表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森林開拓日誌  作者: tanuki
猫目石
108/188

女神アイリアの思い出

 今回の部門会議も無事に終わりました。現状、この大陸ではそれほど大きなトラブルが起こっていないので、ほとんどの神が問題なしと報告して終わりでした。私の担当地区も、オストーン北東部の干ばつ被害くらいです。それもリリのお陰で回復に向かいつつあるので、このまま様子見ということになりました。

 肩の荷も降りたところで、休憩にしましょうか。今日のおやつは蒸しパンです。甘さ控え目で、ふわふわの食感が素晴らしいです。

 この蒸しパンは、大陸北方にあるペーン・ノルザンの首都、パーレスクにある人気店のものだそうです。この区域を担当するケールスさんが用意して、会議中に食べたものの残りです。余ったものをいただきました。

 参加者が持ち回りで用意するこのお茶菓子が、部門会議唯一の楽しみです。担当区域以外の食文化を理解するのが目的ですが、みんなで美味しいものを食べる時間はいいものです。このお陰なのか会議の雰囲気も穏やかです。

 さて、そろそろ仕事に戻りましょうか。今日は会議で疲れたので、軽めにして切り上げましょう。急ぎの仕事もありませんしね。資料の捜索は・・・後日でいいでしょう。

 ということで、後は日報を確認して終わりです。まず、リリの日報ですね。料理を作って町で販売した、とあります。収穫物をそのまま売るよりも、加工した方が高く売れますからね。

 続きは・・・神の門がグレードアップしたようですね。使い始めて7日目で2等級へのグレードアップは、結構早いのではないでしょうか。2等級に上がれば使い方も広がりますから、業務にも生活にも活用していって欲しいですね。神の門はリリのお気に入りでもありますし。

 次は守さんの日報です。こちらも最初はシャールの町で料理を販売したことが書かれていますね。リリが作ったケーキが好評そうだった、と書かれています。リリは料理が上手ですから、きっとこのケーキも美味しいでしょう。あまり売れすぎて人気が出てしまうと困りますが、その辺りはリリが判断して対応するはずです。

 守さんもホージュの実を使ってジャムとコンポートを作ったようですね。こちらも町の人の反応は悪くないようです。守さんが作った料理が人気になるのであれば、それはあまり問題ありません。森の守護者としての業務に支障がなければ、ですが。

 それから森に家を建てたようですね。何度か日報にも名前が出てきた、ウンディーネのユナという方のための家ですか。ウンディーネに家って必要でしたっけ?妖精の生態には、わかっていないことも多いんですよね。専門家なら知っているかもしれませんが、一般にはあまり生活様式などは知られていません。ですが、家を建てたということは、家に住むこともあるということなのでしょう。

 ユナという方のために家を建てたくらいですから、関係は良好なのでしょう。問題があればリリや守さんから報告があるはずなので、悪いわけではないはずですが。

 家はログハウス風の平屋建てですか。森の中ですから、周囲との調和という点では良い選択でしょう。木材を集めるついでに、木々の間伐も同時に行ったことも良い判断です。更に、間伐作業の際にバールのようなものを用いてマナを使う練習も行った、とありますね。マナの利用が苦手な者の練習方法として、マナを引き出す道具を用いるのはよくあることです。

 広い森を管理するためは、マナの力を利用することが必要です。まだまだ時間はかかるでしょうが、頑張って覚えてもらいたいですね。

 マナの使い方については、リリがしっかり教えてくれるでしょう。だから、使い方を身に付けること自体はそれほど心配する必要はないでしょう。心配することがあるとすれば、守さんが指導についていけるかでしょう。だって、あの子、もの凄く厳しいから。限界を見極めてギリギリまで追い込むのが、凄く上手だから。起き上がれなくなるまで徹底的にしごかれますから。私の時だって・・・。

 ・・・思い出すと涙が出そうなのでやめましょう。とにかく、指導を受けることになっても、守さんは心を強く持ってほしいものです。頑張ってくださいね、守さん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