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青と紺〜色が織り成す物語。ー  作者: k.a
第1章。青と紺〜出会い〜
5/18

紺と藍。

どっ!どうしてあんたがここにいるのよ!?ー


こんの隣の席に居たのは藍梨あいりだった。


別に俺が何処で飯を食おうが勝手だろ?ー


紺も負けじと言い返す。


ちょっと離れてくれる?

仲が良いと思われたら不愉快よ。ー


そう言われても、

ここの席しか空いてないぜ?ー


フンッ、ならこっちを見ないでくれる?ー


なぁ、俺って藍梨ちゃんに何かしたか?

どうして俺を目の敵にするんだ?ー


紺は

初めて会った時からの疑問を藍梨にぶつけた。


別に!

ただあおいがあんたの事を好き…いや、

気にしてるからよ。ー


なんだよそれ。

まぁいいけど、それより藍梨ちゃんの言ってた。

『ある人』に会ったよ。ー


ウソッ!?何処で?みどりに会ったの!?ー


ガシャーン!


藍梨は驚きのあまり立ち上がり

テーブルの上のドリンクをこぼしてしまった。


おいおい、大丈夫か?


紺はすかさず立ち上がり、

ポケットに入っていたハンカチを

そっと藍梨に手渡した。


別に自分で拭けるんだから!

で、でも一応借りてあげる。ー


藍梨は紺にハンカチを借り、服をぬぐった。


ありがとう、これは洗濯して返すわ。ー


そう言って紺のハンカチをバックに閉まった。


そんなツンツンすんなって。

でもやっぱり翠の事だったんだな、

『あの人』って。ー


翠は…私の事何か言ってなかった?ー


え?特に何も。ー


そう。ー


藍梨は不機嫌そうになり、

紺のテーブルの前に座った。


あっちは濡れてるから

こっちに座っていいわよね?ー


俺は構わないけど。

それより翠は蒼の何なんだ?ー


お待たせしました。アイスコーヒーです。ー


あぁーそれね、翠は蒼のお兄ちゃんよ。

まぁ、あの2人は他人には立ち入る事が

出来ないくらい複雑な関係だからね。ー


藍梨は紺が頼んだ

アイスコーヒーを飲みながら答えた。


それ俺のコーヒー…。ー


紺はそう思ったがえて流した。


あの2人は兄弟なのか、

それじゃあ名字が同じなのも、納得だな。

それで?複雑な関係って言うのは?ー


ダメダメ、それは私の口からは教えられないわ。

まぁ多分、

本人に聞いても教えてくれないと思うけど。ー


なんだよそれ。ー


紺は気になって仕方がなかったが

これ以上聞いても無駄だと思い、

それ以上は聞かなかった。


藍梨ちゃん、

そこの店で服でも買いに行こうか。ー


なっ、何よ急に!?びっくりするわね!ー


その服、濡れてるだろ?

いくら夏でも風邪引くといけないからさ。

濡らしたのも半分は俺のせいだし、な?ー


わかったわ。連れてってあげる。

でもご飯を食べた後にね。ー


2人はファミレスで一緒に食事を済まし、

近くの服屋さんに入った。


わぁー、これ可愛い。ー


紺は藍梨の笑顔を初めて見た。

藍梨は目を輝かせて、色々な服を物色していた。


どっちにしよっかな。ー


藍梨ちゃんってさ、その色好きなの?

この間も、今日も、

同じ色の服を着ているよね?ー


別にいいでしょう!

あんただって、この前は紺のスーツだったし

今日も紺色の短パン履いているじゃない!ー


そんな怒るなよ、俺は紺色好きだぜ?

まぁ名前が紺ってのもあるけど、

藍梨ちゃんのその服も紺色だろ?ー


ちっ、違うわよ!

これは藍色。紺色とは別よ!ー


あぁー、なるほど藍梨ちゃんの『藍』は

藍色の『藍』なんだね。ー


そうよ、暗い青色が藍色。

紫がかった青、濃い藍色の事を

紺色って言うのよ!

似てるようで別物なんだから、

一緒にしないで。ー


悪りぃ、悪りぃ。ー


決めた。

この服にしーよっと。ー


紺は何も言わずに藍梨が持つ服を手に取り、

レジへ向かった。


ちょっと、自分で払うわよ。ー


いいからいいから。ー


そう言って紺は支払いを済ませ、

2人は店を出た。


あ…ありがとう。ー


いいって。ー


今度は私がおごるわ。

また連絡してあげる。

だからアドレスを教えなさい。ー


どうして最近の年下は上から目線なんだ?ー


紺は不思議に思いながらも、

藍梨にアドレスを書いた紙を渡す。


あんたは悪い人じゃなさそうだから

これだけは教えてあげる。

その代わりもう蒼の事は忘れてあげてね。ー


藍梨は紺には見せた事のない、

優しい顔で話し始めた。


蒼と翠はね、

小さい頃に家族のトラブルで

別々の家で育ったの。

蒼と翠がまだ2歳の時に、蒼は父母に。

翠は祖父母に預けられてね。


2人ともまだ幼かったから、

覚えていなかったみたいだけど。

翠が6歳の時に、祖父母が亡くなっちゃって

その祖父母の遺書に、

『翠、あなたには兄弟がいるの』

『今まで黙っててごめんなさい』って

そう書いてあったらしいの。


でも父や母と連絡が取れず、

身寄りのない翠は施設で育ったの。

私はその施設で初めて翠と会ったのよ。


そして翠は7歳の時に

蒼と奇跡的な再会を果たしたの。

翠は自分の親に捨てられたと思ってる。

1人は要らないからって、

自分だけ祖父母に預けられたと思ってるの。

だから蒼は翠のかけがえのない

たった一人の家族なの。ー


…そう…なんだ。


翠と蒼のあまりに

重く辛い過去に紺は言葉を失った。


私が話せるのはここまでよ。

それより知りたければ翠に聞きなさい。

でも約束通り、蒼の事は忘れてよね。ー


藍梨ちゃん、話してくれてありがとう。

蒼ちゃんの事を忘れられるかはわからないけど、

君の顔を潰すようなマネはしないよ。

じゃあまたな。ー


紺は優しい表情でそう言うと

藍梨に背を向け歩いた。


藍梨は紺の背中を見つめて1人呟いた。


何なの…あいつ。ー





















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