第六話『魔族襲来と、蒼の王女』
お世話様です。
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今回は、仲良くなったシーナと祭りを楽しんでいる最中に魔族が襲ってきて、いよいよミリィが戦うシーンとなっています。
巻き込みタイプの王女様。果たして無事に生還できるのだろうか。
どうぞ宜しくお願いします。
笑い声と、屋台の賑わいが響くリーメルの春祭り。
ミリィとシーナが、焼きトウモロコシを食べながら歩いていると、不意に――
ズドォンッ!!
空を裂くような轟音と、地鳴りのような震動が街を襲った。
「きゃああっ!!」
「な、何だ!? 火の玉……!? いや、あれは――っ!」
空に、巨大な魔法陣が浮かび上がる。
黒い瘴気が渦を巻き、その中心から禍々しい姿をした魔族たちが、次々と現れ始めた。
「お、お祭りが……!」
「逃げろおおっ!!」
悲鳴と怒号が交錯し、人々は、なだれのように四方へ散っていく。
「ミリィ……!」
怯えた表情で手を握ってくるシーナに、ミリィはギュッと握り返した。
「大丈夫、絶対に守るからっ!」
その瞬間、魔族の一体が屋台を吹き飛ばし、瓦礫がミリィたちに向かって飛来する――!
「くっ!」
ミリィは、シーナを抱えて飛びのきながら、指先をそっと前へ向けた。
パァン!――と、星のような光が弾け、瓦礫は粉々に砕けて空に消える。
「え……ミリィ、今の……?」
「……ごめん、もう隠していられない」
ミリィの周囲に、ふわりと風が巻き起こる。
瞳は淡い蒼に輝き、スカートの裾が空気に揺れると同時に、彼女の背中に淡く透ける精霊の羽が浮かび上がる。
「私は――ミリシア・ハーヴァリィ・バレンタイン。精霊界の第一王女。そして……魔族たちを、絶対に許さない!」
その声とともに、空気が震えた。
ミリィの前に現れた魔族の一体が、突撃してくる。
「星の導きに従いし刃よ──空を裂き、運命を貫け! 来なさい!――《星霊剣》!!」
ミリィの掌に、蒼く輝く剣が顕現する。
星の粒を纏いながら、空を裂く一閃が闇を切り裂いた。
ズバァァンッ!!
魔族の体は一瞬で蒸発し、後には残滓すら残らない。
祭りの灯りが破壊され、空を黒煙が覆う中、ただミリィの蒼き輝きだけが街を照らしていた――
(……これでもう、皆に、バレちゃった――かな)
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