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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
215/432

第215話 練習試合 その2

三校の実力が数字となって現れた。鳴弦館高校が12本という圧巻の的中率で頂点に立ち、続く鳳城高校が11本、そして光田高校が10本という結果だった。


この激戦の中で、ひときわ輝いたのが光田高校1年生・楓の奮闘であった。大舞台の重圧に怯むことなく、彼女は2本という見事な的中を果たし、チームの一翼を担う存在であることを証明してみせた。


競技終了の瞬間、栞代と杏子の表情には、後輩への深い誇りと愛情が宿っていた。二人から贈られた惜しみない賞賛の言葉は、楓の心に温かな光となって宿り、これからの弓道人生における大切な宝物となったのである。二人が揃って笑顔を向けてくれた瞬間は、もう絶対に忘れられるものでは無かった。


セカンドチームの戦いが始まった。


鳳城高校は、エースチームの曽我部瑠桜の一本外しを絶好の好機と捕らえ「越えるチャンス」という意識が強くなりすぎたのか、三人が一様に一本ずつ外す結果となった。それでも、実力の高さを示し、合計9本。


鳴弦館高校も、緊張と意地がぶつかり合うような展開。こちらもそれぞれ一本ずつ外して9本。セカンドチームであっても、これだけの安定感を見せるあたり、全国制覇を本気で狙う学校の層の厚さを示していた。


そして光田高校——真映、ソフィア、紬という個性豊かなチーム構成。真映が爆発的な力を発揮し、紬の安定感と組み合わされば楽しみなチームではあったが、今回は真映が1本の的中に留まった。それでも、確実に力をつけていることを証明する一射であった。ソフィアが2本、紬が3本を的中させ、トータル6本という結果となった。


続いてサードチーム。


鳴弦館高校は一年生を起用。初舞台の中、1本をしっかり決め、二年生のふたりが3本ずつと結果をまとめ、合計7本。練習試合とはいえ、この舞台に立つ者の覚悟が感じられる内容だった。


光田高校は、あかね・まゆ・つばめの布陣。あかねが2本、つばめが3本。着実な実力の積み重ねが形となって現れる。そして、まゆ――春の試合では一本も当てられなかった少女が、ついにその瞬間を迎える。放たれた矢が音を立てて的を射抜くと、会場に自然と拍手が湧き起こった。まゆは、ゆっくりと立ち上がり、静かに深く頭を下げた。


最後に、鳳城高校のサードチーム。一年生の三輪夏芽が皆中。精密機械のようなリズムで矢を放ち、全て的中。不動監督の顔に、一瞬だけ満足げな笑みが浮かぶ。残る二人も3本ずつを的中させ、合計10本。層の厚さを、まざまざと見せつける結果だった。


サードチーム戦——感動の瞬間


そしてサードチーム戦へと移った。


鳴弦館高校は一年生を起用し、その選手が1本を的中。二人の二年生はさすがの実力を見せて3本を的中させ、合計7本という堅実な成績を残した。


光田高校は、あかね、まゆ、つばめという組み合わせ。それぞれが培ってきた実力を存分に発揮する時が来た。あかねが2本、つばめが3本を的中させる中、特筆すべきは、まゆの一射であった。


まゆが矢を放った瞬間——。


見事に的を射抜いた。


春の練習試合では的中させることができなかった彼女が、今回は確実に一本を決めてみせたのだ。


その瞬間、静寂に包まれていた会場が、温かな拍手に包まれた。まゆは椅子からゆっくりと立ち上がり、深い感謝を込めて静かに頭を下げる。その姿には、努力を重ねてきた者だけが持つ、静かな誇りが宿っていた。


一緒に歩んできた杏子もとても喜んだ。夏以降、4本引けば、1本はなんとかあてることができる。まゆの努力を知っている光田高校のメンバーは、一様に感動していた。


そして鳳城高校——。一年生の三輪夏芽が皆中という見事な成績を収めた。普段は厳格な表情を崩さない不動監督の顔にも、一瞬、満足そうな表情が浮かんだ。残る二人もそれぞれ3本ずつを的中させ、合計10本という素晴らしい成績で締めくくった。


