表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キャンディボーグ ボクと美少女機械生命体  作者: 田山人由自
第1章 ヤバイ2度目の14歳
1/7

1 光の少年


裸の少年が同性愛の男性とやり取りする場面があります。


 

 少年は光に包まれていた。

 光が消えると裸であることに気づく。

 まだツルツルの下半身も丸出しで、街灯がそばで照らす夜の外に立っていた。

 幸い温度の高い季節のようで、外で全裸という事実を除けば寧ろ過ごしやすく感じる。

 裸足に慣れない足の裏がザラザラして、足の指を動かさずにはいられない。

 初めて体験する開放感だった。男なので誰かに見られても気にはしないと思ったが、警察のことが頭をよぎった。


(子供でも逮捕されるのかな?――子供?)


 開いた両手を見つめて、改めてそのサイズが小さいことを確認する。


(こんなに小さかったかな?ボクの手)


 両手を見ているうちに頭が痛くなってくると、自分の名前が思い出せないし、ここは何処なのか、何故全裸で立っているのか何も分からないことに恐怖を覚えた。

 何歳なのかも不明だが少年のままこの世に誕生したような気分だった。

 大きな乳児という錯覚もあって、少年はしっかり立っているが自分が歩けるのか不安になった。

 それは突然だった。何者かに左の手首を握られて強く引っ張られたのだ。

 少年は手を引かれるままにペタペタとぎこちなく足を動かした。


(歩ける。――ボクを見つけてくれたのか?それにしては、握る力が強い!)


 荒い息遣いの人物が歩くのをやめたが少年の手首を離さない。


「あなたは、ボクの知り合いですか?」


「……君、頭の調子が悪いのかい?売りにしては、大胆だなとは思ったけど」


 その声は大人の男で、顔は街灯から離れてしまい闇で見えなかった。


(うり?)


 無防備な少年には意味が分からなかった。


「まあいい。かわいいな、君は――何処の施設から逃げて来たのか分からないが、そんな格好でここに来たってことは、前にここで遊んだ経験があるのかもしれないね」


「遊んだ経験?――ここはどういうところなんですか?」


 少年は暗がりに目が慣れてきて、辺りにいる抱き合う人たちが浮び上がってくる。それらの人たちは男同士で抱擁し濃厚なキスを交わしていた。


(ここにいるボクは、どう見えてる?)


 益々息が荒くなる男は、強引に裸体の少年に背を向けさせてしゃがむと、両手で尻の肉をガッシリ鷲掴んで左右にグイッと開き、影の裂け目にあるアヌスを想像してゴクリと唾を飲んだ。


「痛い!やめろ!」


 光に包まれた影響なのか、少年の筋肉は自由にならず、四肢を動かすと関節が軋む。

 男は荒い鼻息で、口の隙間から少年の開いた臀裂めがけて爬虫類のような唾液まみれの舌を伸ばす。


「不浄の生物!アタシのダーリンを離しな!」


 色気が香る若年の美しい女の声だった。

 少年をダーリンと呼ぶ女のシルエットが現れると、髪型はツインテールの縦ロール、フリルやリボンで装飾された洋服と膨らませたスカートを身に着け、履いているブーツをコツコツと鳴らして近づいてくる。彼女は10代後半に見える、黒いゴシック・アンド・ロリータの美少女だった。


「恋人の登場?――すまない。変態カップルの邪魔した訳か。場所が悪いよ、場所が――よそでやってくれよ。それとも、私みたいな人間をからかったのかい?」


 白けて呼吸が整った男は、少年の尻から手を離し自由にしてやると立ち上がった。


(ボクの恋人?――知り合いではあるみたいだ)


 少年は尻の肉に痛みを残し、近づいて来る黒いゴスロリ美少女に顔を向けていた。

 黒い美少女は真紅の唇で笑い、髪は艶のある赤で、瞳も妖しい赤色だった。


「恋人?――おいしそうな言葉の響きだね」


 男はその場から立ち去ろうと黒い赤毛の美少女に背を向けた。


「何処に行くのよ?不浄の生物は大好物なのにさあ」


 男は妙に思って振り向くと、黒い赤毛の美少女の顔が縦にパックリと真っ二つに割れて、顔面が牙のある女性器を思わせる状態になり、血の代わりに透明の体液を垂らしながら、赤いツインテールの縦ロールを触手のように伸ばした。


「うわっ!!」


 声を上げたのは男ではなく少年だった。


「ダメよ!怪獣さん!」


 小さな女の子が飛んで来て、ゴスロリ魔獣美少女の赤いツインテールを腕でバシーン!と弾き返した。


「オジサマ、大丈夫ですか?」


 10歳くらいの長い白銀髪の美少女が着地すると、緑色の瞳で赤いランドセルを背負い、黒いジャケットに白いリボン、白いミニスカートを着用し、長い脚にはニーハイホワイトと厚底ローファーを履いていた。


「お前なんか知らないよ!」


 男はそう言って、全速力で走って行く。

 周りの男性カップルも逃げる。


「スーも、オジサンのことなんか知りません!」


 白銀髪の美少女は自分をスーと呼び、少年の方に美しい緑眼を向けた。


「オジサマ、見つけるの遅れてごめんなさい!」


「ボクの知り合い!?――ボクの顔、そんなに老けてる!?」


 少年は鏡がないので自分の顔が分からず、本当は小さい中年なのか、それとも老け顔に付けられた渾名なのか戸惑った。


「お前も、ロボリータのキャンディボーグなのか?」


 半分に裂けたゴスロリ魔獣美少女の顔がピタッ!と元に戻る。


「初めまして、グロリポップノイドのおねえさん」


 幼いスーは、守るために裸の少年の前に立った。





読んで下さって、ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