聖奈の日常~1~
私の日常を話ましょう、小説のように煌びやかでもない平凡とはまったくもって言いがたい偽りの私の日常を。
私は大体7時頃起きます。そこから私の毎日は始まるのですが……。
ピピピピッとケータイが鳴りアラームが部屋に響き渡る。パチリと目を開き頭上にあるはずのケータイを探し出しアラームを止める。
ふぁぁ~、と欠伸をしベッドから見える窓の風景は晴天今日もいい日になりそうです。
タンタンと階段を降り、居住スペースである2階から1階のリビングまで行くと美味しそうなパンの焼ける匂いと騒がしい声が聞こえてきます。
「おはよー、皆今日も朝早いね。」
ガラリと引き戸を開けまた閉めるその間に笑顔で朝の挨拶を言いました。
「姉様、お早う御座います。本日も麗しいご様子で何よりです。」
「おう、聖奈おはよう。」
と朝の挨拶を返されます。
紹介をすると最初に姉様と言ってきたのは空牙さんで空ちゃんと呼ぶように言われています。本性は天狗で血の繋がりはいませんけれども、聖奈さんを溺愛しており姉といって懐いているそうです。姉ではないのですけれども。
次は流輝さんで、流兄や御先達、などと呼ばれて親しまれておりこの家?の調理担当というか家事担当の主夫さんだそうです。面倒見はいいですと言ってました。
後もう二人いるのだがそれはまた後でにしておきます。
はぁ、よかったです。まだ、ばれていなくてなくて助かりました…。っと、喋り口調気をつけないと大変大変です。
「今日のご飯はパンなんだ。」
「あぁ、これが朝はホットサンドが食いてぇってしつこくてよ。今日は純和食にしようと思ってたのによ。」
これの所で空ちゃんを親指で指した流兄とまったくもって気にせず焼きたてのホットサンド(ハムとチーズ)(あんことクリームチーズ)をモグモグと頬張っていた。
「で、お前はなんにする。ピザもどきも出来るしカレーっぽくでもいいし、茸のバター焼きでもいけたぞ。」
「あんこ入りお替り、あんこさっきより多めで。」
「じゃあピザもどきにしようかな。空ちゃんの食べてるあんこの中の白いのって何です?」
「クリームチーズだ。つか空牙あんこはこれ以上入れると挟めないってさっきも言ったろうがいい加減学習しろ。」
そういいながらも限界ギリギリの量を見極めながらあんことクリームチーズを挟みホットサンドメーカーで焼いていく。私の注文したピザもどきも焼いてくれています。
その間にコーヒーを淹れてくれた。もちろん私は大人ですのでブラックです。この間狼亜さんに淹れて頂いたコーヒーはブラックで飲めましたし、大丈夫なはずです。
コクリッ…うぅぅ。苦いよ、やっぱりミルクと砂糖は絶対ですね。←トポトポとこっそり砂糖とミルク投入中
「じゃあそれも食べたいな。」
そういいがらコーヒーを口に含みました。やっぱり、朝はコーヒーですね適度な苦味と甘みが美味しいです。なんで同じ飲み物なのにここまで味が違うのでしょうか?