各チームの実力と成長が交錯する、印象深い一週目となった。特にまゆの成長は、光田高校弓道部全体にとって大きな希望の光となったのである。




そして、順位決定を兼ねた二周目の試合が始まった。


光田高校のセカンドチーム・サードチームと鳴弦館高校のサードチームという組み合わせ。試合が進むにつれて力を発揮してくる光田高校の伝統は、下位チームにもしっかりと受け継がれているようで、あかねが1本、紬が見事に皆中を達成し、的中数を着実に伸ばしていく。対して鳴弦館高校のサードチームは1本的中数を落とし、結果として7位に光田高校の2チームが並び、9位に鳴弦館高校のサードチームという順位となった。


この結果に、かぐやが騒いでいたが、鷹匠が冷静にしっかりと抑え込んでいた。


4-6位決定戦での鳳城高校の実力


4-6位決定戦では、鳳城高校のセカンドチーム・サードチームがそれぞれ10本的中というハイスコアをマークし、1本及ばずに鳴弦館高校が6位という結果となった。


またしてもグループ最下位という結果に、かぐやが騒ぎ立てたが、今度は鷹匠と真壁の二人がかりで抑えにかかっていた。


その光景は、まるでコメディのようで、観戦していた他校の部員たちからも苦笑いが漏れていた。


トップチーム再戦と杏子の温かな眼差し


そしていよいよ、再びトップチーム同士の対戦となった。


一周目同様の結果に、光田高校の栞代と杏子は楓を再び大いに称賛した。特に杏子の表情には、後輩への深い愛情と誇りが宿っており、その温かな眼差しは見る者の心を和ませた。


一方、鳴弦館高校の桐島は、かなりのプレッシャーを感じていたのか、何らかのトラブルがあったのか、それでも2本的中に留まったというべきか——トータル10本で、2位を光田高校と分け合うこととなった。


鳳城高校はここでパーフェクト。見事としか言いようが無かった。鳳城高校を越えるためには、どこまで高めなくてはならないのか、その力をまざまざと見せつけた。



ここで納得がいかないのが、かぐやである。

「順位ばちゃんと決めっど!競射ばすっがよかっち思うとよ!」

と、まるで子どものように主張し始めた。


東雲監督が、拓哉コーチ、不動監督に向って、申し訳なさそうに頭を下げていたが、不動監督も、拓哉コーチも、かぐやの実力とそのなにごとにも屈託のない、そして正直さを十分に理解していたので、穏やかに、東雲監督に任せる、と伝えた。


東雲監督が、やれやれという表情を見せつつ拒否すると、今度はかぐやは杏子に向かって

「杏子と一対一でよかっで、やりたかっ!わたしが上っち、ちゃんと知って帰りたかっ!」

「遠近競射でもよかっで、やりたかっ!杏子、あんたもやりたかっはずやっが!やりたかっやろが!やりたかっち言えっが!」と言い出す始末だった


試合終了後の余興として、「やりたいならご勝手に」という雰囲気の中、二人は遠近対決を行うことになった。


見事に的の中心を射抜いた杏子に対し、かぐやの矢は微妙にぶれていた。


「今日は風の流派が逆回っとったっ!」

「的がわたしに個人的な恨み持っとったっ!」

「矢が宇宙の理に反しとったっ!」

「杏子が時空ん歪めたっ!」

「今朝の味噌汁、薄かったけんな、集中できんかったっ!」

「カラスが三羽飛びよったっが、縁起悪かったっ!」

「こが弓場、わたしのチャクラと相性悪かど!」

「月の重力が的引っ張ったとしか思えんっ!」


かぐやは訳の分からない言い訳を並べ立てて杏子に食ってかかった。

ボディーガードの栞代も、最初こそかぐやを止めようとしていたが、そのあまりの面白くも意味の分らない言い訳に、力を無くした。


当の杏子はその愛らしい言い訳をもっと聞きたい、というようなウキウキした顔をして目を輝かせていた。


杏子の穏やかで温かな反応は、かぐやの怒りをも和らげる不思議な力を持っていた。怒っているはずのかぐやでさえ、杏子の屈託のない笑顔を見ていると、次第に表情が緩んでいく。


そうしていると、鷹匠と真壁が杏子に深々とお礼を述べつつ、「すんもはん、いつもこん調子で……よう言うて聞かせもすけん。どげんか許してくいやんせ。」と苦笑いを浮かべながら、かぐやの両腕をやんわりと持ち、杏子に軽く会釈して、ずるずるとかぐやを引きずって行った。


杏子はその後ろ姿を見送りながら、優しく手を振っていた。

栞代が「相変わらず面白いやつだなあ」と呆れるように言うと、真映が

「全く、困った人ですよね」

と受けた。


「お前もな」

光田高校弓道部、全員が心の中で突っ込んだのであった。

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