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森林開拓日誌  作者: tanuki
猫目石
119/188

九日目・洞窟①

 「ごちそうさまでした」

 「ごちそうさまでした」

 朝食を食べ終え、後片付けをする。昨日、リリティアさんには食事からマッサージまで、至れり尽くせりでやってもらった。だから、今日は俺が全部やるつもりだ。

 「ところで、今日は何かする予定はあるのか?」

 食器を洗っている俺に向かって、リリティアさんが尋ねる。

 「うーん、特に何も考えてはいませんね。食材が少なくなってきましたが、シャールの町へ行くのは明日の方がいいですし」

 「それがいいだろうな。リベルが貴族と商談するのは、確か今日だったはずだ。その結果を聞くついでに、食材を買えばいいだろう」

 リリティアさんも同じ考えだったようだ。明日、猫目石に行けば、リベルさんと折り紙の件で話ができる。ひょっとしたら、売上もその場でもらえるかもしれない。現金一括払いなのかどうかはわからないけど。支払い方法が小切手や掛売りのようなものだったら、明日に売上金をもらうのは難しいだろう。その場合は、売上金をもらえる日を確認するだけで十分だ。

 だから、今日やらなければならないことは、特になさそうだ。町で売るための、ジャムとコンポートを作っておくくらいだろうか。

 「あ、神の門の等級が上がってから、まだ一度も使ってませんでしたね。色々やれることが増えたみたいなんで、試しに使ってみてもいいですね」 

 「そうだな。折角2等級になったのだから、一度使ってみるといい」

 ユナさんの家を作った時にグレードアップしたが、昨日は終日地獄のトレーニングをしていたので使えていない。説明書を読んだだけだ。

 ちなみに、神の門は1等級から始まって、今はその次の2等級だ。日本だと1等級が一番高くて、数字が大きい方が等級が下であることが一般的だろう。しかし、神々の世界では最低等級が1等級で、数字が大きいほど等級が上がっていくらしい。

 朝食の片付けを済ませ、神の門を持って外に出た。

 「さて、神の門が2等級になったことで、できるようになったことがある。説明書を読んでわかってるとは思うが、一応説明しよう。追加される機能は2つだ。オーダーメイド品の作成と、マナと商品の交換だ」

 「それ気になってたんですよ。オーダーメイドができるって書いてありましたけど、ユナさんの家を作った時も要望通りに設計変更できましたよね?それと何か違うんですか?」

 「まず、注文の仕方が違う。オーダーメイド品用の専用端末から発注をするという形式になる。この専用端末は、神の門で手に入れることができる」

 「なるほど。では最初に専用端末を作る必要があるんですね。でも、それは簡単に作れるんですか?」

 神の門で作成する時は、指定された材料を用意しないといけない。その材料があるのかどうかが問題だ。

 「数種類の金属で作ることができるはずだが、集められる者はそれほど多くない。そこでもう一つの追加された機能を使う」

 「マナと商品の交換でしたっけ」

 「そうだ。マナが含まれた物・・・例えば草木だな。これを神の門で転送し、マナだけを吸収して返してもらうんだ。そうすると、草木に含まれるマナに応じてポイントが貯まり、そのポイントを使って様々な商品と交換することができるシステムだ。一定のポイントを貯めると専用端末が送られてきて、以後はポイント残高をその端末で確認することができる」

 専用端末・・・オーダーメイドの時に使うものと同じものなのかな。

 「じゃあ、その専用端末があればオーダーメイドの発注もできるということですか?」

 「そういうことだ。専用端末を使って、マナポイントを使った商品の購入、そしてオーダーメイド品の発注及びマナによる支払いができる」

 同じだった。じゃあ鉱物を集めるよりも、ずっと簡単そうなマナを貯めるって方法を使おう。

 早速マナを貯めよう。そのためにまず、燃えろノコギリとバールのようなもの、そしてその他の道具類を準備した。付近の木々を間伐しながら、間伐材を使ってマナを収集するためだ。

 リリティアさんに手伝ってもらいながら、とりあえず10本の木を切り倒した。ある程度の大きさに分解して、家の前に並べた。マナを吸収してもらうための魔法陣は、あらかじめ描いておいた。

 魔法陣を起動させると、木々は光の中に吸い込まれて消えていった。しばらくして、再度魔法陣が光り輝き、光が消えると木々が戻っていた。木々は並べた時と全く同じように並んでいる。

 「ん?魔法陣の端っこに何かありますね」

 「ああ、それが専用端末だ」

 それは、黒くて平らだった。片面はガラスのような材質でできている。パッと見た感じは、スマホやタブレットという感じだ。

 ボタンがあったので、試しに押してみた。ガラス面が光り、起動画面のようなものが表示された。

 「初回起動時は少々時間がかかるんだ。しばらく待っていろ。起動したら教えるが、操作方法は画面を指で触って行う」

 タッチパネルかな?もうほとんどタブレットにしか見えなくなった。

 「おっと、言い忘れていたが、専用端末は神の門の置物に紐付けられる。別の置物にしてしまうと、また0からのスタートになってしまうから気をつけろよ。利用者の識別を置物で行っている以上、当たり前のことだが」

 1等級からやり直しになるんだから、当然2等級から利用できるポイントも0になるだろう。置物を失くしちゃいけない理由が1つ増えた。

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