先生へ
先生へ。
僕が中学生の時に出会った先生へ。
僕はあなたのことが嫌いでした。
何故かと言えば、会えばいつも怒られてたからです。
今でも、あの頃の様々な場面を思い出すことができます。
しかし、何故怒られてたか、不思議と思い出すことができません。あの日、あの時何故怒られてたか?
しかし、1つだけ鮮明に思い出すことができるのは、僕が他校の生徒と喧嘩し、警察にお世話になった時です。
あなたは、僕を張りました。
野球部が試合に出られなくなる!
周りのことを考えろ!
怪我をさせた相手に誰が責任をとると思うんだ!
先生が言ったことは、とても大事なことでした。
しかし、あの時先生は僕を褒めましたね。
あの時、僕と僕の友達数名は、カツアゲされた、クラスメイトの金を取り返しに行ったんです。
運動部で、体を鍛えている僕たちと何もしていないヤンキーで、とんでもなく大変なことをしてしまいましたが、あなたは理由を言ったら、「ありがとう」と言ってくれました。
僕は訳が分かりませんでした。
この喧嘩は良かったのか、悪かったのか…
しかし、先生に張られたことはあの一度きりしかなかったので、悪かったのです。
しかし、今ならわかります!
先生は、僕たちの仲間を思う気持ちを褒め、行動を叱ったのだと。
気持ちは共感し、行動を叱ったのだと。
ありがとうも何も言えないまま、大人になりましたが、僕は今、教育者を目指しています。
あなたが、心理学を学んでいたので、カウンセリングができる教師になろうとしています。
あれだけ嫌いだったあなたを、僕はどこかで尊敬していたのですね。