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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
選抜大会
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第94話 地区親善大会出場メンバー

去年は参加しなかった、学年度末の地区の親善大会に、今年は参加することになった。


この大会は、男女混合の4人制団体戦という特別な形式だ。勝ち抜きはなく、単独の大会でもあり、親善を掲げているだけに、勝負に拘るというよりも、おだやかな大会ではあったが、それでも、きちんと順位が決まる以上、それぞれの高校による、それぞれの思惑があった。

 建前上は、ただの勝敗を競う場ではなく、他校との交流と経験を積む機会を与えるという大会である。

4人制ではあるが、男女それぞれ2人ペアを組めれば、高校を超えた混成チームも配慮されていて、出場希望者はできるだけ全員が出られるように配慮されている。そのこともあり、この大会で始めて試合を経験する弓道部員も多い。


光田高校は、出場希望者を募ったところ、男女とも、6人ずつの参加になった。

まず、男女それぞれ、抽選でペアを3組決め、そして男女の組を抽選で決めた。


弓道部は、男女同じように活動するが、光田高校は、お互いに独立した風潮があり、必ずしも同じメニューをするということは無かった。


その分、完全な抽選でもあり、一つ一つの結果には盛り上がったが、結果はなにか計算したかのような結果になった。


A組は男女とも2年生が揃い、三納冴子、松島沙月、真嶋颯斗、矢島大地、という安定した布陣。B組は1年生がまとまり、栞代、柊紬、松平清純、一ノ瀬飛鳥というメンバーで構成され、初々しさと情熱に溢れていた。C組は男女とも学年も混載チームとなった。奈流芳瑠月を中心に、秋鹿あかね、菊島一輝、そして海棠哲平という個性派揃いの編成だった。


紬、あかねにとっては、始めての大会出場ということもあり、緊張の色が濃かったが、それぞも、栞代、瑠月が同じチームであったので、丁寧にフォローしていた。


短い期間ではあったが、それぞれの組で分れて活動し、チームワークを構築するようにした。



A組:安定感を追求する上級生たち 三納冴子、松島沙月、真嶋颯斗、矢島大地


「ここはまず、基本をしっかり確認しておこう。」

冴子の声が道場に響く。彼女の提案に、真嶋が静かにうなずき、弓を手に取った。


「団体戦では、個々の力だけじゃダメだ。特に射のタイミングを揃えるのが大事だ。」

矢島が柔らかい口調で言うと、沙月が少し不安そうに頷いた。


「沙月、大丈夫だよ。焦らず、矢を放つまでの一連の動作を丁寧にすることだけ考えればいい。」

矢島の穏やかな声に、沙月の表情が少し和らぐ。


真嶋が構え、射型の美しさそのままに矢を放つ。一直線に飛んだ矢が的を射抜くと、沙月の背筋が自然と伸びた。


「……私も、頑張ります!」

その声には、次第に団体戦の一員としての自覚が芽生え始めていた。



B組:1年生が挑む未知の領域 栞代、柊紬、松平清純、一ノ瀬飛鳥


「ねえ、タイミング合わせって、どうやればいいの?」

一ノ瀬飛鳥が松平清純に問いかける。


「簡単そうで難しいよな。でも、俺たちはお互いに声をかけながらリズムを作るしかない。」

松平の落ち着いた言葉に、栞代が小さくうなずいた。


「えー、じゃあ合図役は誰?」

一ノ瀬が目を輝かせて聞くと、松平が微笑んで答えた。


「飛鳥、お前だよ。一番元気だからな。」


「まじか!やった!」

一ノ瀬が声を上げると、栞代が小さく笑った。その明るさに、チーム全体の緊張が少し緩んだようだった。


一射一射、松平が動作の確認をするたびに、メンバー全員が次第に呼吸を揃えていく。練習を終えた頃には、チームとしてのまとまりが少しずつ見え始めていた。



C組:個性派が織り成すチームワーク 奈流芳瑠月、秋鹿あかね、菊島一輝、海棠哲平


「とにかく、私は全力で引くから、あとはよろしく!」

菊島が自信満々に声を上げる。


「菊島さん、全力で引くのはいいけど、少し落ち着いてください。タイミングがバラバラになる。」

冷静な海棠哲平が的確に指摘する。


「でも、勢いが大事だろ?」

菊島が反論するが、瑠月が静かに割って入った。


「勢いは大事。でもね、団体戦では全員が一つの流れに乗るのがもっと大事なの。」


その一言に菊島はハッとし、「……わかった」と素直に頷いた。


練習が進むにつれて、最初はバラバラだったそれぞれの息が、徐々に揃い始める。海棠の指示が的確で、瑠月の包容力が練習全体を和らげていた。


前日の練習では、3組による⇒試合が行われた。


A組 10本的中

B組 8本的中

C組 8本的中


という結果になった。


最後、3チームがそれぞれ道場の中央に集まった。


「明日は親善大会。勝ち負けよりも、それぞれが最高の射を目指そう。」

冴子が全員を見渡してそう言うと、自然と拍手が起こった。


「でも、勝てたらもっと最高だよな!」

一ノ瀬が元気よく声を上げると、皆が笑い声をあげた。


こうして、光田高校弓道部は一つの思いを胸に、大会へと臨む準備を整えたのだった。



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