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君を救う死生活  作者: 鈴先壮 ゆっクリ
第一章 絶望に満ちた三日間
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第一章1『やり直し』

「あれ?」


――ここどこだ?

「確か俺……」


 何故ここにいるかわからない

――ただ何故か一つわかる


「やり直し……か」


 ---水瀬家にて---


「俺の名前は水瀬木葉! 由来は木のように高く育ち、葉のようにいつか落ちるという意味だ!」

 俺でもわかるふざけた名前だ

 何が高くだ、何がいつか落ちるだ。酷い名前だ俺につけるなんてとんだ間違えだ。いや

「間違えじゃない」

 中学生まで人より高くいる気がしてた

「でも」

 いつの間にか落ちてた

 高校に上がったと同時に俺の中の何かが崩れ落ちた。

 多分自信だ

 嘘が上手く人を簡単に騙せた俺は何回も嘘を付いた

 中学生になるまでは

 中学生にまでなれば大体の嘘かわかる奴が現れる。社会に出れば、嘘が本当か偽物かなんてほとんどの奴がわかる。

 結果周りから

 俺は『ただの嘘つきになった』

 間違いじゃない。でもそうしないと俺は上へ行けなかった。俺は上へ目指し過ぎた。

「でも後悔はしてない」

 自分が弱者だと気づけたのだから。

 この世界は弱肉強食だ。

 弱者はどうすれば強者から身を守れるか考える。強者はどうすれば強いままで居られるか考える。

 なら俺は嘘をつき強者から身を守る。


「だから俺は」


――嘘つき

「人が悲しんでも」


――自分が守れるなら

「他の奴なんてどうでもいい」


――ただそれしか考えない

 考えたくない。

 俺の事を全く知らない人に会ったら俺は、またその人より上に立てれるように嘘を付く

 人との関係なんて面倒臭いだけだ

「今日確か小説発売日……」

 ただ人と関係を持ちたくないから

「早く行ってちゃっちゃと帰るか」

 自分だけ遠回りをする。

「人混み多いな……」

 どうすればこんな人生終わるだろうか。簡単な話、死ねばいい、それでも痛いのは嫌だ

 何か、俺が元からいなかったように消えたいな


「おい坊主危ねぇぞ!」


――その瞬間世界が反転した。


「うっ何が?」


「誰か救急車!!」


「何だ?」


「何? 子供引かれたの?」


「うわマジかよ。誰が引かれたんだ?」


「あれ? この子確――」


「あれ? 音が聞こえない?」


 それに何故か目が少しずつ見えなくなってるような


「だ……れだ?」


 目の前に人がいる気配がするだけだがその存在は周りの者よりも、存在感を発している。

 とても不思議な感じだ。

「――」

 その子は喋らない。

 てか俺が轢かれたんだ。そりゃ聞こえるわけないか、俺もう死んだんだし、不思議と痛みはなかった、悲しくなかった、でも一つ心に何か大きな何かが、ポッカリ空いた気がする

「――」

 女の子の声は聞こえない。轢かれたんだ。当たり前だ。

 でも何故か俺はまだ意識を持ってる。俺はこうして心の中で語ってる。

 轢かれて死ぬ。

 どんな感じだろう、どんな姿をしているのだろう


「知りたくない」


 そう、声が出る。でも違う。


「思い出したくない」


 それは心の中の俺とは別の何か


「もう死にたくない」


――あっ……どんどん心の中で喋るのも無理になってきた……死ぬのか。


「死にたくない」


 俺はそう発した……と同時に聞こえた。


「愛してる」


 俺の世界が崩れ落ちた

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