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東宮さん宅の日々  作者: もらし たみお
桜の花よおいでませ、いってらっしゃい鴉君編
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流輝の日常~2~

なぜか料理小説になってきている予感がするのは気のせいか?まぁいい、ではしばらくぶりの第2編始まります。

ジャガイモを茹でて皮を剥き、茹でている間にフライパンでひき肉と刻んだ玉ねぎを炒める。粒が少し残る位まで潰したジャガイモに炒めたやつと塩コショウをお好みで混ぜて少し大きめの俵型に。小麦粉、溶き卵、パン粉の順に潜らせて160℃の油でビチビチと音を立ててコロッケを揚げていく。っと炊飯器からピーッと米の炊けた合図が聞こえた、炊飯器から炊けた飯をおひつに出して冷ましながら洗い終わった次の米を炊飯器に入れてスイッチを押す。

揚げる為のコロッケが残り4回分位になった時に耳元で声が聞こえた。


「バカ先輩っ、姉様がまたタチの悪いやつに絡まれそう。僕だと浄化の力無いから早く来て。場所は家の近くの噴水のある公園の近く。」


ケータイではなく風で自分の声をこちらに届けるという事は相当ヤバイ状況らしく、切羽詰ったような空牙の声が聞こえるが、今揚げ物中なんだよな…、狼亜近くに居ないか?


「またか、今週で何回目だよ。」


「3回目だったはず、早く来て。」


「今揚げもんしてんだが…。」


「…姉様と揚げ物どっちが大事なの?」


現状を報告すると冷ややかな声でそう言われた。これはかなり怒っていると見て間違いが無い。分かってはいんだがっといい所に


「分かった今行く。おい、狼亜。悪いんだがこれ代わってくれ聖奈がまた絡まれたらしい。」


「早く来い。」


それだけ言われると何も聞こえなくなり、今日の夕飯のおかずを確認しにきた狼亜にコロッケを揚げる事を押し付けると黒のエプロンをはずし、狼亜に向かって放り投げた。


「またですかい、これで何回目でしたっけ?」


片手で揚げたてのコロッケを摘みながらもう片方の手でエプロンを受け取り着衣した。


「3回目だそうだ、後頼んだ。」


「了解致しました。それでは御早い御帰りを御待ちしておりますよっと。」


焦げそうになったコロッケを上げつつ器用に此方に向かい恭しく礼をする。2面性を知らなければ只の道化の様だが裏を知っている俺にとっては裏の言葉が聞こえて背筋がゾッとなる。要約すると、

「またですかい、これで何回目でしたっけ?(だから暗くなるまで出歩くんじゃねーっつてんだろうが。)」

「了解致しました。それでは御早い御帰りを御待ちしておりますよっと。(ちっ多いな、原因探ねぇとか。分かった分かった、こっちはいいから早く行けグズ。あっコロッケ焦げる。)」だろうか。


コロッケは狼亜に任し、急いで靴を履き玄関を飛び出して薄暗くなってきた道を走り出す。


1分半程で言われた公園に到着したが見渡すが聖奈と空牙の姿を発見する事はできずに近くを散策するが見つからない。ケータイに掛けようとした所で強い霊力を感じ、聖奈のだと気づいた。二つ先の路地に入っていたらしい。


人が見ていない事を確認し、軽く助走をつけジャンプする。と空牙が風でかろうじて人型を保っている黒い塊を切り刻んでいるところが見えたが、すぐに元に戻りゆっくりとだが確実に聖奈達に近づいていく。普通の霊なら軽く脅せば逃げていくやつが多いが悪霊になると見境無く襲ってくるやつが多い。一つ前の路地につきまた助走して家を飛び越える。


「聖奈、空牙またせた、大丈夫か?っとやばいなこいつ。聖奈、術式使用許可よこせ、浄化する。」


ダンッと音を立てて着地し、悪いとあやまる。聖奈が、許可を出そうとしていたので軽く急かすと


「遅いこの屑、もっと早く来いよボケナスが。」


「はいはい、来てくれたのにそんな事言わないの空ちゃん。うぃ流兄いっくよ~“汝が主聖奈が命じる、今一度汝の戒めを解き放ち束縛からの開放を許可する”」


その言葉と同時に手首を切り裂き聖奈の手首から血が流れ出てくる。手首を近づけられそのまま口を近づけ血を飲む。と力が溢れて来るのが分かり、続けて空牙も血を飲むとコロシテヤルと強く睨み付けている。


