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空と海。  作者: 藤野 楸
1/1

prologue

青く広がる空と海が、この世界には僕ら二人だけしかいないと錯覚させる。


‥‥本当にこの世界に二人だけだったら、どんなに良かっただろうか。


僕らは浜辺に並ぶようにして座った。

すると波の音に合わせるように、隣に座る彼女が口を開く。


『知ッテイマスカ?海ガ青色なノハ、空ニ恋ヲしてイルカラなンデスヨ』


彼女の声にはノイズがかかっていた。

けれど、その壊れたラジオのような拙い発音は、彼女の持つ優しい微笑みによって不快なものにはならなかった。


『ダカら、私ハ。。。』


そんなことを考えていると、彼女は話を続けながら顔を覗き込んできた。

僕の瞳に彼女が映る。

人の姿をしているけれど人では無いもの。


涙のでない緑色の瞳。

胸元以上に伸びることのない灰色の髪。

うなじの丁度下辺りに取り付けられた四角形の装置。


自分の人ではない部分を順番に眺めながら、僕を見つめる。

涙は流していなかったけれど、その表情は悲しみに満ちている気がした。


『マダ貴方ニ、恋ヲシテいまセン』




......next.

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