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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
210/432

第210話 抽選の神様 その2

チーム分けが決まった。


チームA:杏子、栞代、楓

チームB:真映、ソフィア、紬

チームC:あかね、まゆ、つばめ


第六章 真映の心境


結果を見た瞬間、真映の表情がわずかに曇った。しかし、それは一瞬のことで、すぐにいつもの明るい笑顔を浮かべた。


「おー。ソフィアさんと紬先輩と一緒だ。まさに、弓道部だけじゃない、光田高校全校のアイドルチームになったなあ~。ねえ、紬さん」


「それはわたしの課題ではありません」


いつもの紬のセリフに部室には笑いが広がったが。


普段と変わらず明るい真映の様子に、仲間たちは真映の心の内を察していた。特に一年生の楓は、自分が杏子と同じチームになったことに複雑な思いを抱いていた。


「ねえ、真映」

楓が小さく声をかける。


「なに?」

「良かったら、私と変わろうか?」


楓の優しい申し出に、真映の瞳が一瞬潤んだ。しかし、すぐに首を横に振る。

「だめだめ!そんなことしたら、抽選の神様に怒られちゃう! 抽選の神様は絶対だっ」


真映の言葉には、彼女なりの矜持が込められていた。自分が提案した抽選の結果を、自分から変更するわけにはいかない。それに、楓もまた杏子と初めて組む機会を得たのだ。その権利を奪うことはできなかった。


その言葉に、その言葉の裏に、部員たちは真映の成長を感じた。楓も杏子と組むのは始めてだもんな。いつも明るくお調子者の真映だが、仲間のことを第一に考える優しさを持っていた。


第七章 それぞれの想い


杏子は真映の様子を心配そうに見つめていた。真映の提案の真意を理解していただけに、この結果を素直に受け入れている真映の健気さに胸を打たれた。


「真映」

杏子が真映に近づく。


「今度の練習試合、みんなで頑張ろうね」


「はい!」


真映の返事はいつもと変わらず元気いっぱいだった。しかし、杏子には分かっていた。真映が無理をしていることを。


栞代も複雑な心境だった。親友である杏子と組めることは嬉しいが、真映の気持ちを思うと手放しで喜ぶことはできなかった。


楓は緊張していた。憧れの杏子先輩と初めて組むことができるが、それが真映の希望との交換の上に成り立っていることを重く受け止めていた。


一華は真映の隣で、静かに彼女を見守っていた。言葉こそ無かったが、真映の心情を理解しているようだった。


第八章 部の結束


「みんな」

杏子が立ち上がる。


「抽選の結果がどうであれ、私たちは光田高校弓道部。今組んだチームは違っても、同じ目標に向かって頑張る仲間よ」


杏子の言葉に、部員たちが頷く。

「そうだね」


あかねが明るく言う。

「私たちのチーム、Cという不本意な分け方だけど、絶対に負けないから。な、まゆっ」

「はい!」

いつも声帯が弱く、囁くように声をだすまゆが、精一杯の声をだした。


つばめがまゆの手を上げる。


「Tumugi、勝ちますよ。鳳城高校に、鳴弦館高校に、そして杏子にも」


「それはわたしの課題ではありま・・・・・・いや、ここは違うな?」

また全員で笑う。


真映がいつもの調子で

「ソフィアには、鳳城高校の的場さんとの、どっちが美人か対決があるからな、油断しないでくださいよっ」

「いや、それ言うと、絶対に鳴弦館の篠宮かぐやが、わたしが一番だって騒ぐな。目に見えるようだ」とあかねが応えた。


「よし、じゃあ決まりね」

真映が最後に大きく手を叩く。


「鳳城高校も鳴弦館高校も、きっと驚くよ。私たちがどんなに結束しているか、見せつけてやろう!」

その声には、いつもの真映らしい前向きさが戻っていた。抽選の結果は思い通りにはならなかったが、それでも仲間と共に戦えることの喜びを見つけていた。


第九章 練習への意気込み


翌日から、三つのチームはそれぞれ練習に励んだ。


杏子、栞代、楓のチームは、経験豊富な二人と成長著しい一年生の組み合わせ。楓は緊張しながらも、杏子の丁寧な指摘を受けて着実に腕を上げていた。


真映、ソフィア、紬のチームは、個性的なメンバーが揃った。真映の元気さ、ソフィアの冷静さ、紬の安定感が、意外な化学反応を生み出していた。


あかね、まゆ、つばめのチームは、まゆが椅子に座ったまま引く。しかし、三人の息は完璧に合っており、他のチームも驚くほどの連携を見せていた。とにかく一本。まゆは、春の練習試合の時には全然当たらなかった雪辱を誓っていた。



