4 人が怪物になった化け物
バケモノの出現。
未来において起こる事だ。
このせいで、アユムは無駄に大変な思いをする事になる。
その数は多く、撃退するだけで多大な時間を使う事になった。
そのバケモノが周りに数多く存在する。
正確に言うならば、バケモノになる者達がだ。
バケモノは化け物。
人が化けた怪物だ。
それになりうる者が周囲に大量に溢れてる。
まずはこれらを処分していかねばならない。
どんな奴が化け物になるのかはすぐに分かる。
横暴な奴、我が儘な奴。
独裁的な奴、秩序だった奴。
こういうのが化け物になる。
何より、体から溢れる気力で分かる。
気力にはそいつの性質が表れる。
化け物になる奴は、それにふさわしい禍々しさを滲ませる。
未来からの記憶、前世ともいえる時に見た化け物はそうだった。
ならば、そんな連中を倒していけばいい。
早速、そういった連中を見つける。
というか、周辺全部がそんな連中だ。
柄の悪い地域なので当然なのかもしれない。
悪口を言う、暴言を吐く、暴力を振るう。
そんな人間が揃ってる。
化け物になってもおかしくない奴ばかりだ。
たとえ化け物にならなくてもだ。
その性根は化け物と変わらない。
なら、さっさと処分した方が良い。
ほうっておいたら誰かに危害を加える。
そうなる前に処分しておきたい。
だから、躊躇わずに力を振るっていく。
「まずは────」
自分の住んでるアパート。
その住人から処分していく。
禍々しい気力を放ってる住人を。
別に直接目にする必要は無い。
今のアユムなら離れていても攻撃が出来る。
目に見えてなくてもだ。
透視で壁をの向こう側が見える。
遠視で離れていても姿をとらえられる。
たとえそうでなくても、気力そのものを察知出来る。
それがどんな性質なのかも。
とはいえ、どこまでも見通せるわけではない。
どこにいても探りを入れられるわけではない。
未来においては、かなりの遠くまで見る事も出来たが。
今のアユムには自分の周辺数百メートル程度が限界だ。
「力も取り戻さないと駄目か」
未来の記憶があって、力の使い方は分かる。
だが、成長しない事には能力は上がらない。
今の段階での限界がどうしても立ち塞がる。
「しょうがない……」
ここは諦めるしかない、受け入れるしかなかった。
それでも。
出来る事はある。
今の段階でもそれなりの事は出来る。
ならば、それなりの事をしていくだけだ。
それに、力は使っていけば成長していく。
目の前にいる化け物候補を倒すことで、いずれ未来の自分に近づける。
そう思ってやっておかねばならない事をこなしていく。
気力を働かせていく。
アパート内の怪物候補をとらえていく。
相手の生命そのものを潰しにかかる。
霊魂をズタズタにしていく。
アパート内にいた奴等は次々に苦しみ悶えていく。
なにせ体の更に奥にある生命そのものを攻撃されてるのだ。
苦痛は肉体の痛み以上になる。
たとえるなら、痛みを感じる神経を直接ヤスリがけされてるような。
これまで感じた事のない苦痛に襲われる。
そうして霊魂そのものを引き裂かれ。
アパートの中にいた住人は死んでいった。
肉体への外傷は一切無く。
ただ、霊魂だけが消滅した状態になって。
今の時代では原因不明の死に方だ。
もちろん霊魂そのものを引き裂いたのだ。
輪廻転生する事も出来ない。
再び人生をやりなおす事もない。
完全なる消滅をもって、化け物候補どもの存在は消え去った。
「ざまあみろ」
手向けの言葉としてそれだけ呟く。
何らかの害を為してきた連中だ。
今は何もしなくても、これまでの人生で何かしらやらかしていただろう。
何もしてなくても、これから何かしでかすかもしれない。
そんな連中に憐憫など何も抱かない。
ゴミが片付いてすがすがしいという気持ちにしかならない。
なにせ、未来においてこういう奴等が生き残った人間に危害を加えていった。
化け物になってない者に襲いかかっていた。
化け物同士で殺し合いをしてる事もあったが。
それよりも、何の能力もない人間に襲いかかる事の方が多かった。
つまり、人間だった頃と行動が何も変わらない。
化け物になってそれがよりあからさまになった。
だから先んじて倒しておく。
手に負えなくなる前に。
簡単に処分できるうちに。
化け物になったら処分に手間取るようになる。
そんな化け物の一部を処分した。
これで将来の不安がごくごく僅かだが消えた。
あとはこれを繰り返していくだけになる。
手間はかかるが単純で単調なものだ。
悩んだり迷ったりしなくてよい。
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