表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/181

神様降臨!信仰が試される時

「なんですかね、あの雲?」

「うーん?雨が降るような気象条件じゃないけどな」


雨雲だけでなく、その下の海面も波が荒れている。

ゆっくりと近づいてきた雨雲はルキィたちの真上までやってきた。


ザァッ……ァァァ。ビュゥッ。


降り出した雨は激しくなり、強い風も吹いてきた。


「海の天気は変わりやすい、っていうことでしょうか?」

「いや、変だよ。直径600メートルの円内だけ雨が降っている」


「どーゆーことですか?」

「この雨は自然現象じゃない。誰かが天気を操っているんだ」


ピカッ!ゴロロロロ。


雲間に雷が鳴っている。

嵐となった海に、低く不気味な声が響いた。


-我が神域を荒らす不届き者は誰ぞ?-


「この声は……女?女の人の声だ」

「あなたは誰なんですか?」


-我こそは、この海を束ねる神-


「ダンタロさん、この辺には神様なんていたんですか?」

「いたんですか、って。うちの神社で祀ってるでしょ」


弾太郎の実家は島の神社、それも古代の歴史書に載っているくらい由緒正しい神社である。

もっとも発祥がムー大陸時代まで遡るというあたりがかなり胡散臭い。


「神社……?ああ、確か『雨降りみんなタタタ姫』とか」

天の美那多津田姫(あめのみなたつたひめ)じゃ、バカ者!-


「あー、それそれ!長い名前なんでなかなか覚えらんなくて」

-ったく!祀ってる神様の名前ぐらいちゃんと覚えてよ、まったく-


「すいません、ルキィさんはまだこっち来てから日が浅くて」

-もう、弾太郎ちゃんがしっかりしなきゃだめでしょ?-


「あははは、ごめんなさ……何で僕の名前知ってるの、神様?」

-えっ?あっ!そ、それは……そりゃワタシ祭神なんだし。氏子の名前くらい-


あからさまに動揺している。

その態度に弾太郎は何か引っかかるものを感じた。


(本当に神様なのか?それに今の声、なんだか子供みたいな感じが)


「ところで先ほど『神域を荒らす不届き者』と仰っておられましたが」

-それはお前たちではないようじゃな。船を襲っては荷を奪う不届き者が棲みついたらしい-


「あ、それ!ゴゾとかいいう蛇怪獣さん!捕まえようとしたんだけど」

-左様、そこでじゃ。我に代わって、この不届き者を懲らしめよ-


厳かに命じる神の声、しかし返事はない。

というか、弾太郎もルキィもなんか不信の目で黒雲を見上げているだけだ。

神様の声に動揺が生じた。


-な、なぜ、我が命に応じぬ?神の直々の命じゃぞ?-

「そんなこといったって、私は他星出身でここの氏子じゃないし」

「僕も、声だけじゃ本当に美那多津田姫(みなたつたひめ)かどうかわからないし」


思わぬ命令拒否に神様は焦ったらしい。


-に、偽物だっていうの?わ、わたしは、いえ、我は本物の-

「えーと、じゃあ……せめて、お顔を見せてください!」


太陽系外から来た怪獣娘には現地の土地神に対する遠慮はない。


-姿を見せる、わたしの?そ、そそそそんなことしたら、えっと、そう、祟りが!-

「僕の父は『ウチの神様はバチあてるのも面倒くさがる怠け者だ』って怒ってました」


自分を祀る神社の神主とその息子からの信仰心も薄いらしい。


ゴ、ゴゥッ!ビョォォォッ!ドドドドドッ!ガッガーン!


無礼な振る舞いが神を怒らせたのか?

黒雲が厚みを増し、雨はより激しく、風が渦巻き、高波が荒れ狂い、稲妻が閃いた。

弾太郎とルキィが黙って黒雲を見上げること10秒。

強風は止んで波は鎮まり雨は小雨に、稲妻も遠くなった。


-ハァーッ、ハァーッ、ゼーッ、ゼーッ。我が怒り、お、恐れ入ったか-

「そんなことより早くお顔、見せてくださいよー」


ルキィは何かされた、とさえ感じていないらしい。

当然、ルキィのような大怪獣には大嵐もそよ風と変わらない。

弾太郎も乗っているのはポンコツ宇宙船とはいえ、この程度の雨風なら影響を受けることはない。

神様渾身のデモンストレーションは疲労感だけ残して、不発&空振り&無駄撃ちに終わった。


-うぅぅぅ、どうしても姿を見せなきゃ、ダメ?-

「あ、いや、そんなことはありません!無理はなさらずとも、一応は神様らしいし」


-キィーッ、そこまでいうなら!我が姿、見せてくれよう!恐れおののくがよい-


弾太郎としては気をつかったつもりなのだが「一応は神様」というのが気に障ったらしい。

黒雲の中に巨大な緑色の八角形模様が現れた。


「わー!すっごく、きれい!えっと何かの紋章?」

「うーん、中国系の神様なのかな?」


八卦と呼ばれる、中国古来の占いではおなじみの文様だ。

それが黒雲を離れスゥ―ッと海面まで降りてきた。

文様が海面に触れると波は凪のように穏やかになり、上空の黒雲も霧散した。

そして文様の中心からゆっくりと姿をあらわし、鎌首をもたげる神の姿は?

異形の神の出現にルキィは目を見開き、弾太郎は息を呑む。


「これが……」

「竜神様……だよ、ルキィさん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