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森林開拓日誌  作者: tanuki
森を守るお仕事
20/188

女神アイリアの事務作業

 『担当区域東部のオストーン王国について。現国王即位後の一時的な混乱はあったものの、現在は政情安定しており大きな問題はありません。王国北東部の干ばつについては懸念があるため、以後注視します。

 担当区域西部の連合国家シーヴェストについて。盟主であるイングラ王国の後継問題に伴う政情不安はあるものの、為政者間の問題に留まる見込みです。南部諸部族自治区域内の流行り病のみ要注意で、流行拡大が進むのであれば対応を検討します。

 中央部の森に起きている異変について。昨日付で守護者を任命し調査に当たらせております。それに伴い精霊リリティアを派遣、共に原因の追求及び対策に当たるよう指示しました。以後両名の報告を待ち、進展があり次第随時報告いたします』

 よし、これで日報は終わりでいいでしょうね。

 「うーん、疲れたぁ」

 伸びをして、事務作業で固まった体をほぐす。それにしても、なんで毎日毎日報告が必要なんでしょうか。こんなもの、10日に一回程度でもまだ多いと思うのに。引退するまで書き続けたとしたら、何万枚になるのだろうか。そう考えたら気が重くなってしまった。

 ミーシャ様も思い切って日報なくそう、とか言ってくれませんかね。日報作成時間を守護業務に当てたほうがより人々のためになるはずですし。決して、日報作成が面倒だからというわけではなくて。

 でも、私もみんなに毎日の日報提出を要求している立場なんですよね。例えば、日報にも書いた守さんやリリも、毎日の日報提出を手間に感じているかもしれません。アイリアのせいで毎日面倒だな、と思われていたら嫌だなぁ。一応守さんには、やったことだけ短く書けばいいと伝えておきましたが。赴任時に書いてもらった文量を毎日読むなんて面倒・・・いえ、守さんに毎日書かせるなんて苦労はさせられません。自分が苦労しているから部下にもさせる、ではダメ上司です。守さんは美しき女神への畏敬の念を持って私を見ているはずですから、理想の上司でいるべきです。自分が楽したいから、なんてそんなことではありません。

 さて、そんなことを思っていても仕方ありません。そろそろ守さんの日報の確認でもしましょうか。

 『本日は初勤務となります。精霊リリティア指導の下、守護者としての業務を行いました。主に、ホージュの実収穫作業、同地付近の泉の保全業務、小屋製作となります。

 ホージュの実収穫作業について。・・・・・・』

 な、長いですね。この後、リリに教わったことや実際の収穫作業の様子が細かく書いてあります。短くていいと伝えたのですが・・・まあ、総文量は確かに最初より短いので文句を言ってはいけませんね。前回の半分くらいではありますし。文量の指定をしない、曖昧な指示がよくありませんでした。

 これは後で読むとして、リリの日報の確認をしましょうか。彼女は慣れたものですから、簡潔に書いてくれているはずです。

 『本日の業務:果実収穫、地図使用法の指導、近隣の泉原状復帰(燃えろノコギリ・バールのようなもの使用)、小屋作成(神の門使用)』

 そうそう、こういうのでいいんですよ。さすがリリです、わかっていますね。これならば、年や月の定期報告の際も、そのままコピーで使えます。

 おや、今回は補足がありますね。守さんの初日ですから、教育係としての所感を書いてくれたようです。

 『森の守護者・森野守氏について。自発的に考えて行動してくれている。また、説明を熱心に聞き、理解が早い。今回の指導は前回と比べてスムーズなものとなるかもしれない』

 ・・・言葉にトゲがありますね。どうせ私は物覚えの悪い女神ですよーだ。

 なんて、こんなところで唇を尖らせていても仕方ありませんが。

 『また、泉において18本の木を全て抜き終えてもマナの枯渇もなく、バールのようなものを使用した際は想像以上の力を発揮した。マナに関する素質については高いものを持っている可能性がある』

 なるほど。リリがわざわざ補足として書いている以上、抜きん出た能力であるかもしれませんね。彼女が見てくれている限りは、マナの扱いに関しては問題ないでしょう。うまく指導してくれるはずです。・・・多少スパルタかもしれませんが。

 ともかく、初日に関しては順調のようですね。今後もこのままやっていってくれて、問題が解決できれば理想ですね。みんながつつがなく仕事を終えて、問題が発生しない。それが何よりですから。

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