第六章 なめられても、やさしくいる強さ
「甘くすると損するのでは?」の不安
優しくしても感謝されなかったり、
逆に図々しいお願いが増えたりすると、
心のどこかでこう思う。
「……これ、私が甘いから損してる?」
これは多くの人が抱える疑問だ。
でも、優しさをやめてしまえば、関係は冷たくなる。
損を避けるより、優しさを疲れず続ける方法を見つける方が長期的には得だ。
やさしさを「選んで出す」
昔の私は、頼まれたら全部引き受けるタイプだった。
でもあるとき気づいた。
それは「優しい」んじゃなくて、断れないだけだった。
『全然自分に甘くなかった。』
これが一番最悪なこと。
それからは、「できるけどやらない」を覚えた。
断るときも、「今は手一杯なんです」と状況だけを伝える。
それだけで罪悪感が減ったし、
「次はお願いしたい」とむしろ信頼が増えた。
やさしさは、反射じゃなく選択でいい。
やる/やらないを選ぶこと自体が、自分と相手への誠実さになる。
境界線を引く技術
断れない人ほど、実は厳しい人ほど境界線をあいまいにしてしまう。
でもこれがないと、自分の心が削れていく。
私のバウンダリー習慣は3つだけ。
まずは自分の残量チェック
「今日はあとどれくらい頑張れる?」と一瞬自問する。
即答しない
「少し考えてから返しますね」で、一拍置く。
断るときは、相手を否定しない
「今は難しいけど、来週ならできるかも」など代替案を添える。
境界線は壁ではなく、「ここから先はちょっと待ってね」という案内板だ。
優しさを続けるためのリカバリー術
優しさもエネルギーだから、補充が必要だ。
疲れ切ったときはこうして回復する。
物理的距離をとる:スマホを置いて散歩。
自分に声をかける:「今日もちゃんと優しかったな」と認める。声にちゃんと出すほうがいい。
人に話す:「優しさ使い切って死にかけ」と言えば、だいたい笑いになる。
まったく何もしない日を作る:罪悪感ゼロで寝る。
優しさを維持するためには、自分を大事に甘くする時間が必須だ。
なめられても笑っていられる強さ
優しさを貫く人は、ときどき損をする。
でも、それを引きずらず笑える人は強い。
「また利用されたかもな〜」と笑い飛ばす。
すると不思議と、次はもっと上手にやさしくなれる。
優しさは、失敗を重ねて洗練されていくものだ。
次は最終章
自分に甘く、多人にもっと甘くできるようになったあなたの笑顔が、世界を甘く救う




