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黙視不可能
誰かが泣いている
お空の下で
とめどない涙を
あらぶる風雨でごまかして
誰かが震えている
暗闇の中で
こぼれ出る声を
叩きつけてくる音に紛れさせて
僕が伸ばした指は
ちゃんと拭えているのだろうか
僕が伝えようとした言葉は
ちゃんと聞こえているだろうか
大丈夫 傍にいる
離さない 助けたい
共有したい 受け止めたい
僕が表現した願望は
独りよがりになっていないだろうか
もし
荒れ狂う環境が
僕の判断すら
歪ませていたとしたら
風雨の中で君は微笑む
それは僕の指が涙を拭えた証拠だろうか
暗闇の中の嗚咽がやむ
それは僕の言葉で君が安心した証だろうか
申し訳ないとか思わなくていい
笑顔を見たいって、エゴなんだ




