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東宮さん宅の日々  作者: もらし たみお
桜の花よおいでませ、いってらっしゃい鴉君編
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プロローグ

うちはうちが嫌いだ


こんな出来損ないは、いてもいなくても同じで


今日も誰かのためと言いつつ、誰かの希望を汚す


さぁ今日もうちという名の仮面を被った人形劇(パペット・ショウ)を始めようよ


Go mast show on なんてね。



傷が痛い。焼けたような痛みで意識が何度も飛ばされかける。いや、本当に焼き切られたんだけどね。って言ってる場合かっ、アイツは、あれだけは許さない。うちの子にこんな事をさせたアイツを決して許さない。


遠くから響くかのようなうちを呼ぶ声が聞こえる、目の前が霞んで何を言われているのかももう殆ど分からない。体が痛い、寒いそれなのに自分の力ではピクリとも動かせない体。


そして意識は途切れた。






目を覚ますと見慣れない黒塗りの部屋。灯りが無いというわけではないようで、暗くは無いけれども光源が見当たらない。扉も窓も何も無いそんな部屋。死んだ訳では無いということはわかった、死んだらここではなく一時的に閻ちゃん預かりになるから違うと断言できる。


へっ?閻ちゃんって誰かって。閻魔大王って言って、仏教、ヒンドゥー教の冥界の主で死者の生きていた時の罪を裁く裁判官。という名のただの面白いもの好き。草を多量に生やした様な笑い方をするのが特徴だよ。


しばらく隠し扉を探して部屋を物色していると、ポォウと部屋の中央に紫色の炎が現れた。炎が掻き消えたときに微妙な色合いをした狐モドキがその場に現れた。


「やぁ、ろあちゃん。」


見知ったその姿に手を上げて挨拶をするとすぐさま人型に戻って跪かれた。


「申し訳御座いませんでした御主人。(わたくし)がもっと把握しておりましたら。」


「今回の事は君が悪いわけじゃないよ、それにあの子にも何もしないであげてな。結界の弾く存在を身内にも適用してなかったうちが悪いんだから。」


そうだ、全てはうちが悪い。何の為に守りに特化しようとして、今期最硬の術者とまで呼ばれるまでになったというのに、本当に身内には甘いところを直さなくてはだめだ。


「あれは壊します。貴女様にそのような表情をさせる位で御座いましたら、あれも、あれの内に巣食う屑も殺し尽くして差し上げます。」


その表情は憤怒に満ち溢れていて、そんな表情をさせてしまった事に申し訳なくなった。うちはただ、皆と平和に暮らしたかっただけなのに。


「そういえば預かり物は無事?」


「御霊木様ですか、でしたら影を繋いで御主人の所から回収いたしました。」


「GJろあちゃん。さて、現状の説明をして貰っていいかい。」


預かり物、あの方から託された大事な大事な御神木様。あれには傷が無いことは良かった。何かあったら怒られるのは確実だし、山噴火はマジで勘弁。自然破壊は環境破壊だに。


「現状は、あの嵌めた奴はとりあえず潰し切れませんでしたが上に閉じ込めました。御主人は重傷を負って薬液の中に入っております。完治まで数週間以上は掛かる見込みです。坊ちゃんと馬鹿も入っております。姐さんは無事で、いつものようにフラフラし始めております。御神木様はいかが致しましょうか。」


「少しだけ力貰って、お菊さんがうちのとこに入ってるはずだから、それを調整してうち用にして。うちの身体は繋げつつあっちに回す。あいつは月兄に連絡とって何とかして貰って。それが終わったら、繋ぐ事の了承取りに行くよ。」


戦争の準備を始めよう、誰にも止める事のできない戦争を始める為の準備を。


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