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RAPPitManS  作者: 一橋赤蘭
2/5

EpOne 転校生と金属人間

 大層な人生を送ってきたわけでもないが、不満はなかった。地元でそれなりの高校にも入れたし、ある程度の友達もいる。ただ一つ言うとするならば…なぜ、今ここで死ななきゃいけないのか、だ。まだやりたいこともあるし、卒業だってしていない。…にしても不運だ。まさか、街中で能魔に襲われるだなんて…

4/18a.m.7:50月谷市内に大型の能魔が侵入。近所にいたラピッドマンが出撃、討伐。怪我人はなし

 …ダメだ。どう動いても予測線に引っかかる。天国ってどんなところなんだろうな…いや、地獄か?そう思った。が、いつまで経っても死なない。というか、ソレはもううごかなかった。

 俺の目の前で能魔が唸りを上げて倒れる。その背中の上には人影があった。能魔に突き刺した巨大な剣に寄っ掛かっているその人間は金属でできた鎧?を身に纏っていた。表情は見えない。胴体の鎧はノースリーブのようになっており、その人間…女性か?…のきめ細やかな白い腕がよく見える。うなじの辺りの鎧の隙間からは髪の毛が伸びている。煌めく白銀の長髪。風にゆられたその髪は、顔の見えない彼女の雰囲気を柔らかなものにしている。どこか妖艶な雰囲気を持つ彼女に、思わず声が漏れた。

「綺麗……」

見惚れるのも束の間。ふわり。気づくと彼女が俺の目の前にいた。

「キミ、怪我はなかった?ごめんねー、私が来るのが遅かったせいで…」

心が読めなかった。

優しい声だった。

また予測線が見えたかと思うと、金属人間は何処かに消えてしまった。

学校にて。皆の話題はやはり今朝の騒動だった。

「俺見たぜ!とんでもねースピードででっかい剣をドーン!って突き刺してんのをさ!いやーあれは惚れるね、絶対美人だよあれはさぁ!」

「スッゲーエロかった…腕とかヘソとか出しててさ…あーあ、写真撮っときゃよかった…」

「えー私も会いたかったんだけどー」

「でもさー、見た目仮面ライダーなんでしょ?実は男だったりして」

「偏見だろ」

「さすがにねーよ…あれは女のオーラだぜ?」

 始業のチャイムが鳴る。担任が来る。

「朝のホームルームを始める前に…転校生だ。入ってきていいぞ。」

入ってきたのは煌めく銀髪、幼なげな顔つきをした少女?だった。教室の空気が変わる。

(((かわいい)))

クラスの皆がそう思っていた。俺もそうおもった。絶世。傾国。そんな言葉すら生ぬるいかもしれない。ただ、一つ違和感があった。思考にノイズがかかっていて読めない。何も考えていなくて読めないことはあったが、こんなのは初めてだった。いや、朝のあの人もそんなんだったような…?いや、まさかな。第一身長からして違う。

「えー…、明日乃亜夢です」

 何を考えているのか、読めなかった。

「私、よく間違えられるんですけど…男です!」

 と続けて彼女…いや彼は言ったが、誰も聞いていなかった。 …は?

(かわいい)

(天使)

(俺の女になれ)

(結婚しよ)

(よし、貢ごう)

(金か?金なのか?)

 皆、そんなことを考えていた。

「じゃあ改めてホームルームを始めるぞー。明日乃、後で好きな席を譲ってもらうといい」

「分かりましたー」

 ■

 ホームルームの後。案の定といえば案の定だったのだろうか…

「明日乃さん明日乃さん俺の席の隣に座ってよ!」

「アタシの隣〜」

「僕の隣に!僕の隣に!」

「うーん…どぉしよっかなぁ…」

 クラスメイトで囲われていた。俺とて隣に座りたくないと言われれば嘘になる。でもなー…無理だよなー。正直あの陽の塊みたいな場所にいられるはずもないし……そう思った時だった。一筋の視線。睨まれてる。スッゲー睨まれてる。俺がチヤホヤしないからきれたのか?

(………)

 やっぱり思考が読めない。何も考えてないのか?そういうパターンもたまにあるけど、なんか違うな…ノイズがかかってるみたいだし…

(………)

 いや、感じる。ひしひし感じる。思考は読めないけど思考の向きが明らかにこっちに向いている。なんだ?こういう時どうしたらいいんだ⁉︎

(……キミ、頭ん中勝手に覗こうとするとか失礼なんじゃないの?)

