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最終決戦?開始!

「ハッハッハ―――ッ!マジ久しぶりだな、坊や!!!」

「お久しぶりです!でも、どうして?引退したって……」

「あー、それな。撮影中に怪我して入院しちまったのがいてな!3か月だけの代役だぜ」


まだ驚いてる弾太郎をブシドーは軽々と抱き上げ、赤ん坊のように『高い高い』した。

動きにくく重いスーツを着てるのに、弾太郎を持ち上げて、このパワーこの軽快な動き。

これぞ本当の赤子扱いというやつか。


「ちょちょちょっと!ぼぼぼぼぼ僕は子供じゃありませんよ!」

「おー?そういえば随分とまた大きくなったなー、坊主?」


全然降ろしてくれない。

どうやら弾太郎と仮面ファイター・ブシドーは面識があるらしい。

とりあえずルキィが尋ねてみた。


「あの、ええと……ブシドーさん?とお知り合いなんですか?」

「うん、この人は昔、島に仮面ファイターの撮影に来た、有名なスーツアクターの……」


言葉を発しかけた弾太郎の唇を、ブシドーの人差し指がそっと押さえる。

戸惑う弾太郎の頬をヒーローの手が優しく撫でる。


「そこまでだ。俺の名は仮面ファイター・ブシドー。ヒーローに『中の人』なんていないんだぜ」

「は、はい……ブシドー……さん」


最先端を突き抜けたヒーローが古風な装いのメイドさんの頬に手を添える。

触れた頬が紅潮(あか)らむ様は、まるで映画、いや童話の一場面のようだ。

…………中身は中年オヤジと男の娘だけど。

なんだか声をかけづらい状況だったが、意を決して行動した者がいた。

もう一人のヒーロー、仮面ファイター・キシドーだ。


「師匠、このメイドさん……『弾太郎』って呼んでましたけど」

「ん?ああ、於茂鹿毛島の神主さんの息子でな、真榊 弾太郎君だ」

「冗談っスよね?こんな可愛い娘が『男の子』なんてこと……」


ブシドーは無言で頭をポリポリ掻きながらキシドーの頭をつかんで引き寄せる。

そして弾太郎の顔の間近に引き寄せ、強引に目と目を合わせる。


「イテテ!何すんでスか、師匠!」

「いいから!ホレ、よく見てみろ」


弾太郎はちょっとドギマギしながらキシドーの目?というか大きな複眼を見つめた。


「ンなこといってもねェ……あ、あれ?えーっ!!!」

「どーだ?よーやくわかったか、半人前」

「ホントに男の子だ!すいません失礼なこといっちゃって……でも、驚いたなーっ?」

「あ、いえ、別に……僕……全然、気にしてませんから」


思いっきり気にしてた。

一応は男性と認められたものの、弾太郎は複雑な心境だったことだろう。

ついでに『男』ではなく『男の子』どまりなのも残念だったらしい。

もっとも弾太郎以外が気にしていたのは……

とりあえずジンが代表してその疑問を口にした。


「あの、どうしてわかるんですカ?どう見ても、その……弾太郎は」


はっきりいって弾太郎の外見には男性要素は微塵もない。

しかしヒーロー組の回答は、ヒーローではない常人には理解できないものだった。


「どうしてって、わかるでしょ?ねえ、師匠」

「ああ、目を見りゃわかるよなぁ」


ジンとルキィとルパルス……だけでなく、近くにいた撮影スタッフまで首を傾げている。

逆にブシドーとキシドーの方も理解してもらえないことに当惑している。


「えー?どーしてわかないんスかねー?」

「やっぱ、スーツ着ない人にはわかりづらいかなぁ?」

「違いますよねー?男の子と女の子じゃ質?っていうのが」

「なんつーか柔らかなのと硬いのっていうのか、とにかく違うよなぁ」


ますますわからなくなった。

全員が悩んでいる中で、話題の中心の弾太郎がようやく大事な用を思い出した。


「そ、それどころじゃないよ!皆さん、今すぐ避難してください!」

「……オイオイ、弾太郎君。避難たぁ穏やかじゃないな」

「もうすぐここで戦闘が始まります!巻き込まれたら皆さんの命が危ないんです!」


★☆★☆★☆★☆★

揺れるマイクロバスの座席で男はため息をついた。

一緒に乗っているのは18名、衝撃組じゃなくて有限会社 衝撃清掃の全社員だ。

全員が覆面に黒装束、骸骨をイメージしたデザインは悪の組織のこだわりだろうか。

それにしても、なんとも気乗りしない仕事だった。

覆面のせいで表情はわからないのだが、誰もが同じ気持ちらしい。

憂鬱な気持ちで、男は窓の外を見た。

先ほどまでの郊外の住宅地を抜けて、マイクロバスは今は荒涼とした山道を走っていた。


(現地でたむろしている連中を皆殺し、か。子供までいるっていうじゃねーか……)


