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参詣
金色の衣は
あの人の望みだったのか
木彫りの微笑みこそ
あの人の願いだったように思う
薄雲漂う明るい空と
緑青の御殿と
謹み深い紫の垂れ幕が
ベージュのコートと
黒いタートルネックをすり抜けて
肌にこびりつく真夏の風のように
肺胞の周りでとろりと遊ぶ
君の望みを知りたかった
知ろうとしなかった
知るのは怖かった
物言わぬ微笑みの前なら
こんなにもあっさり吐露できるのに何故
その微笑みが全てを許してくれると
錯覚しているのかそれとも
未だに生きた瞳や心に向き合うのが
恐ろしいのか
神聖なものと向き合う時のように
距離を置いて眺めるのが適しているというのか
尊い、とは。




