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森林開拓日誌  作者: tanuki
猫目石
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七日目・完成、ユナハウス⑥

 「あれ?ひょっとして気づいてなかったんですか?」

 リリティアさんは表情を変えたまま、返答はおろか身動きすらしなかった。

 「・・・た、確かにそうだったかもしれないな。だが、欲しい情報はどの辺りにドリアードが居て、何をしているのかだ。そのためには日報などの資料が必要になる。それなら、わざわざ申請書まで探す必要はないだろう」

 明らかに動揺しているようだけど、指摘はしない。

 「それに、アイリアに倉庫を整理させる丁度いい機会だ。どうせいつかはやらないといけないと思っていたことだ。整理整頓をさせる口実にはなるだろう」

 「あの、アイリアというと、女神様のお名前ですよね?女神様に倉庫の整理をさせるんですか?それも、リリティアさんが、ですよね?」

 「ええと、普通に考えたらそうなりますよね。神を呼び捨てにした上に顎で使うような言い方ですから」

 「私がこちらに派遣されている以上、アイリアがやるしかないだろう。元々、アイリアの指示で居るんだから、その分代わりにやってもらわないとな」

 「女神様もそんな雑務をする必要があるのですね・・・それも、使われるように」

 ユナさんが困惑気味に言った。確かに、神様が雑用をさせられるなんてイメージはないよなぁ。

 「あ、でも、リリティアさんの話を聞く限りには、二人は友達のような感じですよ。アイリアさんがリリティアさんに指示されて使われてるというよりは、親密だからこその遠慮のなさって感じですかね」

 リリティアさんはアイリアさんに対しては遠慮なく厳しいことを言う。しかし、同時に言い方に刺々しさがないので、嫌っていたり軽んじていたりという感じは受けない。

 「女神様とリリティアさんはご親友なのですね」

 「アイリアが頼りないから面倒を見ているだけだ。面倒を見るものが、私以外にいないのだから仕方ないだろう。さて、そろそろ本題に戻ろうか」

 そういうとリリティアさんは、開いたままになっていたカタログページを指さした。もう少し追及したいところではあったが、遮るように話題を変えられてしまった。この話は、今後二人でいる時にでも改めて聞くことにしよう。面識のないアイリアさんの話を続けられるのは、ユナさんにとっては退屈だろうし。

 「平屋建てで自由に設計変更できる部分は、玄関入って右側の部分だ。カタログ上では初期案として部屋が2つと物置ということになっているが、この部分は自由に変更可能だ。1つの大きな部屋にすることもできるし、設備を追加・変更することもできる。この部分とリビングの設備が設計変更可能な部分となる。ここまでで何か質問はあるか?」

 これに対してユナさんがおずおずと質問をした。

 「すみません、この家の広さはどれくらいなのでしょうか」

 「おっと、すまん、そうだったな。我々の言語で書かれているから、ユナには読めなかったな」

 カタログページに書かれていたのは、神様たちの言語だったらしい。加護の効果によって、俺には日本語で見えてしまうのでわからなかった。

 「ユナが大きさをイメージできた方がいいからな・・・ユナ、家はどの辺りに作りたいか教えてくれ。家の大きさは大体・・・」

 リリティアさんが突然人間モードになった。シャツにホットパンツ、ニーソックスというラフな格好だ。右のニーソックスがずり下がり、シャツの裾がめくれている。めくれ上がった裾から、チラリとおヘソが見えた。

 衣服の乱れを治すと、リリティアさんは泉の縁を歩きだした。しばらく進んでから地面に印を付けると、右に進路を変えた。木々を避けながら同じくらいの距離を歩いて立ち止まると、周囲を見回した。握りこぶし程度の大きさの石を拾ってくると、立ち止まったところに置いた。草が生えていて印が付けられなかったため、印の代わりに石を置いたようだ。

 もう一度直角に曲がって同じように石を置いた後、木の枝を何本か拾ってきては地面に置いた。

 「家の大きさと間取りは大体こんな感じだ。玄関は泉に面した側だと思ってくれ」

 印と石は家の四隅を、木の枝は壁などの仕切りを表しているらしい。今座っているところは丁度、変更可能なスペースの隅になるようだ。

 「こんなに広いのですか。とても立派な家となりますね」

 確かに、実際に大きさを確認すると結構な広さだ。物置付き2LDKの平屋建てという時点で、それなりだとは思ってはいたけれど。リビングが8畳、2つの部屋も6畳くらいあり、物置は4畳ほどだ。

 今度はユナさんが立ち上がって歩きだした。俺とリリティアさんはその後に付いていく。泉から少し離れたところまで歩くと、ユナさんが立ち止まった。

 「この大きさですと、この辺りが良いと思います。地下水などが溜まっておりませんので、比較的安全だと思います」

 「そうか、ならばここにしよう。家の魔法陣は少々複雑なので、先に更地にしてしまった方がいいだろう」

 「わかりました。じゃあ適当に何か作りますね」

 ついでだから家具にしよう。カタログページを確認して、良さそうな食器棚を選んだ。

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