「了解だ、先にサラダでも食いながら少し待ってろ。」
そう言うと流輝さんは調理に専念し始めました。
流輝さんの言葉に従いパクパクとサラダ(レタス、水菜、トマト、ツナ、コーン。ドレッシングは青じそ)を食べていると目の前にホットサンドを盛り付けてある皿だけが浮いて届けられました。ビクッてなって怖かったです。
「姉様、出来たみたいですよ。」
ちらりと横目で隣を見ると犯人が悪びれもなく笑顔でそう言いました。せめて一声くらい掛けてほしいんですが、万が一にも危険が無いとは言い切れませんし、お皿がぶつかったら痛いですし。
「そうだね、美味しそうだよ。」
思ったことは隠しながらニッパリと返すと顔が赤くなった。これが聖奈さんの言っていった可愛いというやつですか。
パクリ、と口にするとトマトソース(流輝手作り)とソーセージ(流輝手作り)とチーズ(既製品)とハーブ(流輝の自家栽培)が口の中で合わさりとっても美味しいです。
あんこ(流輝手作り)とクリームチーズ(既製品)も美味しいし本当にこんなご飯が食べれることに感激してとても嬉しい。
が、自分でご飯を作ってみたいのですが聖奈さんに大反対されています。理由は良く分かりませんが向こうに戻ってからまた相談をしてみる事にします。
そんなこんなで朝食を食べ終えると昨日呼ばれていた狼亜さんの部屋へと行く事になってます。
コンコンッと扉をノックすると
「はい、開いておりますよ。何方でしょうか?」
と返事が聞こえました。
「あっ、狼ちゃん。うちだけど昨日の件で来たよ~。」
「あぁ、御主人で御座いましたか。どうぞお入りください。」
狼ちゃん名前は狼亜さん。本性は狐と獏のハーフこの中でも最悪に性格が悪く人の嫌がることが大好きな方で。喋り方が似非丁寧語もどきで非常にイライラさせる事請負だ。でも、根はいい子だから嫌えないのが難点。というのは聖奈さん談です。
入室許可がでた為、カチャリと扉を開けるとパソコンの前に設置させたリクライニング方の回転椅子を回転させこちらを向き足と腕を組んでいた、と同時に目に痛い風景が飛び込んできた。
壁を見るとどこかのセクシーなお姉さまがアハンでウフンなポーズをしているものから、その、何というか私の口から行ってもいいのかよく分からないポスターが貼られており棚には写真の切り抜きを額縁に入れてあったりとお巡りさ~んと叫んでしまいたくなる衝動に駆られるのはしょうがない事でしょう。
もういやです、こんな部屋。狼亜さんの好きそうなバンキュッバ~ンな体系のお姉さんじゃなくて良かったですよ。聖奈さんの身体なので本当に。
「さて、御主人。聖奈さんもいらっしゃいましたし、昨日の話の続きで御座いますがどう致しましょうか。」
「やるよ。皆っていうか主に空ちゃんと流兄の事だし、先方にも話は通してるからね。今更やっぱり止めましょうって言っても向こうは聞く訳ないじゃん。特に流兄と空ちゃんのとこは。」
狼亜さんの持っているお人形が喋りにっこりと笑います。
「でしょうね、まったくこの様な時ばかり悪知恵が働くのですから本当にしょうの無いお人だ。」
口ではそう言っているが顔はにんまりとしており私悪いこと企んでおりますよ。といった風貌で完全に二人の世界に没頭しています。
「でしたら、細かいところも詰めて話さなければで御座いますね。近日中に集まれるよう場所の確保と皆様方のスケジュールを合わせておきます。…他に何か御座いますかHer Majesty。」
そう言うと先ほどまでのニヤ付いた笑みとは違い真面目な顔に戻った。と同時にノックもせずに来訪者が訪れた。
「姉様、少々お時間よろしいですか?」
入ってきたのは空牙さんでした。時間は大丈夫かと聞きながらも部屋の主である狼亜さんをギロリと睨み付けながら私の体を抱きしめてくる。
「今大事なお話中だからもうちょっと待て貰っていいかな空ちゃん。」
ごめんねと手を合わせるも引く気はないらしく殺気が痛いです。狼亜さんを見ると完全に他人事のような空気で今の現状を楽しんでいる。はぁ、とため息をつくと命令をしました。
「空牙、主の命令だよ。下がれ、許可をするまで近寄るな。それと盗聴と盗撮も禁止する。」
「そっそんな、姉様だって今日は僕と買い物に言ってくれるって約束したのに。」
なんで、なんでと泣きそうになりながら駄々を捏ね始める。命令無視のリバウンドで体もきついでしょうに徐々に顔面蒼白を起こしていますし、呼吸も少し荒くなってきています。人形をちらりと見ても素知らぬふりで、私が何とかしなければいけないと言われているようでした。
