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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
197/433

第197話 球技大会打ち上げ

球技大会は、目標としていた優勝は惜しくも逃したものの、弓道部の活動だけでは見えにくかったものも、いくつか見えたし、なにより、レクレーション本来の、気分転換には大いに役立った。


当日は自由練習だったが、当然のように杏子は練習に向かうが、真映が「部長、打ち上げやりましょうよ~」と泣きつく。栞代が自由練習で参加しなくてもいいから、希望者だけでやればいい、と言うが。それでも真映は「全員揃わないと寂しいんですううう」と引き下がらない。


杏子は、遅くなると祖父が心配するから、自分の家でなら、と提案し、みんなが了承。


杏子宅での集合時間を決め、真映らは買い出しに行った。杏子の弓を引く姿を見ると、絶対に練習したくなる魔力がある。買い出しに行かせた方が平和だ。

姉を超えたいつばめと、毎日引くことを決めてるまゆと栞代が杏子と一緒に練習をし、一華がきっちりと記録を取った。



杏子宅では、相変わらず賑やかなのが好きな祖父が大歓迎。

「用意は全部おばあちゃんなくせに」と栞代が突っ込み、杏子が笑う。いつもの風景だ。


リビングに全員集合。テーブルの上には真映ら買ってきた、お菓子とジュースがあふれかえっている。


真映が笑い声をあげながら大騒ぎ。「今日はほんとに楽しかったですね~」

あかね「弓道の練習は楽しくないんかいっ」

真映「だって、弓道だと主役は部長だもん」

「バスケも、栞代とソフィアが主役だったけどな」

とあかねが突っ込むも「そんなことないわ~。バスケは断然わたしが主役だた~」とお菓子をいっぱい頬張りながら応えた。


それに対して栞代は「いや、ソフィアがほんとに上手やったわ」

ソフィアもソフィアで「栞代はめっちゃ美しかった」

と交換してたらまた「わたしがそれを引き出した~」と真映がジュースを飲みながら反論した。

「いつもはおとなしい楓も、相当目立ってたで」あかねが振るも、楓はもう通常モードに戻ったのか、もじもじしているだけだった。


場の雰囲気が盛り上がる中、一華が真剣な顔で口を開く。「あのスリーポイント、判定ちょっとオカシイと思いました。意図的ではないにしろ、審判の見る位置が悪かったし、エンタメ考えると、あそこは同点にして欲しかったです」

と、一華らしく、原因を見極めながら、一華としては以外に状況を読んでいた。

栞代が「でも真映は瞬間に気持ちを切り換えてて偉かったよ。さすが弓道部の切り換え女王」

そして栞代が続けて「真映、あれだけ切り換えが早かったら、バスケも十分イケたやろ?どうして途中で辞めたん?」


真映はふふっと笑いながら肩をすくめた。「わたしには弓道の才能があると、ある夜、弓道の神様から御告げがあったんです。なんと、あの雲類鷲麗霞さんにも匹敵すると神様は言うんですよっだから、部長はもうすぐわたしのことを世界一頼りにするはずです」

その発言に一瞬の静寂が流れたが、すぐにあかねがニッコリ。

「言っとくけど、真映、部長の才能は絶対雲類鷲麗霞を越えてるとわたしは思うで」

というとまゆも「わたしも信じてます」と弓道部きっての杏子派が加勢した。


周囲が笑いに包まれる。真映は得意げに胸を張った。「じゃ、まず越えるのは部長だな」と不適な笑みを浮かべた。


それを聞いて栞代は「麗霞さんには絶対にいい勝負すると思う。問題はつぐみの方だ。個人戦であたったら、杏子が普通で居られるか。かといって、また棄権するのも、違う気がするんだよな」と呟いた。

それを聞いたまゆと一華は目を合わせた。常々、なんとかその壁を乗り越えてほしいと常々話し合っていた。


そのとき、祖父と祖母が入ってくる。


祖父はにこにこしながら「おお、みんな来てくれてありがとうな。…準優勝だったんだな。惜しい惜しい。そのお祝いに、ちゃんと美味しい紅茶を淹れるから、待っててくれよ」


栞代は祖父の横へ寄り「おじいちゃんの淹れる紅茶は、本物だからなあ」というと、

「栞代、わしゃ、全てが本物じゃ」と返した。


祖母はニコニコ優しく笑いながら、こんなときのためにと、焼いてあったクッキーを出す。歓声が部屋を包む。


杏子はそんな祖母の頭を下げつつ、メンバーへ向き直る。

「今日はワガママ言ってきてもらってありがとう」

「いやいや、いいんすよ、部長~。なんなら、わたし、毎日でもきますから」

真映がいち早く反応し、「そいえば栞代さんがほぼ毎日来て、着替えもあるんですよね。いーなー。ま、これからもちょくちょくお邪魔させてもらいますね」

「いつでも大歓迎じゃっ」祖父が応えた。


全員がうんうん頷き、笑顔とおしゃべりが部屋を温かく満たす。


祖父が「でも、みんな弓道の良さも再確認できたじゃろ?」

と話しだした。栞代が「確かにそうだな」と頷く。

「えっ、たとえば?」と真映がなにか名残惜しそうに訊ねた。

「たとえば、決定的な違いは、弓道は審判競技じゃないってことじゃな」

「え?」

「いや、厳密にはもちろん審判も居るし、ルールもある。でも、肝心の的中かどうかは、誰がどう見ても間違えない。審判の恣意的な判断が入ることがない。わしは、そこが大好きなんじゃ」

真映がはっとする。そして栞代がまた頷き「そこをどう捕らえるかだけど、おじいちゃんはほんとにそういうの、嫌いだよなあ」

「人間は絶対に先入観から逃れられないからな。そういう意味でも、自分との対話という弓道の性格が大好きなんじゃ」

真映は「バスケとか人と交差するとか、作戦とか、基本ないですけど、ほんとに弓道は弓道で、見えない絆が支えますよね」

と、らしくない真面目な発言に、全員が感心しつつ、打ち上げもちょうどいい時間になっていた。


「つぎは、ブロック大会と期末テスト。重なってるけど、がんばらないとね」

と杏子が言うと、またまた真映が

「部長~。勉強の話はしないでくださいよ~」と、みんなを感動させたすぐあとに、また呆れさせたのだった。


帰り際、つばめが杏子に「テスト勉強期間中も、ずっと見てもらっていいですか?」と杏子に声をかけた。

「うん。もちろん。ブロック大会では、つぐみといよいよ、だもんね」

「はいっ」

とつばめは元気よく応えた。

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