「空牙1分位時間を稼げ“燃え盛る紅蓮の焔、全てを焼き尽くす者よ。我が赤を喰らいて熾きよ『火之迦具土神』”」


空牙に時間稼ぎを頼み、自分の血を火之に捧げ浄化の炎をイメージする。蒼く全てを包み込み癒す力。


『化け  、お前らは  、子供を助  力貸せ。力を手に入れる  。』


所々擦れ聞き取れない部分があるがやっぱり悪霊は、聖奈の力を取り込もうとしているらしく俺等に協力を頼んできた。それを聞いた瞬間空牙の殺気がきつくなった。完成した火種を投げるとおまけとばかりに空牙が風で霊力を大量投下し火の威力がやばい事になった。普通の人間には見えないし地面も傷つく事は無いがやりすぎだろう。


『ギャアァァァァ、オマエラニノロイヲォォ』


と叫びながら次第に浄化され消えていった。


「さっすが、流兄と空ちゃんのコンボだね最強だね。」


火が消えて、痕跡も全て浄化したか確認していると聖奈に声をかけられた。そういえば前に発生したときは聖奈が勝手に術を行い術暴走が起こった性で霊力がこの町に溜まってしまい良くないものが大量に寄って来た。あの時は俺と零夢の二人がかりで怒り反省したように見えたが、今回も術暴走を起していないとも限らねえ。


「たっくよ、ここの所自縛霊、しかもタチが悪いほう出現率高いよな。聖奈お前俺らに隠れて術使ってないだろうな。」


と、確認すると今回は私は無実とばかりに手を振りながら顔を左右に振る。


「それはないよ、そこそこ前に姉様にお守りだって渡した奴に姉様が術を使ったらすぐに知らせるように術式仕組んだけど反応無かったから多分ない。まぁ、あのお守りを肌身離さずでは無いけど半径2m位近くにいたら反応するし今も持ってるよ、ほらこの鞄についてる青いクマのぬいぐるみ。」


空牙に言われ鞄を見ればたしかに青いクマのぬいぐるみがちょこんと引っ付けてあった。20過ぎてこんなんつけてるとかバカだろ。


「お前、よく聖奈にバレなかったな。」


呆れながら言うと呆れられている事に気づかずに胸を張って


「姉様の好きなものをデザインして特注で作ったからね、これ以上被害出すとガチでまた何とか結社だの何とか研究所だのに居所を知られるからね。」


そう言い2人で聖奈を見ると見られてヤバイな~と思っているようで顔を背けられた。ため息を一つつき、頭をグシャグシャと撫でるとふわっとした笑顔になり不覚にも可愛いと思ってしまった自分が居る。別に先々代からの付き合いからだとかじゃなく今代は今代で可愛い。ただそれだけだ。


「とっとにかく、二人とも無事でよかったな。じゃあ、家に帰るとするか今日の夕飯はコロッケだぞ。」


「うわぁ~い。流兄のコロッケ大好き。」


やばい、少しあせった声を出してしまったがそれに対する追求は無く。夕飯がコロッケだと聞いた空牙は


「沢庵と冷えたご飯を所望する。」


冷えたご飯の上にコロッケとソースを多めにかけ沢庵を乗せたコロッケ飯。元はといえば俺が無性に腹が減った夜中に食べていたのを切っ掛けに聖奈が食いつきそして空牙の琴線に触れた食べ方だったらしくコロッケを作るといつもこうだ。だからキチンと冷や飯も用意してあるしコロッケを作る前に沢庵も切ってある。


「あぁ、冷えたご飯と冷えたコロッケとソースにたまに沢庵のしょっぱさが美味しいよね。」


「あるから、冷や飯。沢庵も切ってあるし。わざわざ冷や飯用に少し柔らかくした米用意してるからなっ、飯ももう冷えてる頃だろ。温かい飯もあるんだがな。だからさっさと帰るぞ」


それだけ言うとゆっくりと聖奈が追いついてこれる速度で家路に着くとすぐに慌てたような駆け足が2人分聞こえてきた。





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