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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
196/433

第196話 クラブ対抗球技大会 その2

そして、いよいよ迎えた決勝戦の相手は、やはりハンドボール部との対戦。

バスケ経験者も多く、しかもバスケットとの親和性も高い。


弓道部は全力のメンバーで押し切れるが、ハンドボール部は厳しい対戦が続いており、バスケ未経験者もそれなりに出場しなければならなかった。そこは有利な点ではあったが。


決勝戦・光田高校 vs ハンドボール部


体育館のブザーが鳴り響く。観客席も部員たちも息を呑む中、決勝戦が幕を開けた。

【第1クォーター:開始から火花散る】


栞代とソフィアがすぐにゾーンディフェンスをセット。身長を活かしたブロックとパスカットに、相手の長身エースも冷や汗。

オフェンスのあかねはドライブでゴール下を崩し、見事にシュートを決める。フロアには歓声。

真映もリバウンドからスピードで切り込み、豪快なダンク、はできないが“見せ場”を演出。

ソフィアには野太い声が飛ぶ。金髪碧眼長身美人で、普段は弓道の清楚さを見せているが、今日に限ってはコートの麗人として君臨していた。


【第2クォーター】


身体の使い方が上手く、屈指の運動能力を誇るハンドボール部。だが弓道部の誇りを胸に、5人はこの一瞬にすべてを懸けた。


栞代(エース・司令塔)

背筋を伸ばしながら、柔らかくボールを指先で転がす。パスで流れを作り、シュートチャンスを冷静に判断。相手のプレッシャーにも動じず、しなやかにスピードを作る。コート全体を俯瞰し、仲間へ細やかに声をかける。「右ね、あかね」「真映、戻って」――彼女の指示が5人の呼吸を一つにする。


ソフィア(長身フィンランドの美しき守備者)

大きな身体を活かして相手のドライブをピタリと止める。いつもは柔らかな笑顔だが、ここでは鋭い眼差し。また股下からのパスを盗み取り、速攻の起点を作る姿は、“北欧の守護天使”そのもの。シュートも軽やかに沈め、仲間から「さすがソフィア!」の声が上がる。紬が「アニメそのものだわ」と感心している。


あかね(バスケ部顔負けの万能フォワード)

ドリブルでディフェンスを切り裂き、軽やかなジャンプシュートを叩き込む。高さと速さ、そして的確な判断力が光る。彼女がその場にいるだけで、チームの躍動感が変わる。「ナイスあかね!」と誰もが声を掛けたくなる、頼れるスターだ。


真映(爆発力のヘッドコーチ)

まるでトリックスター。コートの隙間をすり抜け、フェイクとパスで相手を翻弄。シュート精度は高くないが、その動きは相手を攪乱し、味方にスペースを作る。“真映のプレイ”は間違いなく魅力的だった。観ていて飽きない、弓道部一のトリックスター。


楓(静謐なるセーフティガード)

シュートこそないが、ポジション取りとボールカットのセンスは光る。無言だがその動きは的確で、リバウンドもキッチリとキャッチ。「ああ、楓がいると安心」と周囲が思うほど、安定感を支えた。


栞代が冷静にパスを回しながら、相手の布陣を崩す。ソフィアが強固なディフェンスで動きを制御し、速攻に転じる。あかねがスムーズドリブルでゴールへ迫り、美しいシュートを沈める。真映が突破口を作って敢えて注意を引き、自らも果敢にシュート。楓は常に隙を埋め、味方のバックアップに周る。


【第3クォーター:折り返しの攻防】


さらに本気になるハンドボール部。メンツにかけても負けられないらしい。ファールギリギリのプレイが続く。この辺りの身体の使い方はさすがに本職。対して、栞代×ソフィアのディフェンスが最大級に発揮。ボールを奪うたび、一瞬の息詰まる駆け引き。

あかねはペイントエリア中心に立ち回りファウルを誘発、フリースローにつなげる。

真映は疲れた顔すら見せず、フロアを駆け回る。


【第4クォーター:最後の勝負】


得点は一進一退だが、終盤ハンドボール部がリード、弓道部が追いつく展開に。時間の使い方も、ハンドボール部に一日の長があった。


残り1分を切っても拮抗状態。3点差のままラスト勝負へ。

ハンドボール部の速攻を栞代がブロック、すかさずソフィアがカウンターをしかける


歓声が会場を包む。あかね、真映、楓、そして真映とパスを繋ぎ、真映がシュートを打った直後、ブザーがなる。


ブザービーター。決まれっ。杏子が祈る。


だが、スリーポイントは認められ無かった。瞬間真映が審判に詰め寄ろうとするも、栞代とソフィアが止める。


終了後は、互いを讃え会う。プライドを守ったハンドボール部には安堵の声が漏れる。

ソフィアの元には、審判チームを組んでいたバスケットボール現役男子が詰め寄り、今からバスケット部に入れとソフィアを取り囲むが、栞代を始め弓道部全員で救出した。


真映が「なぜ、わたしに声をかけんっ」と、さすがに切り換え女王。もう判定への不服は忘れているようだ。


みんなの頑張りに感動している杏子の元に、女子バスケットボール部の部長、坂本麗さかもと・うららが、真面目な顔で近づいてきた。

「杏子、栞代をバスケ部に譲る気はないか? あいつ、相当バスケ好きだぜ」と真面目な顔で言い出した。

それを聞いて戸惑う杏子だったが、あかねが「おい、麗、栞代は県チャンピオンだぞ。諦めてくれ」と、これまた真顔で返すと、麗は「弓道部はギャグが通じないなあ」と笑いながら帰って行った。

何言ってんだ、真面目な顔してたくせに。あかねは、麗とはクラスメートで仲が良いこともあるが、睨み付けて追い払った。


そして、真映が杏子に「部長、冗談でも即効で断ってくださいよ」と真面目な顔で詰め寄った。「どうせあれでしょ。部長のことだから、栞代さんの人生は栞代さんが決めるべきとかなんとか、思ったんでしょ?」と杏子にさらに追い打ちをかける。


栞代は結構真面目な剣幕の真映と杏子を離そうとするが、真映は続けて、

「部長、栞代さん、バスケ部に行っていいんですか?」と迫ると、杏子は溜まらず

「ヤだっ」と大きな声を出した。その声に杏子自身が驚いた顔をし、安心した笑いが弓道部のメンバーに広がった。


栞代は、安心しろ、というように杏子の頭を撫でていた。

ふと紬を見るも、さすがの紬も、セリフは封印していた。

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