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ぱみゅ子だよ~っ 弓道部編  作者: takashi
2年生
109/433

第109話 Sofia Alberttiina Virta ソフィア・アルベルティーナ・ヴィルタ

鳳城高校との練習試合が決まり、弓道場にも緊張感が漂う。

早朝練習、凛とした雰囲気の中、女子チームが的前練習をしている。


朝日に照らされ、杏子の弓がいつも以上に美しく輝く。


そんな弓道部の練習を、じっと見つめているひとつの影があった。


杏子が一息入れた時、瑠月が杏子に話しかけた。


「杏子ちゃん、あそこにいる人、知ってる? ずっと杏子ちゃんのこと、キラキラした目で見てたわよ」

「え・・・あ・・・確か、あの人は」そう言いかけると栞代があとを引き継いだ。

「瑠月さん、あの子、ソフィアと言って、フィンランドからの留学生ですよ。すっごい美人でしょう。金髪碧眼、絵に描いたような美人ですよね」

「そうなのね。ずっと杏子ちゃんを熱い目で見てるわよ」

そこに、まゆもやってきた。

「わたしと同じ目をしてましたね。目の色は違うけど。もしかして、弓道始めたいのかな?」

今日は調子がいいのか、小さい声であったが、はっきりと発声していた。

「なるほど」

瑠月が頷き、

「ちょっと声をかけてくる」

と言って向かおうとすると、まゆが

「わたしも行きます」と行って、一緒に、道場を出て行った。


栞代が呟く。

「杏子、モテモテだな」

いつのまにか後に来ていたあかねが早速つっこむ

「道場ではね~」

「いや、その方がいいんだよ。でないと、恐怖のおじいちゃんが杏子にはセットでついてくるから」栞代は笑う。杏子も思わず、

「セットメニューじゃないんだから」と返した。

「わしの嫁さんじゃ~って、大騒ぎ間違いなしだ」あかねも釣られて笑った。


瑠月とまゆが、一緒にソフィアのところに行って、話かけてた。



しばらくして瑠月が一人で戻ってきて、そして、杏子、と栞代の方を向いて、にこっと笑顔を見せたかと思うと、今度はコーチのところに行き、コーチを連れて、もう一度ソフィアのところに行って話をしていた。


コーチを残し、瑠月とまゆが戻ってきて、栞代と杏子に

「杏子の美しさに魅了されたんだって」

と言い、そのまま部長の冴子のところへ行って話をしていた。


栞代が「ああ、やっばこれは入部することになるパターンだな」

と、杏子を見て、にやりと笑った。





放課後の練習が始まる前に、コーチがソフィアを連れてきた

そして、

「2年生は知ってる人も多いと思うが、ソフィアさんだ。今日から入部することになった」


それでは、挨拶を。と言ってソフィアを誘った。


女子も歓迎の声を挙げて拍手したが、男子はお祭騒ぎだった。無理もない。男子の間では、ソフィアが転入してから、すでに2年生を飛び越えて、学校のアイドルと化していたからだ。


ソフィアは、少し緊張した面持ちで部員たちの前に立った。長い金髪を一つに束ね、透き通るような青い瞳がまっすぐに部員たちを見つめている。


"Hauska tavata. Olen Sofia Alberttiina Virta."

そして

"Nice to meet you. I am Sofia Alberttiina Virta."

と続けた。

部員たちが、静かに次の言葉を待っていると、まゆがあかねに「はじめまして、ソフィア・アルベルティーナ・ヴィルタ ですって、言ってるのよ」と小さく告げた。

あかねは、「わ、わかってるわよっ」とほっとした顔で応えた。


そしてゆっくりと

「はじめまして。Sofia Alberttiina Virta です。えっと、日本語では、ソフィア・アルベルティーナ・ヴィルタ……です、ね?」


流暢ではあるが、どこかたどたどしい発音に、部員たちは驚いたり、ほっとしたりしていた。


ソフィアは小さく微笑み、少し考えながら続けた。


「ソフィアと呼んでください。フィンランドから来ました。日本の文化、大好きです。ずっと日本で、勉強したい……そう思っていました。特に、武道、とても興味があります。剣道、柔道、合気道……そして、弓道も」


彼女はふと杏子に視線を移し、少しだけ頬を染めた。


「弓道……興味を持ちました。ここにいる、杏子さんを見て……すごく美しかった。言葉では……うまく、言えません」


その言葉に、杏子は戸惑ったように少しうろたえた。。栞代がニヤリと笑い、「杏子、モテるねぇ」と小声で囁く。


ソフィアは、少し照れたように目を伏せた後、ふと決意を固めたように顔を上げた。


「それと……もうひとつ、正直に言います。日本のアニメ、大好き!」


弓道部の面々が「おおっ」とざわめく。ソフィアは嬉しそうに続けた。


「フィンランドでも、日本のアニメ、とても人気あります。わたしも、小さいころから見て……日本語、勉強するきっかけになりました」


冴子が腕を組んで頷く。

「なるほど、日本文化への興味がすごいんだな」


ソフィアは笑顔で何度も頷き、最後に深く一礼した。


「まだまだ……未熟。でも、これから、一生懸命……がんばります!よろしくお願いします!」


場の空気が和み、弓道場に温かい拍手が響いた。


男子が一定間隔で遠巻きにソフィアを取り囲み、だれが一番最初に話しかけるのか、牽制し合っているなか、紬がゆっくりとソフィアに近づいた。


「どのアニメが好きなの?」

ソフィアはすぐさま、

「フィンランドで一番人気のあるのは、"Hopeanuoli-Ginga: Nagareboshi Gin"です」

「銀牙 -流れ星 銀-、ね。日本でも根強い人気があるわ。ほかは?」

「ええと、"Dragon Ball" "Naapurini Totoro""Henkien kätkemä""Henkien kätkemäLiikkuva linna""Kikin lähettipalvelu""Prinsessa Mononoke""Pokémon""One Piece""Naruto""Attack on Titan""DeathNote""Detective Conan""Neon Genesis Evangelion""Bleach"ええと、ほかにも」


遠巻きに見ていた男子が呆然とする中、紬は、

「こりゃ本物だわ」

と呟いた。


紬は思わずソフィアの手を取り

「あなたをずっと待ってたわ。全部、DVD持ってるっ」

「Ihan uskomattoman mahtavaa!」

「え?」

「あっ、え~と、すごい、素晴らしいっ」

「わたし、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが大好きですっ。」

いつのまにか来てた楓が嬉しそうな顔で叫んだ。

そして、それを聞いたソフィアも、

「"Violet Evergarden!"Mäkin tykkään siitä!」

と叫ぶ。

「これは分かったわ。わたしも大好き、ね。

こりゃ、まさにわたしの課題だわ。」

三人で手を取り合って飛び跳ねた。

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