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1 全てを終わらせた瞬間

「終わったなあ」

 郷森さともりアユムは一人呟いた。

 今、魔王を己の手で倒し、全てを終わらせた。

 ここに来るまで長い年月を費やした。

 多くの犠牲と大きな損害を出した。

 それでも魔王を倒すという悲願を果たした。



 しかし。

 これで良いのかと問われればそうではない。

 覚悟していたとはいえ損害は大きい。

 失いたくないものも消滅してしまった。

 勝利を手に入れるために支払った代償はあまりにも大きい。



 やむをえないとは思う。

 地球どころか宇宙を脅かす存在去った。

 放置するわけにはいかない。

 今後も宇宙を存続させ、生命を守るためならば。

 犠牲はある程度は仕方ない。

 無傷で、無料で事を成し遂げる事は出来ない。

 それは分かってる。



 とはいえだ。

 だからといって、犠牲が大きくても良いとは思わない。

 無くしたものの大きさと多さは我慢できるものではない。

 納得出来るかというとそんな事はなかった。



 だが、それでもアユムは魔王を倒すことに全てを注いだ。

 犠牲が出るのを覚悟の上で。

 失いたくないものすら手放して。

 全ては最後までやり遂げるために。

 そこまでやったという実績を作りたかった。

 そこまでやったという情報を手に入れたかった。



 全てはこれからの為だ。

 終わった事でようやく出来る事もある。

 今がまさにその時だ。

「長かったな……」

 待ちに待った瞬間である。

 この時のためにアユムは全てを捨てて励んできた。



「頼むぞ」

 そうして意識を集中していく。

 気力や霊力と呼ばれる力。

 それを働かせていく。

 自分の培ったものを伝えるために。



 テレパシー、あるいは念話。

 離れた所にいる者の心に直接思いを伝える超能力。

 長い年月の中で身につけたものだ。

 これを使って遠く離れた者へと伝えていく。

 自分の体験した全てを。

「上手くやれよ」

 最後にそう思って送信を終えた。



「……なるほど」

 受け取った者は一人の人生の記憶を全て受け取った。

 決して軽くはない、アユムの人生そのものを。

 怪物に遭遇し、戦い、生き残り続けて。

 様々な超能力を身につけ、様々な別れを遂げて。

 そして最後に魔王を倒すに至った経緯。

 それを自分の事のように体験していった。



 これらがどうして自分に向けて送られたのか。

 それもしっかりと理解していく。

「やるしかないか」

 面倒だとは思う。

 だが、やらないわけにはいかない。

 他でもない自分から送られたものなのだから。



 郷森アユム、6歳。

 未来の自分から記憶を受け継いだ子供。

 そんな彼は、これから起こる出来事を知って動きだす。

 よりよい未来を手に入れるために。

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