「買い物は覚えているから、失・せ・ろと言ってるの。この話が終わったら行くから準備をしてなさい。」
そこまで言うと渋々と本当に嫌そうに
「分かりました。」
と耳元でささやくように言うと青い顔をしながらズルズルと体を引きずって部屋の外へと出て行かれました。
「クククッ、まったぁく坊ちゃんは相変わらずで御座いますよね、御主人。」
粘っこい、嫌な笑みを浮かべ心底嘲笑するとそう言い放つ。
「それがあの子のいいところと言ったら誤解を招くけどさぁ、あの子らしいから嫌えないよ。」
そう、純粋に聖奈さんを慕ってくれているそんな子を突き放したり傷付けたりは出来ません。…今話している内容は必ずあの方達達を傷つけるですが、聖奈さんたちは必要な事だと割り切って無視してしまう。これからの話し合いは正しい事なんですよね。
「貴女様も御人が御優しい事で何よりで御座います。」
座っていた椅子から立ち上がり恭しくも礼をする。まるでピエロの道化劇を最前列で見せられているかのような感覚を味わいます。
「気持ち悪いです。」
小声で呟くと聞こえたのか、聞こえていないのかは分からずに目の前の奴はただ笑みを増やすだけでした。
「さぁて、無駄話はここら辺にしておきましょう。では日時が決まりましたら後日ご連絡いたします。」
「わかりました。ですが、私には何もお手伝いは出来ないと思いますよ。」
部屋の扉を開けてそれだけ言うと
「はい、それでも構いません。」
「じゃぁねぇ、聖奈ちゃん“バレちゃダメ”だよぉ~。」
と言われバタンッと勢いよく扉を閉めてしまった。
「んでさぁ、ろあちゃん。」
「はい、御主人?」
扉の閉まった先ではきっとうちらのことを嫌悪している事だろう。そんな事にすら気がつかないような御狐ではない。つまり分かって言っていたこと。
「何であの子をあんなに怒らしてんの、止めて。うちの姿を貸してるのはうちが決めた事だよ、その程度で嫉妬して怒りを向けるなんて最低だよね。後、この部屋の内装の趣味何、ヘンタイロリペドとか救えないんだけど。」
「別に悋気は立ててはおりませんよ。ただ、少々目障りでしたもので。後、部屋の内装につきましては胸の乏しい御主人への嫌がらせで御座いまッグゥ。」
乏しい胸だと、日本人形の愛くるしさが分からん愚か者がぁ。うちの胸リアじゃD以上あるもん。チッパイじゃないもん、そりゃぁれむ姉とか桜様のようなバインバインっていう訳でも無いけど、あるべきところにもきちんとあるし、無くてもいいとこにもなぜかあるけど。それでも標準体型は保ってるんだぁ。か弱い女の子に対してそんな酷い言葉を言うなんて次は何をしようか。今は、硬化した高速の黄金の右レバーショットで許してあげるが次はないよ。
「あんましそういう事言うと次は道具使って肉体言語でお話し合いをする羽目に張るけども。」
「もう、肉体言語では御座いませんか。」
「文句ある?」
「いいえ、ありませんよ。」
狼亜さんの部屋から出て、自分の部屋に戻りケータイと荷物の入っている茶色のリュックサックを持つと玄関へ向かう。そこには準備万端といった様子で空ちゃんが靴を履いて待っていた。
「ごめんね待たせて。」
「いえ、少しの間でしたから大丈夫ですよ姉様。」
さっきの事にはちらとも口に出さず早く行きましょうと急かしてくる。顔色も戻っていることにホッと安堵する。
そこからは少し大きめの大型ショッピングモールにて最近流行の恋愛映画を鑑賞して、流行の新しい服だの数日前に発売された本の新刊を購入してもらい、お昼にフードコートで食事を奢って貰うといったひも生活。
自分で払うと言っているのに(精神世界のため、必要な金額は財布から無限に出てくるそうです。)
「僕に付き合っていただいているのに姉様に金銭を払わせることなんて出来ません。」
だの
「僕の気持ちですから受け取ってください。」
といくら言ってもきりが無く。もう慣れた為流されて奢られることにしている。
だって、先にお金とか出すとキューンって濡れた子犬のような目で見てくるしウルウルだし可哀想になってくるんですもん。しょうがないんです。
そんなこんなで買い物が終わり家路についた。
………―――知らない、後ろから黒い影のようなのが憑けてきてるなんて知らないです。
誤字脱字など御座いましたら報告頂けると幸いです。