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青と紺〜色が織り成す物語。ー  作者: k.a
第1章。青と紺〜出会い〜
8/18

今と昔。

こんから届いたメールを見たみどりは、

すぐに返事を返そうとしたが。


あおい、メールが来たよ。

…紺さんから。今日の夕方会えないか?って。


返す前に翠は蒼にメールが来た事を伝える。


昨日の今日だよ?…会えないよ。

きっと騙してた事を怒られるに決まってる。

紺さん…私達の事、嫌いになっちゃったかな。ー


確かに会いづらいな…。

でもあのまま言わなかったとしても。

いつかはきっと気づくはずだ。

その時に嫌われて、捨てられるより。

お互いをまだよく知らない内に、

離れた方がいいに決まってる。

もう捨てられるのは嫌なんだ。ー


…ごめん。嫌な事思い出させたね。ー


いいんだ、俺にはもう蒼が居るから。ー


翠は紺にメールを返した。


ごめん、紺さん。

まだ俺も蒼も心の準備ができていないんだ。

だから今は会えない。ー


翠の正直で率直な文に、紺は。


わかった。

すぐにでなくていいんだ。

また連絡をしてほしい。

最後にこれだけは言っておく。

翠。お前は話を端折はしょりすぎだ。

あれだけじゃ怒られても仕方がないぞ?

俺は藍梨ちゃんから全部聞いたから

騙していた事には怒ってない。

だからそう蒼に伝えてくれ。ー


翠は紺からのメールを見て涙した。


ごめん…ごめんなさい、紺さん。ー


どうしたの?どうして泣いてるの?ー


蒼は心配そうに翠に尋ねる。


翠は蒼に身体を預ける。


え?これ…グスン。


蒼は鼻をすすり、翠と同様に涙した。


紺さん…いい人過ぎるよ…。


そして2人は泣き疲れ、目を腫らした。


しかし現実に戻る。


あっ!仕事に遅刻する!

蒼!身体を代われ!ー


翠は大急ぎで仕事に向かった。


遅刻だぞ!翠!

朝礼はとっくに終わったぞ!ー


すいません!寝坊しました。ー


まったく、今日は工務店の

お偉いさんが来ているってのに。

どうして今日に限って寝坊するんだ。


本当にすいませんでした。


大工の親方に怒られる翠。


次はないからな!ー


はい!ー


翠は怒られて、肩を落とし歩き出す。

翠は1人の男とすれ違う。


あの、失礼ですが。

大工の職長さんの村橋さんですか?ー


あぁ、そうだが?あんたは?ー


はじめまして。

株式会社、佐々木建設の

佐々木 白馬はくばと申します。ー


し、失礼しました。

これはこれは、佐々木社長。

よくおいでになられました。

どうぞこちらへ。ー


親方の村橋と佐々木は、

現場事務所の方へ歩いて行った。


ぷぷっ、あの親方がへこへこしてるよ。ー


翠の前に笑いながら大正たいせいが歩いてきた。


誰なんだ?あの佐々木ってやつ。ー


佐々木建設の社長だよ。

この現場を請け負っている工務店の偉いさんだよ。ー


とりあえず喋ってっと怒られるから

仕事でも始めますか。ー


ヤバ、急ごう。ー


2人は急いで仕事に取りかかった。


12時、昼休憩。


翠、また紺と3人で呑みに行かね?ー


え?紺さんと?ー


大正の誘いに、顔を引きつる翠。


どうした?紺と何かあったのか?ー


心配そうに聞く、大正。


別に何でもねぇよ。ー


そう言って昼食を食べ始める翠。


まぁ言えない事なら

無理して言わなくていいよ。ー


大正も昼飯を食べ始める。


翠。ー


ん?どうした?ー


今の俺、カッコよくなかったか?ー


全然。ー


なんだよ、冷たいな。

紺にもそんな態度を

とってる訳じゃないだろうな?ー


大丈夫だよ、まぁ色々あったけど…。


ん?て言うか。

俺抜きでお前ら会ってるだろ!?ー


あぁ、会ってるよ。

また会う約束もしてる。ー


おい!仲間外れにするなよ。ー


大正はふてくされながら、翠に抱きついた。


気持ち悪いな、離れろよ!ー


翠は嫌がってはいたが、

楽しそうに笑っていた。


そのまま昼休憩が終わり。

仕事も終わり、午後7時。

大正と翠は晩御飯を食べに居酒屋に入った。


大正、お前には全部話すよ。

紺さんと初めて会った時に喧嘩していた理由と

俺と紺さんが今、気まずくなった理由を。ー


翠は大正に今までの事を話した。

紺と蒼の事、自分の過去、自分と蒼の事。

全てを話した。


……。お前も大変だったんだな。

紺が怒るのもわかる気がする。

けど紺はそんな事で

嫌いになったりする奴じゃないから。

安心しろ。な?ー


知ってるよ、紺さんはそんな人じゃないって。ー


あとな、お前が孤児院で育てられたからって

自分が可哀想だとか思うなよ?

実はな、俺も昔、親に捨てられてな。

8歳の時に孤児院に預けられたんだ。ー


え?大正もなのか?ー


翠は驚いた。


今時、珍しい話じゃないだろ?

俺らの親世代が好き勝手やってたんだからな。


大正は酒をみながら。語り出した。


お前はおかしいと思わないか?

親達の名前は『正志まさし』や『直樹なおき』みたいな

普通に読める名前なのに、

俺らの世代は『光宙ぴかちゅう』とか『あだむ』、『火星まあず

読めない名前ばっかりだろ?


小学校の頃なんて、

10人に1人はそんな名前だったしな。

10代で子供を産んで、

ペットみたいな名前をつけて、

ムカついたから虐待。

結果、逮捕されて残された子供は施設へ。

育てれないから自殺、子供は施設へ。

もっと遊びたいから子供を放置。

役所の人間が子供を保護。施設へ。

俺らの世代はそんな奴が多いんだ。


翠。お前はまだ19だから

わからないだろうけどな。

二十歳はたちを越えると、

色々知ることになるだろうな。


今は二十歳はたちを迎えないと

男も女も結婚して

子供を産めない法律だけどな、

昔は、男は18歳、女は16歳で

結婚できてたんだぜ?驚きだろ?


別に10代で子供を産んだ親が

みんながみんな、そうって訳じゃないけど、

好きな名前を、世界に一つの名前を、

子供に付けるってのもわかる。

けど1割の親が好き勝手やっているから

残りの9割もそうって思っちまうよな。


だからお前だけが不幸なんじゃないんだ。

産まれた時代が悪かっただけなんだ。ー


大正は話をし終えると、

酔いが回ったのかグッスリと眠りについた。


何だよ、自分だけ話して寝やがって。ー


翠は寝ている大正に上着をかけた。


確かに、大正の言う通りだな。

俺もいつまでもウジウジしてられねえな。


翠は残っている酒を飲み干し。

大正をおぶって店を出た。


悪りぃな、翠。助かった。ー


いつもいつも、いい加減にしろよな。ー


本当に悪かったよ、翠も気をつけて帰れよ。ー


じゃあ、また明日な。ー


翠は大正を家まで送り届け、家路に着いた。


















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