雇い主が誰で、殺す相手がどういう奴らなのかも聞いていない。

場所を教えられ、前金の振り込み確認してから、武器を渡されただけだ。

かぶった覆面の下の顔が痒いのだが『仕事が終わるまでは脱ぐな』といわれた。

着くまではやることもなく暇なので、隣の席に話しかけた。


「なあ、親父……」

ドガッ。

「社長と呼べ。で、なんだ?副社長」

「痛ッゥ……この仕事、なんかヤバくねぇか」

「アホ、もともとはヤバいのが我が社本来の仕事だろうが」


言い切る割には言いよどむ声だ。

報酬につられて依頼を受けたものの、後味の悪い仕事になること請け合いだ。


「でもよォ『女子供まで殺せ』ってのは、俺でもちょっとヒくぜ」

「ま、まあ俺もやりすぎたぁ思うが……向こうにも狙われるだけの理由があるんだろう。それに」


そういう社長の手には自動照準の粒子ブラスター。

男、副社長の手にもマイクロミサイル自動小銃。

組員、いや社員もそれぞれに最新型の対人兵器が与えられている。

チンケな反社会的組織が入手できる代物ではない。

すべて依頼人の『好意』だ。


「ここまでされちゃあ、後戻りできねェよ」

「おまけに、外宇宙の組織とコネができる……吹けば飛ぶようなウチの組にゃ夢みてぇだよな」

「バカヤロ……『組』じゃなくて、『会社』……だろが」


叱責、のつもりだったようだが、声は途中で力なく消えた。

そのまま次の言葉が見つからなくて、黙っているうちに運転席から声がした。


「着きましたぜ、組長」

ゴキッ!

「社長だ、馬鹿野郎!」


★☆★☆★☆★☆★


「撮影中止だって?ンなわけにいくか!スケジュールがギリギリなんだよ」


いきなり怒り出したのはメガホンを振り回す撮影監督だ。

ちなみにメガホンには『気合!』とマジックで大書きされている。


「だいたいアンタら何者だよ。いきなり見学に来ていきなり撮影やめて逃げろだぁ?」

「申し遅れました!」

「私たちは!」

「こういう者でス!」


弾太郎が、ルキィが、ジンが高く掲げた手に燦然と輝くのは防衛警察の証!

銀の流星を意匠とする防衛警官の身分証(巡査)だ。

監督以下が硬直している中でブシドーとキシドーだけが間近に顔を寄せてしげしげと眺める。


「えっと……これが防衛警官の身分証?スゲエ、俺、本物は初めて見たっスよ」

「え、マジなの?弾太郎君、マジで防衛警官になったの?」


ヒーロー二人は驚いているが、他は半信半疑の状態。

それは当然だろう。

撮影監督が引きつった笑いでつぶやく。


「いや、そこのヒョロイあんちゃんはまだしも、メイド(男の娘)にゴズラ着ぐるみ娘が警官なんて……冗談だろ?」

「すいません…………ホントです」


弾太郎が申し訳なさそうに謝るあたり、まだ常識が残っているらしい。

確かにこんな、奇抜な集団が『警察官です』と名乗っても普通は信用してもらえまい。


「と、とにかくだ、撮影を中止するわけにはいかん!」

「しかしこのままでは皆さんの命があぶないいです1」

「それに見ろ、戦闘員役の連中も到着した。ととと、とにかくだ、撮影開始なの!」


撮影監督が指さす方向から走ってくるマイクロバス。

乗っているエキストラはもう着替え済みのようで全員が骸骨デザインの黒装束に身を包んでいる。


「ん、師匠?おかしくないっスか、あいつら」

「間違えてんのかな?ありゃあ初代仮面ファイターの時の戦闘員服だぞ」


マイクロバスは撮影隊からはかなり離れた位置で停車した。

ドアが開き、戦闘員たちが次々と降りてこちらに向かって駆けてくる。

いや、正確にはこちらに、ではない。

こちらを取り囲むように散開してくる。


「ジン、あいつらの持ってる武器……」

「そうだナ。地球製の武器じゃあないネ」

「つまり、あいつらが」

「暗殺部隊、ということだナ」

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