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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
インターハイ
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第61話 新人戦快進撃

以前は、新人戦は全国の選抜大会に繋がり、県大会を勝ち進んだブロック大会での成績全国出場が決まっていたが、現在は、全国大会の規模の拡大に従い、ほぼインターハイと同じ形式になり、県で優勝したら県の代表として全国大会への出場が決まる。


地区予選では、確実にレベルアップしている地区のライバルだったが、光田高校は、それ以上に、抜きんでた実力を発揮。団体ではトップチームが1位で通過。2位にはセカンドチームが入り、光田高校の実力の高さを見せつけた。


その地区予選決勝では、杏子に代わり、栞代が出場した。同門対決になったこともあり、また経験を付けさせたいと拓哉コーチが決定したが、栞代も見事に期待に応えた。

男子も、地区予選は見事に突破した。


そして、県大会の団体戦でも、安定した強さを見せて優勝。

個人戦では、光田高校から6人が出場し、杏子、瑠月、つぐみが、一位から三位を独占した。冴子が5位、沙月が8位、紬が12位と、最近の成績では出色の成績なのはもちろん、長い伝統の中でも、女子の成績は突出した成績を収めた。


ただ、最後、三人での競射になった時に、つぐみが最初に脱落したのは、少し意外な感じもあった。成長著しい瑠月の力ではあったが、競射になった瞬間の脱落は、つぐみらしくなかった。


男子は個人、団体とも、あと一歩のところで、全国大会出場を逃した。

体調不良を乗り越え、その分考え抜いた顧問の滝本先生と、そしてその滝本先生が招致した、拓哉コーチの手腕の確かさの証明でもあった。


光田高校弓道部女子は、まさに快進撃と言って良かった。





夏合宿から帰って来てから以降、つぐみが加わり、栞代と共に、杏子に家で過ごす時間が多くなっていた。


杏子の祖父母とも大歓迎で、特に祖父は、毎日が楽しくて仕方ないぐらいだった。


もうここで、寝泊まりしていけばいいのに、と言い出すほどだった。


そして、ブロック大会を翌日に控えたこの日も、つぐみと栞代は杏子の家で一緒に過ごしていた。


全国大会への出場は決めていることもあり、リラックスしている3人ではあった。


「栞代、明日のブロック大会は、多分何試合もでると思うぜ」

つぐみが言った。

「そうかな」

「いや、間違いない。栞代はほんっとめっちゃ練習してるし、もう全国への出場は決まってるから、むしろ、この大会は経験値を積むための大会だもん。そりゃ勝つに越したことはないけど、まあ、場馴れも必要だし。拓哉コーチは先のことも考えてるから、栞代が経験を積むことは大事だからな」

「まあ、もしそうなっても、足をひっぱらないように頑張るよ」

杏子はいつも通り、ニコニコしながら聞いていた。


つぐみが

「問題は個人戦だよ。全国大会への出場権は取ったけど、私にとっては、大事な大会だからな。だって、去年の県大会、全国、準優勝なんだよっ。シルバーコレクターじゃないか。明日は絶対に杏子に勝つって優勝する。去年の県大会では、理由はどうあれ杏子に勝ってるからな」

つぐみらしい、強気な発言に、栞代も杏子もどこか安心していた。

最近、つぐみはどこか調子が悪そうたったから。県大会の個人決勝でも、最後はどこか淡白なところがあり、3位に終わっていた。


栞代が

「恐いのは、杏子が変な気をまわすことだな」

と言うと

「そうだよ。何があっても、姿勢のことだけ考えてろよ、杏子は」

「うん。もちろんだよ」

「ところで明日は、おじいちゃんは見に来る、んだよね?」

「もちろんじゃ。悪いが、ぱみゅ子がつぐみをやっつけるところを見るのが楽しみじゃのう。」

「つぐみ、これで少しはチャンスが出てきたな。おじいちゃんのイランことする能力はすごいものがあるからな。杏子の気が動転するチャンスだぞ」栞代がちゃかす。


「いや、いつかは冗談で言ったけど、わたしは絶対に正々堂々と勝ちたいんだ。中学のとき、ずっと麗霞を見てきて、麗霞に勝つことが目標だったけど、今はもう杏子に勝つことが夢になったんだ。杏子は凄いぞ。麗霞とはタイプが全く違うが、だが、だからこそ、もしかしたら、麗霞に勝つチャンスもあると思う。それほどの弓の使い手だ。その杏子に勝ってこそ、わたしの力の証明にもなるってもんさ」


「つぐみ、気合入ってるなあ」

「でも、おじいちゃん、明日は来てわたしの応援してもいいんだよ」

「どっちだよ」栞代が笑う。


「つ、つぐみ、だ、大丈夫じゃ。ぱみゅ子がいざ弓を握ったときに、わしのことを気にしない能力は、もう、おばあちゃん譲りじゃからのう」

「あ、いや、これはもちろん冗談だよ。明日はちゃんときてよ、おじいちゃん」

なんか、どこか不思議な感じのするつぐみだった。


「まあ、とにかく全力でな。

明日、大会が終わったあと、ご飯食べてに来るじゃろ、栞代もつぐみも」

「まあ、そうだな」

「じゃあ、わたしの祝賀会を頼むね、おじいちゃん」

「いや、ぱみゅ子の祝賀会じゃ」


大会を前にしても、いつもと同じ会話で笑顔が絶えなかった。





ブロック大会の団体戦。

前日のつぐみの発言通り、団体戦は、栞代出番も増えていた。

予選は、そのままの、杏子、瑠月、つぐみの三人で戦ったが、その後は、順番に一人ずつ交代することになった。


1回戦、杏子、栞代、瑠月。

準々決勝、杏子、栞代、つぐみ。

準決勝、栞代、瑠月、つぐみ。


そして、決勝戦は、レギュラーメンバー、杏子、瑠月、つぐみの組み合わせに戻して戦うことになった。


栞代も十分に期待に応え、遜色のない結果を残した。


弓道はかなり集中力を要する。技術力も当然問われるが、精神力もそれ以上に必要になる。


4人とも十分に戦力になるということは、大きなアドバンテージを持つことになる。


光田高校の弓道部全体としての実力を試す決勝の舞台が始まろうとしていた。



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