第四話『困ってる人、ほっとけないっ!』
お世話様です。
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今回は、目的の春祭りに参加をしたミリィだったけど、お店のお手伝いをする事に!? 困った事があったらほっとけない性格の、精霊王女ミリィです。
宜しくお願いします。
エルドとの出会いもあって、目的の街まで到着した。
「よし、到着だ。俺は、少し離れた場所に別の用事があるから。ここでお別れだけど、さっき言った事、忘れないでくれよな?」
「うん、わかった! 運んでくれてありがとー! またどこかで会ったら宜しくね♪」
そう言って、遠ざかっていくエルドに向けて手を振って見送るミリィ。
「よし、それじゃあ行こう! えへへ、楽しみだなぁ!」
春の陽気に誘われるように、リーメルの街へと足を踏み入れたミリィは、きらびやかな露店の並ぶ通りに思わず目を奪われていた。
焼きたてのパンの香り、光を反射するアクセサリー、子どもたちのはしゃぐ声――
どれもこれも、精霊城の中では味わえなかった世界。
スカートの裾を押さえながら、ミリィは一軒の店の前で立ち止まった。
小さな屋台で、カラフルな飴細工が並んでいる。
花の形や、動物の形の飴がきらきらと光を受けて透き通っていた。
「わあ……すっごくキレイ……!」
思わず、手を伸ばしそうになるミリィ。
すると、屋台の奥から店主らしき人影が顔を出した。
大きな麦わら帽子をかぶった、ちょっとふくよかな初老の男性。
ミリィを見ると、目をぱちくりとさせた。
「あれまあ、お嬢ちゃん……いや、お嬢さん? ずいぶん可愛い格好だねぇ。旅の途中かい?」
「あ、えっと……はいっ! ちょっと春祭りを見に来ただけで……!」
思わず背筋を伸ばすミリィ。
見知らぬ人との会話に少しだけ緊張する。
だが、店主はにこにこと穏やかな笑みを浮かべて続けた。
「うちの娘に似てるから、つい声かけちまったよ。いやしかし、そのメイド服、なかなか品がある。もしかして……手伝いとか得意だったりするかい?」
「えっ? お手伝い……?」
「そうそう。ちょっと急に人手が足りなくなっちまってね。祭りで忙しいってのに、うちの坊主が風邪引いちまってね……」
店主は困ったように首をすくめる。
ミリィは飴細工の輝きと、街の賑わいを見比べ、ふと目を輝かせた。
「えっ、いいの!? ……私でよければ、全然いいよっ!」
とびきりの笑顔で、手を胸の前でぎゅっと握る。
「おお、本当かい!? 助かるよ、お嬢ちゃん! いや~、まるで天使が舞い降りたみたいだ!」
そんなふうに言われて、ミリィはくすぐったそうに笑う。
(ふふん、ちょっとはメイド服、役に立ったかも♪)
こうして――
精霊界の王女の身であることを隠し、人間界で初めて〝お手伝いさん〟として働くことになったミリィ。
だが、それがきっかけで、さらに予想外の「出会い」と「事件」が、彼女を待ち受けているのだった――
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