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7 かつての恋人も

 かつての友を倒した。

 親友といえる者達であってもだ。

 気分は爽快。

 とても晴れやかになった。



 ならば、ともう一つの懸念事項を潰しにいく。

 こちらはもっと差し迫った問題でもある。

 生かしておくととてつもない危険になる。

 そうなる前に、今の段階で処分しておく事にした。



 それが出来なかった、躊躇っていた理由は一つ。

 それがアユムにとって大事な存在だったからだ。

 苦楽をともにした恋人。

 一度は愛した女だったから。



 甘く切ない恋心……とは言えないだろう。

 日常の中で育める穏やかな関係ではなかったのだから。

 苦楽をともにしていく中で芽生えた感情だ。

 恋や愛という言葉だけでは説明がつかない。

 その程度の気持ちではおさまらない。

 そんな間柄だった。



 だからこそ、殺すのを躊躇ってしまった。

 どうしようかと悩んだ。

 だが、今なら迷いはない。

「殺すか」

 淡々と決断する事が出来る。



 かつての仲間と同じだ。

 たとえ、どんなに心を通い合わせたとしても。

 見た目も中身も好みの女だったとしても。

 結局は敵なのだ。

 処分を躊躇う必用は無い。



 むしろ、なんで躊躇ってしまったのかが問題だ。

 どうして気が乗らなかったのか?

 一度決断出来てしまうと不思議に思えて仕方がない。



 なので、かつては愛した女。

 そいつも処分していく。

 居場所も分かってる。

 相手はこれから出会う幼なじみ。

 アユムのアパートの近くに住んでいた。

 毒親に育てられてる悲惨な境遇にある。

 そんな彼女を助けて、関係が始まる。



「まだ二歳か」

 順調に生まれて育ってるなら、まだその程度のはずだ。

 今ならまだ大した事は出来ないはず。

 なので、さっさと処分していく事にする。



 そいつの家の前まで歩いていき、超能力を使う。

 女が家にいるかどうかを探るために。

 ありがたい事に家の中にいた。

 母親から虐待を受けてるところだった。

 丁度良いので、二人まとめて処分していく。



 なにせ、未来の恋人は敵になるし。

 その親は怪物に化けるのだ。

 どちらも放置できない。

 霊魂ごと消滅させていく。



「さよなら」

 別れの言葉をかける。

 かつて愛した女に。

 共に生きてきた女に。

 最後は裏切った売女に。



 霊魂ごと消滅し、肉体も朽ち果てていく。

 家の中に入りこみ、そうなっていくのを確かめる。

 それを見ても心が動く事はなかった。

 少しばかりは寂寥感はあったが。

 だが、残念無念と思うよりも、安心感の方が大きかった。

 これでこいつに惑わされずに済むと。



「鬱陶しい……」

 死んで朽ち果て塵になった死体。

 それを見下ろして、ただそう呟いた。

 こいつもまた、元親友達と同じように呪縛だったと感じとった。

 こいつがいなければ、もっと手早く問題を処理できただろうと。



 つまりは、ただただ邪魔でしかなかった。

 それだけの存在でしかなかった。

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