第二章 自分を甘やかす技術
「甘えたら終わり」って思ってた時代の話
20代の頃の私は、「甘えたら終わり」が信条だった。
寝坊するくらいなら徹夜。
体調が悪くても「行ける!」と気合で出社。
飲み会では帰りたい空気を読まずに朝までコース。
その結果、何が手に入ったかというと――
月曜の朝に謎の湿疹と謎の孤独である。
そしてなぜか、同僚の「今日はちょっと体調が…」という一言にモヤッとする自分。
「俺だってキツいけど来てるのに!」と。
いや、それ誰得の我慢? って今ならツッコミたい。
反省と自責は違うもの
自分に甘くなるために、まず知っておくべき言葉の違いがある。
それは「反省」と「自責」。
反省:あ、ちょっと失敗したな。次はこうしよう。OK!
自責:なんでまたこんなことに…。私ってほんとダメだな…。
これ、似てるようで天と地の差。
反省は前を見るけど、自責は足元の穴に自分で落ちる。
そして、なぜか自責に陥る人ほど、
“笑い”を遠ざけている。
甘くが上手い人は、笑いの達人である
ある日、後輩が大遅刻してきた。
会議室に入ってきて開口一番、
「すみません!寝坊して、夢の中で今日の会議やってました!」
……いや、それは夢でよかった。
でも、なんだか笑って許してしまった。
彼は、失敗を“笑って共有する”という甘くする才能があった。
これができる人は、不思議と周りにも愛される。
つまり、甘くできる人は空気を和らげる力があるのだ。
自分を許せない人は、他人に甘くするのにも厳しくなる
これはほんとよくある話。
「私は今日も5時半に起きて筋トレしてから通勤してます」
という人が、電車で座ってる学生にイライラしてたりする。
……それ、あなたの頑張りが美しいのに、
“厳しさ”が台無しにしてませんか。
頑張ることは素晴らしいけど、
自分に厳しいだけでは、他人(=他人として見る相手)に寛容にはなれない。
でも、自分にちょっと甘くなれた人は、
まわりを「多人」として見られる。
つまり、「がんばってる仲間」として扱える。
では具体的に、どうすれば自分に甘くなれるのか?
3ステップで紹介しよう。
自分をゆるす3つのステップ
① 失敗を「またネタができた」と思え
鍵を忘れる、財布を落とす、締切をすっぽかす。
やらかした瞬間は絶望だけど、
数日後に「それってさ〜」と笑えるようになるのが人間のすごさ。
だったら、もうその場で笑ってしまえばいい。
未来の自分が笑うなら、今の自分も笑っていいのだ。
② 嫌な感情には「はいはい、それで?」と返す
不安、焦り、自己嫌悪。
そういう感情が湧いたときに、私はこう言う。
「はいはい、それで? なにか?」
するとちょっと冷静になれる。
はいは2回言ったほうがいい。
感情に飲み込まれずに、距離を置ける。
③「まあまあがんばってるな」と毎晩つぶやく
これはマジで効く。
お風呂でも、歯磨き中でも、布団の中でもいい。
今日の自分に向かってこう言う。
「まあまあがんばってたよね、今日」
うん、100点じゃなくていい。
今日もよく生きてた、それで上等。
満点から減点せずに、生きてるだけで満点でそこに加点してあげよう。
甘くする習慣は、やさしさの貯金になる
自分にちょっとだけ甘くしてると、
なぜか人のミスにも「大丈夫だよ」って言えるようになる。
コンビニで前の人がモタモタしても、
「わかるー、こっちも小銭探す派〜」って思える。
それって、自分に甘きけできる人だけが持てる、平和な眼差しだ。
心に余裕が出来ちゃうのだ。
そして次章では他人のミスにどう向き合うか?
さて。自分へ甘くできるようになったら、
次に問われるのは、「じゃあ他人のミスはどう見るのか?」というテーマ。
他人が失敗したとき、あなたはどう反応するだろうか?
怒る?叱る?スルー?それとも……笑う?
次章では、『多人のミスにどう甘くできるか』をテーマに、
イライラしない人間関係のコツと、笑って流す力についてお話しします。




