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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
224/432

第224話 団体戦の朝

宿舎の朝──いつものムードメーカーたち


全国選抜大会二日目の朝。宿舎の食堂には、緊張と期待が入り混じった空気が漂っていた。そんな中、いつものペースを崩さない人物がいた。


「おはよーございまーす! 今日は団体戦ですよー! みなさん、私の特製"全国制覇祈願ダンス"はいかがですか? これを見たら、絶対に全国制覇できますっ」


真映が両手を大きく振り回しながら、食堂の中央で奇妙な踊りを始めた。他校の選手たちも振り返るほどの騒々しさに、光田高校の部員たちは苦笑いを浮かべる。


「真映、朝から元気すぎるわ」

「それに、他校の選手たちもそのダンス見てたで。見たら全国制覇するんやったら、他のチームに見せてどうすんねん?」


あかねが呆れたような声を上げながらも、その表情は穏やかだった。


「しょーがねー。これぞ本物だという、"全国制覇祈願ダンス"を披露してやるとするか」


「いやいや、いいって」栞代が呆れて引き止める。


「あかねは、昨日、十分みんなのために祈ってたから、それで十分だよ」

まゆが楽しそうに暴露する。

「緊張して寝られないから、ずっとお祈りしてたもんね」

あかねの顔がみるみる赤くなる。「そ、それは言うな~」


「大丈夫ですよ!それでは、続いて 私の"緊張撃退パワー"で一発解決です!」


「う~ん。緊張とは無縁の御方が部長やってるからね~、うちの部は」

「でも栞代先輩、それは、弓を握ればの話しで、握っていない時に、途中でコケたり、躓いたり、するかもしれませんよ~」


「ば、ばか。不吉なこと言うな。オレが付いてるから大丈夫なんでよ」

栞代が呆れて応える。


「そ、それじゃ、せめて、的中率アップバワーあげあげダンスは?」


「いや、なんか不吉な予感しかしないわ」


「えー、なんでですか? 昨日は海棠先輩に効果抜群だったじゃないですか!」


「それは違う祈りを送ったんやろ!」あかねがにやつきながら言う。

「ちょ、ちょ、ちょ、あかね先輩、黙ってて~」


二人の掛け合いに、食堂にいた部員たちから笑い声が漏れる。緊張していた空気が少しずつほぐれていく。


ソフィアが微笑みながら言った。「真映とあかねのコンビは、いつ見ても最高のエンターテイメントね」


「ソフィア先輩! 私のダンス、どうでした?」


「とても...個性的だったわ。Hassu tanssi. Mutta upea tanssi.」(ヘンテコな踊り、でもすばらしい踊り)

ソフィアの優しい表現に、一華が小さく吹き出した。


「真映さんの"個性"は、数値化が困難ですね」


「一華、それ褒めてる?」


「とても興味深い研究対象だという意味です」


真映は首をかしげながらも、嬉しそうに頷いた。


拓哉コーチからの召集


朝食が終わる頃、拓哉コーチが食堂に現れた。いつものように冷静な表情だが、その瞳には静かな闘志が宿っている。


「出場選手、集まってくれ」


短く告げると、コーチは食堂の一角に向かった。部員たちの視線が、一斉にその方向に集まる。


杏子、栞代、つばめ、そして紬の四人が席を立つ。杏子はいつものように表情を変えず、栞代は軽く肩を回して体をほぐし、つばめは少し緊張した面持ちで歩いた。

そして、紬はいつも通り無表情で「それはわたしの課題ではありません」という言葉が浮かんでいた。


「今日の予選メンバーを発表する」


コーチの声が、食堂の静寂を破る。


「大前、栞代さん」

栞代が小さく頷く。県大会から続く安定感で、チームの流れを作る重要な役割だ。


「中、つばめさん」

つばめの表情がわずかに強張る。最近の調子を考えれば、外される可能性もあると思っていた。しかし、コーチの信頼を感じ取り、決意を新たにする。


「落ち、杏子さん」

最後に告げられた名前に、部員たちの間に今からながらの安堵の声が漏れる。ついに、杏子が全国の団体戦の舞台に立つんだ。そして、エースを最後に配置することで、どんな状況でも勝利を掴みにいく意図が明確だった。


「以上の三人で予選を戦う」

そして、つばめに向かい、声をかけた。


「つばめさん、一華さんのデータを見れば、調子が落ちているのは明らかだ」

つばめが頷く。


県大会でも同じような状況があったことを、みんなが覚えていた。

「今大会は全国制覇のために、最善と思うやり方で行く。つばめさんの力を発揮して、予選を突破しよう」


「全員で積み重ねてきた努力と絆を、この舞台で証明してくれ」


全員が深く頷く。


「予選は9時開始。それまでに最終調整を済ませておくように」


コーチが立ち上がると、食堂全体に緊張感が戻った。いよいよ全国での団体戦が始まる。光田高校弓道部の真価が問われる時が来た。


杏子が静かに立ち上がり、栞代とつばめ、紬に向かって言った。


「行こうか」


真映が。

あかねが。

楓が。

ソフィアが。

一華が。

まゆが。


一人一人視線を合わせた。光田高校は一つ。

全員で向おう。


確かにその思いを受け取った四人だった。





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