紺と緑。
翠、君は俺を知ってる風に言うが
何処かで会った事があるか?ー
いや、紺さんに会うのは初めてだ。
だけど紺さんの事は前から知っている。
藍梨から聞いていたからな。ー
紺がずっと思い続けていた、蒼。
その蒼と同じ名字の翠。
紺は2人がどういう関係かが気になった。
もしかして、藍梨ちゃんが
言ってた『ある人』って君の事か?ー
藍梨が何て言ったかわ知らないが、
俺は藍梨に蒼の見張りを頼んだんだ。
変な虫が付かないようにな。ー
変な虫ってどういう事だ!?ー
紺は怒りのあまり、急に立ち上がり、
翠の胸ぐらを掴んだ。
おい!止めろよ!
俺はお前らの話についていけねぇ、
けどな、2人共もっと冷静になれ!ー
大正が、胸ぐらを掴む紺の手を強く握った。
悪りぃ、ちょっと熱くなりすぎた。ー
紺は反省して、席に座った。
翠!お前もお前だ!
2人がどんな関係かは知らねぇがな
仮にも年上にその態度はねぇんじゃねえのか?ー
…ごめん。ー
大正のあまりの迫力に翠もボソッと謝った。
まぁ仲良く3人で呑もうぜ、な?ー
大正は和ませるように、
笑って2人にグラスを持たせた。
それでは…乾杯!ー
3人はギスギスしながらも、
大正のおかげ楽しく食事をする事ができた。
午後10時。酔いが回り、
3人が出来上がってきた頃、
紺が翠に話はじめた。
なぁ翠。
蒼ちゃんは元気なのか?ー
あぁ、元気にしてるよ。ー
そっか…それが聞ければいいや。ー
紺さんは本気で蒼を愛しているか?
何があっても、愛し続ける自信があるか?ー
真剣な翠の言葉に、
紺は持っていたグラスをテーブルに置き、
真剣に答えた。
あ…、あぁ愛おしく思ってる。ー
紺は『愛している』と答えるつもりだったが、
『愛する』という言葉の重さに気付き、
言うのを躊躇った。
そうか…紺さんとは仲良くなれそうだ。ー
よかった、よかった。
2人共もっと仲良くなーれー。
そんでもって呑もうぜー。ー
酔っ払った大正が2人の肩を組み。
大声で叫ぶ。
おい、大正。
ほどほどにしろよな。ー
そうだよ、紺さんも困ってるだろ!ー
ふっ。ー
酔っ払った大正を見て、2人は目を合わし笑った。
それから3人は時間を忘れ飲み明かした。
深夜1時過ぎ。呑みすぎた3人は店を出た。
酒の力もあり、紺と翠は初対面とは思えないほどに
仲が良くなった。
こ、紺さん!また呑みましょーう!ー
翠はもうフラフラだった。
また呑もーう!
気をつけて帰れよー、みーどり!ー
紺も負けず劣らずフラフラだった。
次も3人で呑も…呑も…呑もウェエ、オェエー。ー
大正は潰れていた。
翠、これ俺のアドレス。
またゆっくりお茶でもしようぜー
紺は翠にアドレスを渡した。
おう!じゃあまたな!ー
3人は最寄りの駅で別れた。
翌日。
くぅー、頭痛てぇー。
ふぅこれは完全に二日酔いだな。
今日が日曜で本当によかった。ー
昨夜の呑みすぎで、紺は案の定
二日酔いになっていた。
ピピッ
紺の携帯が鳴る。
ん?あっ翠か。ー
翠だ。
紺さん、昨日はありがとう。
酔っててあんまり覚えてないけど、
今度は素面でゆっくり話がしたい。ー
メールのタイトルが『翠だ。』って…
あいつ面白い奴だな…ふっ。ー
紺は何故か翠の事が好きになっていた。
わかった。
俺も素面で話をしたい。ー
今日の夕方は空いているか?ー
あいつ、本当に上からモノを言うな…
年下…だよな?ー
紺は1人部屋で疑問に思う。
まぁいいか。ー
空いているけど、何時に何処にする?ー
わかった。
午後5時に駅前の喫茶店で待っている。ー
翠からのメールを読み、携帯を閉じる。
5時か。ー
紺はふと時計を見る。
時刻は昼を回っていた。
それまで暇だな。
とりあえず飯でも行くか。ー
紺は着替えて外に出た。
紺は昼食を食べに近所のファミレスに入り席に着いた。
御注文がお決まり次第お呼びください。ー
とりあえずアイスコーヒーを一つ、お願いします。ー
ありがとうございます。ー
紺は店員さんにアイスコーヒーを頼み、
メニューを開き、何を食べるか決めていた。
ふと隣の席に目をやると…。