プロローグ『蒼き星に願いを ―ミリィの小さな冒険―』
いつもお世話になっております。
こちらは、以前執筆していた《世界最強の魔法使いは、癒されたい》の関連作となります。
初めての方も、前作をご存じの方も、気軽に楽しんで頂けると嬉しいです。
宜しければ、ぜひ最後までお付き合い下さい!
精霊界――
それは、星々の輝きを糧に生きる精霊たちが暮らす、美しく神秘的な世界。
そしてその頂点に立つのが、ハーヴァリィ家に連なる〝蒼の血〟を継ぐ第一王女『ミリシア・ハーヴァリィ・バレンタイン』――通称ミリィ。
「ふふん、今日こそバレずに抜け出してみせるんだからっ!」
窓辺にそっと腰掛けたミリィは、きらめく星を見上げていた。
金色の髪を揺らしながら、彼女の心はすでに精霊界の外――人間界の春祭りに向いていた。
いくつもの結界と見張りを掻い潜り、彼女は軽やかに城を抜け出す。
その姿は王女のドレスではなく、青と白を基調とした可憐なメイド服。
胸元の星のリボンは、彼女が〝蒼の王女〟であることを忘れない小さな印だった。
「だって、お姫さまがメイドの格好でお祭りに行くなんて、誰も思わないでしょ?」
そんな軽口を叩きつつも、ミリィの内心は少しだけドキドキしていた。
自分が抜け出したことが、妹・ミレイナや王宮の者たちにバレたら大騒ぎになるのだから。
しかし、その小さな冒険は、やがて――
世界を揺るがす大きな運命の歯車を、静かに回し始めていた。
本作を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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