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第一話(最終話)
バスに乗り遅れました。
雨風が強くて少し歩くのが遅くなっていたのでしょう。
次のバスでも間に合うわ、と、別段気にも留めず待ちます。
14分後、次にやってきたバスは少し混んでいました。
隣に立つOLさんが傘を手首にかけていて、
その先端から私の足元に水滴がぽたりぽたり。
バスが揺れるたびに小さく冷たく、困ります。
しかし引っ込み思案な私は、何も言えず、可能な限り足をずらすばかり。
それでも水滴は不定期にかかります。
その時でした。
「おねーさん、傘の水滴、隣の人にかかってますよ」
私たちの前に座っていた男子が、にこやかに、私の隣のOLさんを見上げていました。
同じ学校の制服。
どうしてなのか、同じであることに安心しました。
OLさんが傘の持ち方を変えてくれたので、水滴は落ちなくなりました。
私は学校最寄りのバス停で降り、傘を開いてからふっと振り向きます。
バスを降りる彼の姿。
「あの、」
「ん?」
「ありがとうございました!」
お辞儀をしてから、駆け出しました。
どうしても、それ以上の勇気は絞り出せないのでした。
一期一会もどき。




