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第7話 リカコ

なんだか自分がどんどん面倒な事に巻き込まれているような気は・・すごくある。

それまで当たり前と思っていた平和で平凡な毎日が少しずつ遠ざかっていくような。


そして約束の日がやって来た。

未麻は前日の夜に、「明日はよろしくね」といった内容のメールを送ってきただけだった。

やっぱり断るべきだったと後悔しつつ僕は重い足取りで家を出て電車に乗る。


美麻の言った通り駅前の柱の横に少しぽっちゃりした女が立っていた。

間違いなく街でナオトと一緒にいた女だった。


僕は恐る恐る近づいてまずあいさつをし、都合が悪くて来れない(ウソである)美麻の代わりに自分が来た事を伝えた。


「はじめまして。君が美少女の代わりの人?」


近くで見る彼女の顔は色白でどちらかというと地味な見た目だった。

美人でもないしブスでもないが、美麻の方が百倍はキレイだと思った。

てっきり文句の一つでも言われるかと覚悟していたが相手の態度があまりにも普通だったのでなんだか拍子抜けしてしまった。

美麻が来ない事に怒っている様子はなかった。


僕達は近くのコーヒーショップに入って話す事になった。

注文を待っている間、妙な事になったと思っていた。

なぜ僕がナオトの彼女と二人でお茶をしなければいけないのか・・

周りの客からじろじろと見られているような気がしてなんとなく落ち着かなかった。

そんな事を考えているとふいに彼女が甲高い声で話かけてきた。


「あたしリカコ。名前は?」


人見知りとは無縁の性格らしい。

少し安心した。

僕のような挙動不審ぎみの人種が珍しいのかじっと見つめてくる。

よく見ると愛嬌のある顔をしていた。


「君が美少女の彼氏くん?」

「かっ・・彼氏じゃない」


ついどもってしまった。

リカコはニヤニヤしている。

しまった。僕ってそんなに態度で分かるのだろうか?

たまらずごまかそうとしてコーヒーすすった。

彼女はバッグからタバコを取り出し、断りもなしに僕の目の前で吸い始める。

フーッと煙を吐き出す様子は妙に貫禄があった。

僕は煙をもろに吸い込んでしまいむせそうになった。

そしてリカコはそれまでと違うやや真面目な顔付きになってしゃべり始めた。


「あの子に忠告、ナオトはやめといた方がいいよ。本気になる男じゃないよ」


意外な事を言うと思ったが、それは僕も同感である旨を伝えた。

すると彼女は「へ〜うちら気が合うじゃん」と妙な事を言った。

美麻は彼女の事をかなり嫌な女だと言っていたが実はけっこういい人なのかもしれないなと思った。


「だってリカコも本命は別にいるし。まぁ悪い奴じゃないんだけどね」


最後にナオトへのフォローも忘れなかった。

自分の事を名前で呼ぶのはちょっとバカっぽい気がするが・・。


それから少し雑談などをした。

彼女の話はほとんど分らなかったので僕はうわの空だったが、本人はそんな事は全く気にしていない様子でしゃべり通した。

コーヒー代をリカコが払ってくれて僕達は店を出た。


ナオトという男については最初からいい気はしなかったが今日彼女の話を聞いてよりいっそう実感した。

あまり言いたくないが未麻はそいつに遊ばれているんじゃないか。


ケータイを開くと美麻からメールが来ていた。

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