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泳げ!竜神様

海面から高くつき出した竜神様の顔を、ルキィは見上げ、もとい!見おろした。

竜神様の意外な姿に弾太郎も驚愕した。


「あれが竜神様?な、なんか、ち、ちっちゃいぞ?」

「キャー、かわいー!!」


戸惑いの声と感激の声を二人は上げた。

身の丈80メートルを超す巨大怪獣ルキィでもこの沖合では海底に足がとどかない。

だから立ち泳ぎしているので水面に出ているの肩のあたりからせいぜい30メートル程度。

対する竜神様は同じく水面からでも10メートルあるかどうか、おそらく体長も30メートルがせいぜいか。

精一杯、背中を反らして威厳を出そうとしているさまが、むしろ子供っぽくて子犬のように愛らしい。


「キ、貴様ら!神様に向かって『ちっちゃい』だの『かわいー』だの、失礼であろうがッ」

「あ?すいませ……」

「でも、ホント、かわいーです!!」


「ちょっとちょっと、ルキィさん?」


バシャバシャと海水をかきわけてルキィは近づいていく。

超パワフルな圧力に龍神様もたじろぎ、下がりながらも威嚇する。


「え、ええぃ、無礼者め、神の怒りを見よ!ゴッド・サンダー・ブレイク!」

「危ない、ルキィさん!」

ドッドォーン!


角から発した稲妻がルキィを直撃した。

世界が一瞬、青白い単色に染まった。

落雷は大都市の使用電力にも匹敵するという。

その直撃を受けたルキィはタフネスを誇る大怪獣といえど……


「あー、ビックリしたぁ」


なんか無傷っぽい。


「必殺技あるなんて。タタタ姫ちゃん、すっごーい!」

「名前くらい覚えて!って何で全力の雷撃が効果なしッ?」


ルキィの体表を覆う装甲外格皮膚は地底の高温高圧に耐えるが、絶縁性能も大したものらしい。

おまけに海の中では電流は海水に逃がされ威力も半減する。

そのまま、ガンガン接近してくるルキィに龍神様はビビった。


「あわわわ、くくく来るな!私に近寄るなぁ?」

「大丈夫、大丈夫、ちょっとだけ……」


ちょっとだけ、竜神様に何をする気なのか、ルキィ!

しかし何かする前に、ルキィの硬い皮膚が海面の八卦文様に触れた。


ぱんっ!ぷしゅぅぅぅ。

「あ、あああああ?」


小さな破裂音と何かから空気が抜けるような音、それと。


「ギャァァァッ!沈むぅ?溺れるぅ?」


龍神様の悲鳴、縮んでぺしゃんこになった八卦文様の中心で龍神様がもがいていた。

はっきり言えば溺れていた。

目を点にしていた弾太郎は、ぼそっとつぶやいた。


「あれってオーラとか魔法陣とかじゃなくて、浮き輪だったの?」

「見てないで、助けて!助けてよ、弾太郎ちゃん!あわあわあわわわっ?」


短い手足をバタつかせ波に翻弄される竜神様。

やがて竜神様は力尽きてブクブクと海の底へ沈んでいく。


「……ダメ、溺れりゅ、ダメ、沈みゅ、もうダメ、死にゅぅぅぅ…………」

「か、考えてる場合じゃない!ルキィさん、救助、救助!」

「はい、要救助者、確認!」

ザブンと海中へ潜るルキィ、海面下を赤い大きな影が沈みゆく小さな緑の影へと向かっていく。

数秒後、ザッパーンと水柱を上げてルキィ浮上!

そして溺れた龍神様は大怪獣ルキィに抱かれてようやく安全を確保したのだった。


「ほーら、もうダイジョブ、だいじょーぶだからね」

「エグッ、ウェェェ。怖かったよう、弾太郎ちゃぁん……」


神様を救助してホッと胸をなでおろす弾太郎だったが、納得がいかない。


「竜神様って水の神様だよね?泳げないってありえるのか?」

「ビェェェーン、それぐらい見たらわかるでしょー?弾太郎ちゃん!」


「見たらわかるって、何が?」

「グス、グシュ、私たちお魚さんと違って肺呼吸なんだよ、エラとかないんだよ!」


「ああ、そういえば」

「水に入ったら息継ぎできないんだよ?息できないと死んじゃうんだよ!グスン、グシュッ」


何とも言えない感覚に頭が痛くなってきた。

ついこの間まで怪獣と戦うために訓練に明け暮れていた(成果はさっぱりだったが)

死ぬ思いで卒業できたと思ったら怪獣娘とコンビ組むことになってしまった。


「そして出会った怪獣は、酔っ払いと違法ペットショップのオーナー、自称海賊王の蛇……」


そして今、目の前には泳げない水神こと竜神様。

どこかで間違ったルートを選んでしまった、そんな気がした。


「ダンタロさん、とにかく一度帰還しましょう」

「そうだね。竜神様を落ち着く場所へ連れていかなきゃ」


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