第1話:異世界ショッピングモール
子供の頃、月に一度、親にショッピングモールへ連れて行ってもらう、これが子供の頃の一番の楽しみでした。そんなワクワクを再び楽しんでもらいたく書きました。これから週数回の頻度で投稿していきます。
2017年 4月29日 22:00。
本日も大型ショッピングモール『カモンモール』には閉店の音楽が鳴り響ていた。
大型ショッピングモール『カモンモール』は全国に店舗を構える最大手ショッピングモールであり、俺が勤めているこの店舗も何の変哲もないショッピングモールの一つだ。
位置的には、周りに田んぼが広がる田舎に構えているショッピングモールだが、これもショッピングモールにはよくある光景だろう。
大型ショッピングモールと言うだけあり、とても広大な敷地面積を誇っており、フロアは3階まであり、建物の端から端まで歩くだけで一苦労である。
施設は充実しており、フードコート、食品売り場、洋服店、映画館、本屋、ゲームセンターなどここに来れば何でも手に入るレベルの充実ぶりである。
俺、『小鳥遊英一』(たかなしえいいち)はこのカモンモールの正社員として1年ほど働いている。
仕事内容は主に、この店舗内のイベント企画や事務・管理などを行なっている。
最初は、慣れないこともあり当然辞めたいと思うこともあったが、日が経つにつれこの仕事が好きになっていた。
明日は月末。だが、このショッピングモールは休業である。俺が勤めているこの店舗では、毎月月末は休業日となっている。ショッピングモールが休業日を設けているなんて世間からすればかなり珍しいことだ。
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翌朝、俺はカモンモールへと向かった。
なぜ休業日なのに出勤しているんだ?と思われるかもしれないが、実は今日がこのショッピングモールにとって、そして俺にとっても一番大変な日なのである。
このショッピングモールは午前9時に開店となり、開店時は営業部門だけでなく俺みたいな主に裏方の仕事を行なっている者も「いらっしゃいませ」の言葉とともに、お客様をお出迎えする。
9時の開店の音楽とともに、ショッピングモールの大きな自動ドアが開いた。
すると、外からの光が店内に差し込んだ。
同時に、休業日だったはずのショッピングモールに多くのお客様が来店してくる。
だが本日のお客様は普段とは一味違う。勇者のような格好をした人や、ゴブリン、オーク、エルフなど様々なお客様が来店している。
「コスプレ大会でもやっているのか?」俺も最初の頃は信じられずそう思っていた。
だがこれは現実であり、コスプレ大会でもないないのである。
俺が勤めている、この大型ショッピングモール『カモンモール』は毎月月末、月に一度だけ異世界と繋がるのだ。
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