「みんな、調子良いじゃない」

瑠月が練習を見学に来て、満足そうに頷いた。

「去年のことを思い出すわね」


拓哉コーチも生徒たちの成長ぶりを見て、期待を寄せていた。


第十章 真映の成長


練習試合が近づくにつれ、真映に変化が現れ始めた。最初こそ杏子と同じチームになれなかった落胆を隠しきれなかったが、ソフィアと紬という新しいチームメイトと過ごすうちに、チームの一体感がどんどんと熟成されていった。


「真映、フォームが良くなったよ」

紬が感心したように言う。


「本当?」

真映が嬉しそうに振り返る。杏子と離れたことで少し力が抜けた。そのことが良い方向に進んだのかもしれない。力みが消えたのだ。


「杏子先輩と組めなかったのは残念だけど」


真映が言う。

「でも、ソフィアさんと紬先輩と組んで、ほんとにアイドルトリオを結成しようか?」


その言葉に、ソフィアと紬は同時に返した。


「それはわたしの課題ではありません」

「Mutta se ei ole minun tehtäväni」


第十一章 それぞれのチームの特色


三つのチームは、それぞれ異なる特色を見せ始めていた。


杏子のチームは、圧倒的な個人技と安定感が武器。栞代の経験値と楓の成長力が、杏子の実力を更に押し上げていた。


真映のチームは、予想外の爆発力を秘めていた。真映の持ち前の勝負強さ、ソフィアの冷静な判断力、紬の堅実さが絶妙に組み合わさっていた。


あかねのチームは、完璧なチームワークが持ち味。三人の息がぴったりと合い、まるで一人の射手のような一体感を見せていた。


「これは面白くなりそうね」


瑠月が感心したように言う。


「どのチームも、それぞれの良さを活かしている。鳳城も鳴弦館も、油断できないわよ」


第十二章 練習試合への期待


練習試合まで残り一週間となった頃、部員たちの士気は最高潮に達していた。


「絶対に勝つ!」

真映が拳を突き上げる。その表情には、もう迷いは見られなかった。


「みんなで頑張ろうね」

楓が小さく、だが確実に決意を表明する。


マネージャーの一華を含んだ10人の少女たちは、それぞれ異なる想いを胸に、同じ目標に向かって歩んでいた。抽選が生んだ予想外の組み合わせは、新たな可能性を切り開いていた。


真映の提案から始まったこの物語は、単なる偶然を超えて、仲間たちの絆を更に深めるきっかけとなっていた。そして間もなく、その絆が試される時がやってくる。


鳳城高校、鳴弦館高校との三校合同練習試合。光田高校弓道部にとって、新たな挑戦の幕が上がろうとしていた。


エピローグ 抽選の神様への感謝


「真映」

練習終了後、楓が真映に声をかけた。


「抽選の提案、良かったと思う」

「え?」


「みんな、いつもと違うチームメイトと組むことで、新しい発見があったでしょ?私も杏子先輩から、たくさんのことを学べている」


楓の言葉に、真映の表情が明るくなった。

「そうかな?」


「うん。きっと抽選の神様も、私たちのことを考えてくれたんだよ」


真映は空を見上げた。最初は杏子と同じチームになりたい一心で提案した抽選だったが、結果的には全員にとって最善の組み合わせになったのかもしれない。


「ありがとう、抽選の神様」

真映が小さく呟く。その顔には、いつもの明るい笑顔が戻っていた。


仲間たちの成長、新しい発見、そして変わらない絆。光田高校弓道部の挑戦は、まだ始まったばかりだった。

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