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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
195/433

第195話 クラブ対抗球技大会 その1

クラブ対抗球技大会まで、弓道部の練習にはちょっとした異変が起こっていた。

弓道部の練習は、実は週の半分はお休み、というか自由練習日。

休んでもいい、というか、そもそもお休みの日だ。


それでも、人迷惑な、もとい、練習熱心な杏子がまるで休まず道場に日参するので、もはや毎日の練習が当たり前、になっていて、自由練習の日は、終わる時間がちょっと早い日、になっていた。


それは杏子が入部して以来変わらず、あげくの果てには、杏子が祖父の看護のため、学校を休んでも部活を休んでも、その習慣は変わることが無かった。


瑠月、冴子、沙月、栞代、紬、あかね、まゆ。当時の弓道部員、誰もが当たり前になっていたのだった。


だが、クラブ対抗球技大会の練習のため、バスケットボールの練習をした日から、自由練習の日、二日しか無かったが、真映が中心となり、ソフィア、紬、あかね、楓がバスケットの練習のために、弓道部の練習には参加しなかった。


杏子はケガの心配をしていて、練習日には、そのことをよく訊ねていた。球技大会真映最後の自由練習日には、真映が栞代と杏子に泣きつき、バスケットボールの練習に連れて行った。


その時には、つばめもまゆも、杏子をたっぷりと独占できるので、二人はかえって喜んでいた。一華は淡々と練習を記録し、当の杏子は相変わらず、いつも通りだった。


そんな、真映が思いっきり気合を入れているクラブ対抗球技大会の日がついにやってきた。


球技大会当日の朝、体育館に足を踏み入れた弓道部は、胸いっぱいの期待と不安を胸に、抽選会場へと向かった。


目の色を変えた真映が、杏子に頼み込む。

「杏子さん、杏子部長、杏子さま~」

「な、なに?」

「抽選は、わたしにやらせてくださいっっ」


もちろん、異論は無かった。

一日だけ練習に参加した栞代の話によると、真映はかなり本気で練習に取り組んでいて、上級生のあかねへの気遣いを始め、自分のキャラクターを生かしながらきちんとまとめているらしい。


そのあと、楓から聞いた話だと、真映がバスケ部だったということは実は本当で、途中で退部して、弓道部に行ったらしい。そこにはなにか事情があり、バスケットへの思いが完全には断ち切れていなかったのかもしれてい。

栞代はそう思い、このチームの指揮を、真映に任せることにした。


杏子はその話を聞き、とても嬉しそうだった。そして、きっと球技は、勝ちたいという気持ちが一番大事なんだろうなと、弓道との違いを考えてた。




球技大会は8チームによるトーナメントで、完全に順位を決めるため、どのチームも3試合する。その組み合わせは、一試合一試合独立して行われる。


特に一回戦は、大変重要な意味を持っていた。


弓道部と共に、全国レベルのバレー部は、クラブのプライドにかけて優勝を狙っている。そしてクラブ員の大半が元バスケットボール部のハンドボール部も、その対抗馬として評価が高い。


そしてテニス部も近年全国大会へ出場し、上位進出を狙っている。


全く、公立の進学校のくせに、部活動強すぎんだよ。真映は苦々しく思う。


柔道部は、ソフィア目当てで応援にきたくて女子部員に泣きついたという噂だから、大丈夫だが、それでも狙い目は、文化部選抜。クラブ活動をしていない帰宅部には意外とスポーツ神経がいいやつが隠れていることがあるので、そこは避けたいと思う。やはり、狙いは、文化部選抜。


目の色が完全に変わっている真映が抽選に挑む。


果たして・・・。


狙い通りの文化部選抜ではなく、帰宅部との対戦になったが、真映がなによりも喜んだのは、一回戦で、いきなりバレーボール部対ハンドボール部の、優勝候補同士が戦うことになったことだ。


「ふふふふ。わたしの魔力を見たか。そっちに使いすぎて、自分のところは文化部を引けなかったけど、まあ、いいだろ。これで優勝へのルートが見えた」

と、一人真映ははしゃいでいる。


今大会のバスケットのルールは、5分、2分休憩、5分、5分休憩、5分、2分休憩、5分が1試合。の5分クオーター制で行われる。


さらに全員出場が原則。これは3試合のどこかで出場すればいいが、特別ルールとして、試合中は選手交代ができない。もちろん、ケガなど特別なことが起これば別だが。だから、スポーツがいやな部員も、5分は頑張らなければならない。


真映は、栞代、ソフィア、真映、あかね、楓、をレギュラーとして考えていた。問題は、つばめ、杏子の弓道オタクコンビと、本物のオタク、紬だった。


この3人を、まだ余裕があるだろう一回戦で出場してもらい、あとは、レギュラーで固めたい。


帰宅部との一回戦は、真映の悪い予想があたり、元バスケットボール部ばかりが集まっていた。対して弓道部は、紬、つばめ、杏子、そして最後に楓と交代させるという陣営。


栞代とソフィアは、ブランクを感じさせない見事なプレーを披露。真映とあかねが走り回り、一人をカバーする。


最初こそ一進一退だったが、帰宅部の宿命か、後半のスタミナ切れが激しく、さらに最終クオーターで楓が登場したことにより、一気に突き放した。


注目されたバレーボール部対ハンドボール部は、強烈な熱戦になり、単にバレー部は中学からバレー一筋、ハンドボールはバスケット経験者多数、という経験者勝負になり、そう思うと、むしろバレー部が全国レベルの力を見せつけて健闘し僅差の勝負に持ち込んだ、と言える。


勝ち上がってきたのは、ハンドボール部、弓道部、テニス部、そして卓球部。

テニス部に負けた柔道部は、男子から弓道部と当たるまでは負けるなと言われていたらしいが、男子に文句を言われると、逆に投げ飛ばしていた。


二回戦、真映は卓球部を引き当てた。栞代は、なるほど、運も持ってるなと感心する。ムードメーカー、ムードチャンジャーとしての才能は認めていたが、肝心の運も、どうやら侮れないらしい。決して卓球部が与しやすいとは言わないが、一番可能性のある相手ではあった。


先を見越した作戦のおかげで、この試合からは栞代、ソフィア、あかね、真映、楓という、弓道部としてはこれ以上ないという布陣で挑める。卓球部もスタミナオバケではあったが、卓球部はやはり卓球部の持ち上がり経験者で占められており、途中からは、はむしろ、杏子、つばめ、紬を出せる余裕もあった。


こうして見ると、弓道が中学では珍しい競技なのが幸いしていた。バスケとはあまり結びつかないが、やはり栞代とソフィア、そして真映と、経験者の存在は大きかった。


レクリエーションとはいえ、勝敗が懸かると本気モードになる。運動部の宿命とも言えた。




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