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a crack .



 穏やかな空気が流れて。

 何気ない会話が交わされて。

 ふと、見える貴方の笑顔に、

 私の心は癒されていたのに。






 「…あのさ…奈緒?」




 ふと、空気が一変した。






 「…ん? どしたの、そんな深刻な顔して…」






 「就職、どうなの?」



 一番、聞いて欲しくない事だった。

 だが、一番聞いて欲しい事でもあったのは事実だった。



 「んーとね… ちょっとヤバイかもだわ…はは」



 「そか… じゃあさ…」












 「…え?」











 彼は、驚くべき言葉を口にした。



 「俺ら、おんなじとこで働けたら、すんげぇ嬉しいしさ…

  それに、誰でも簡単に出来る仕事だって聞いてるし、

  資格も何も要らない。

  給料もそこそこ…良いみたいだし。」


 やってみないか?

 言葉を聞かなくとも、それ以降の言葉は把握出来た。



 確かに、和哉からの言葉は願ってもないチャンスだ。

 今の不安な自分からは想像も出来なかった転機だ。

 だが…何故だろうか。

 なぜ、こんなにも胸がザワザワするのだろうか。








 そんな不安も最初だけだと、

 無理矢理思いをしまい込み、奈緒は和哉の

 提案を快く受け入れた。










 …この時、私がもし。もしも、彼に

  少しでも怪しむ心を教えてあげられたなら。



 神様。

 彼は、苦しまずに済んだでしょうか。


 私は彼を…助けてあげられたのではないでしょうか。


 そんな事…今となってはもう、けして分からないけれど…















 出勤初日。



 何故かその事務所で働くことに面接などは

 必要もなく、

 誰でもOK、やる気だけ持参下さい。



 そんな怪しい一言が書いてあるだけであった。







 奈緒は、ふとその事務所の名前に注目した。



 「…記憶…修復…センター?」




 記憶…修復?

 どうゆう意味なのか、全く検討もつかない。

 だが、確かにそう書いてあるのだ。






 「ねえ、和哉?記憶修復って…どうゆう意味なの?」



 「俺も、詳しくは分かんないんだ。

  ただ…奈緒には秘密にしてたけど…

  ここさ、実はちょっとヤバイらしいんだ。

  評判とかがじゃなくて…

  働いてる人が。

  殺したり、そんなんじゃないぜ?

  ただ…何か…普通じゃないって…」




 「ちょっと…!

  そんなの聞いてないよ!ちょっと待って?!

  あたしをそんな所に連れて行こうとしてるの?

  和哉おかしいよ…あたし…帰る…。」



 「ちょっと待って!

  奈緒!待てって!」



 いつになく、声を荒げる和哉。

 何だか、いつもと様子がおかしい…



 「和哉、どうしたの?

  こんな街中で大声出さないで…キャッ」



 振り向いた瞬間だった。

 私の腕を和哉は力いっぱい掴み、

 引きずるように引っ張った。



 「ちょっ…やだってば!離してよ!」


 奈緒は必死に抵抗してみるものも、

 何しろ男の力だ。

 敵うはずもなく、あっけなく奈緒は和哉に連れられ、

 「記憶修復センター」

 へと、足を踏み入れてしまうのであった…






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