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微調整不可能
消したくないものが残らずに
早く消えて欲しいものが残る
命令を無視する僕のメモリ
言いたいことを頑なに吐き出さず
言いたくないことを簡単に突きつける
命令を無視する僕のスピーカー
見たいものは見える
聞きたいものも聞こえる
だけど見たくないものや聞きたくないものだって
僕の内側にはどんどん溜まっていって
たとえば察知しておくべきだった
君の表情とか声色とか仕草は
簡単に五感の端に追いやられていく
僕はいくつになったら
僕の機能を上手く使えるのだろうか
僕はいつになったら
僕の調整を正しくできるのだろうか
「ありがとう」
「大好きだよ」
今日もまた僕の指は
僕の操縦に失敗して
固い拳へと退化する
難しいのです。