「ッ⁉︎」

 瞬間、恐怖。

 …今、なにが起きた⁉︎バレたのか?今までバレてなかったものが?イキナリ⁉︎

(フフフッ。なかなかいい反応するじゃん。能力も鍛えられてる…やっぱりいいんじゃないかな?)

 …なんだ?雰囲気に既視感を感じるな…

「…あーっとぉ…みんなには悪いんだけど私さぁ、もう座る場所決めてるんだよねぇ」

 明日乃の爆弾発言。それと同時に皆の淡い期待。

(俺か?俺なのか?)

(まずい、変なこと言ったか?)

(断り方までかわいい)

(誰だ⁉︎誰を堕とす気なんだ⁉︎)

「さて!鹿嶋…修君…だっけか?今日から私はキミの隣だ!」

(キミ、後で話があるから)

 周りの視線が痛かった。

 周りの心の声が痛かった。

 明日乃の圧が怖かった。

 明日乃の思考が怖かった。

 …ハァ…

 ■

 授業中は地獄だった。

(なんであいつが…)

(NTRされた…)

(どんな関係なんだアイツら…)

(かわいい)

 周りの視線と非難の感情で押しつぶされそうだった。それに横がうるさい。思考にノイズがかかってるのだが、そのノイズがさっきからザーザーうるさい。

 その上、

(まーた勝手に人の心を読んでる)

「ねーねー放課後カフェ行かなーい?」

 なんと答えればいいかわからないので取り敢えず無視。

(…オイ、無視してんじゃねぇよ)

「…ハイ」

 その返事を聞いて明日乃はコロコロと笑う。

 …情緒不安定すぎでしょ。

 ■

 彼の行動はいちいち不思議だった。

 寝てる。めっちゃ寝てる。授業中はほとんど寝ている。そう思ってはた目から見ていたら

「おい鹿嶋ぁ、明日乃のこと見とれてねぇで起こしてやれ」

 心外だ。事実かわいいけど。

「…すみません」

「ふふふっ、おこられてやんの」

 眠たそうな目でいたずらっぽく、小さく。…もうこいつの魔性だよな。人たらしだ。

 授業の合間にはいつもなんか食べてる。囲んでる周りの人間の会話にテキトーに返事しながら、毎度毎度大分すごい量を食べていた。

「亜夢くーん!今日遊びに行かなーい?」

「こんどねー」

 今日は修くんとカフェに行くからさ…と付け足す。余計なことを言うな。

「あとで購買いこーぜ!」

「文句言わずにおごってくれるならいいよー」

 積んであるからの弁当箱を見せながら言う。

「あ…ちょっとたんねぇかも…」

「じゃあだめー」

「デートしてくれ!」

「先約があるから無理ー」

 そういってこちらをチラッと見る。ヘイトを集めないでほしい。

「…誤解を招くような発言はやめてくださいよ」

「いいじゃんべつにぃ。二人っきりでカフェだよ?デートみたいなもんじゃん♡」

 こいつは俺をどこまでからかえば気が済むんだ。そんな思いをはた目に明日乃はいたずらっぽく笑ってた。

 ■

 放課後、背後から、明日乃の声が響く。わかっていた。そう言われるのはわかっていたのに、悪寒が止まらなかった。

「ねぇ修くん、約束覚えてるよね?カフェ、行こっか♪」

 ぎこちなく振り返る。銀髪が揺れ、笑顔が眩しい。目は全く笑ってない。拒否権はない。周囲の視線が痛い。

 断れなかった。

「……はい」



 新たなる時代の変遷を彼らはまだ知らない。

やっほーみんなぁ!かわいいかわいいアスノさんだよー

どうもみなさん。鹿嶋修です。

固いなーもう…ということでここでは私たちが次回予告をしてくよ!にしても翻弄されっぱなしだったねぇシューくん♪

開始4行でネタバレすんのやめろよ!

おっと、気をつけなきゃ…じかい!カフェでのお話でぇす。アスノの正体がr

またネタバレする!亜夢!ちょっとお前は黙ってろ!えー…気を取り直して、アスノの衝撃の正体、シュウの衝撃の招待、始まる非日常への第一歩…言えるのはこんくらいか?

…それって面白いと思ってるの?

うるせえな…次回、「非日常が服を着る」

来週も、サービスサービスぅ!

ダーっ!マジでやめろってば!

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