ」


 思わず膝から崩れ落ちた俺の元にレイローが歩み寄り、ふんふんと俺の膝の皿の臭いを嗅いで首をかしげる。


 違う。

 別に膝を痛めたわけじゃない。


 俺は大ムカデを倒し、進化したレイローを抱き上げる。


「にゃあん」


 カラスのような黒い翼をぱたぱたと羽ばたかせながらこちらへ片手を差し出してくる罪な子猫の姿に、我慢できなくなった俺はただただ絶叫する他なかった。


「か、かわいすぎるんじゃあぁああっ」


「進化、おめでとうございまーす!」


 死屍累々(ししるいるい)散らばっている中、子猫を抱えてくるくる踊る骸骨と、その周りを跳ね回る黒い犬。


 はたから見れば、さぞかし気が狂いそうな光景だが、そんなことは知ったことではない。


 そっかー!

 進化したかー。


 俺達の三人衆の中で一番小さくて幼気なレイローが進化かぁ…。


 めっちゃ嬉しいんですけど。


「そうだ。せっかくだから、みんなのステータス確認しておかないか?」


「にゃー」


「そうですね!レイローさんは進化したので、能力値がかなり上がっているはずですよ」


 三人で協力するためには、常にお互いを知ることだ。

 ステータス確認はこまめにした方がいいよな。


「僕は早くアルヴィン様の称号の部分がみたいです!」


 こら!

 こいつは、ホントにもう、悪気もなく…。



 [スケルトン LV.13の【ステータス】]


 ────────

 アルヴィン (スケルトン LV.13)

 種族:アンデッド.スケルトン族

 HP:58/58(↑27)

 MP:42/42(↑24)

 力:26(↑15)

 耐久:32(18↑)

 俊敏:43(21↑)

 知性:61 (26↑)

 魔力:45(23↑)

 カルマ:-123(↓103)


【魔法】

 グレイブ LV.1

【常時発動スキル】

 new→火耐性 LV.1/new→毒無効

【スキル】

 ナビゲーター/ステータス/束縛の呪言 LV.1/支配の呪言 LV.4/鑑定 LV.2/ボーンブレイド LV.3/new→ボーンアックス LV.1/new→呪殺の呪言 LV.1

【称号】

 団体一名様 LV.2/猫好き LV.2/腐れ外道 LV.5/悪への手引き LV.2/new→食い意地モンスター LV.2/new→無慈悲な殺戮者 LV.1

 ────────


 [スケルトン LV.13の保有スキル詳細]


【火耐性】

 火に対する耐性がない者が、己の弱点を克服するために、過酷な修行を行うことによって得ることができるスキル。

 LV.10(MAX)で平均レベルの耐性まで到達する。

 頑張れ。


【毒無効】

 元々毒を体内に宿している者が、毒持ちの相手からの攻撃を受けると稀に取得できる。

 喜ぶといい。これからの一生、君は毒殺の恐怖にさらされることはない。


【ボーンアックス】

 身体の一部を斧状に変化させる。基礎レベルが上がると切れ味もどんどん良くなるぞ!

 ボーンブレイドよりも、重厚感のある攻撃が可能だ。相手の脳天をかち割ってやろう!(LV.1:右上肢)


【呪殺の呪言】

 対象一体を呪殺する呪い。話好き且つ、口の悪いアンデッドが使うことができ(ry

 成功すると、対象の体力が徐々に減少していく。

 呪言の強度は対象のレベル、HP、耐久値との対抗によって決まる。



 色々と言いたいことはあるけど、とりあえず一つだけで勘弁しておいてやる。


【毒無効】の取得条件にさ「体内に毒を宿している者」って書いてあるけど、俺毒持ってないんだけど。

 もしかして、毒舌のこと言ってんのか?


【ナビゲーター】からがゴリ押し解釈して神様からぶんどって来たのかな?

 ありがたいからもらっておくけど…。

 さっきはムカつくとか言ってごめんな。

 無茶すんなよ。



 [【鑑定 LV.2】による魔物の解析結果]


 ────────

 レイロー (ウィッチズ ケットシー LV.15)

 種族:妖精.妖猫族

 HP:60/60

 MP:96/96

 力:30

 耐久:36

 俊敏:72

 知性:42

 魔力:93

 カルマ:30(+20)


【魔法】

 火飴(フオーコ カラメッラ)LV.5/水飴(アクア カラメッラ)LV.1/new→火旋律(フオーコ メロディーア) LV.1

【スキル】

 new→魅了(アッファシナーレ) LV.1

【称号】

 天使 LV.6/小悪魔 LV.3/殺人毛玉 LV.2/new→ジャイアントキリング LV.1

 ────────


【ウィッチズ ケットシー】

 魔女の飼っている猫が、魔力を得て使い魔となった姿とされている。

 また、カルマ値が低い者に育てられたベビー ケットシーが進化した姿。

 人の心を乱す術を数多く持っているため、敵に回すと厄介である。

 因みに、背中の翼で自由自在に飛び回るには、かなりの練習が必要になる。



 うん、ごめん。

 これ、絶対カルマ低い俺達の影響受けたじゃん。

 ごめんよ、レイロー。


 でも、堕天使化してもかわいいぜ。

 むしろ、かわいさが増したと思う。

 すでに俺の心を乱しまくりだ。


 小さな体であの大ムカデを倒した勇気にもシビれたし、それに見合う称号が手に入って良かったぜ。


 これから一緒に飛ぶ練習しような。



 ────────

 カラ (チャーチグリム LV.16)

 ※スキル【死者の守護者 LV.5】発動中

 種族:妖精.妖犬族

 HP:79/79(↑5)→118/118

 MP:57/57(↑4)→85/85

 力:58(↑3)→87

 耐久:51(↑3)→76

 俊敏:69(↑4)→103

 知性:34(↑3)→51

 魔力:31(↑3)→46

 カルマ:-124


【魔法】

 攻撃力増加(エンハンスメント) LV.5/速度加速(アクセルレイション) LV.4/外傷回復(ヒール) LV.2/状態異常回復(キュア) LV.2/呪汚染浄化(ピリフィケイション) LV.1/悪霊払(エクソシズム) LV.1

【スキル】

 死者の守護者 LV.5/死の宣告 LV.2/威圧の咆哮 LV.3//祝福 LV.1

【称号】

 生贄 LV.10(MAX)/人好き LV.5/本の虫 LV.8/負け犬 LV.4/受け継いだ者 LV.10(MAX)/new→忠犬 LV.2

 ────────


 カラは元々レベルが高かったのと、今回の作戦では敵を弱らせるのが役目だったから、レベルの上昇値は少なかったな。

 それでも、あいかわらずカラはつえーな。


ちゃっかり回復も使いこなしてたところもカッコいい。


しっかし、【死者の守護者】って、これ、レベルが上がるごとに0.1ずつ値が増えてくんだろ?

 てことは、最終的には能力2倍になるんじゃないか?


 うわ、つよ。



「アルヴィン様ったら、外道の次は殺戮者ですかー」


 ──言わないで。気にしてるんだからっ!


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